遺言書|資産8億円の二次相続、一次相続での兄弟間格差を是正する公正証書遺言の作成
公開日:2025年10月25日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 遺言書作成(公正証書遺言・遺言執行者の指定) |
|---|---|
| ご依頼者 | 夫を亡くされた妻(遺言者) |
| 推定相続人 | お子様3名(長男・次男・三男) |
| 資産 | 総額約8億円(種類が多岐にわたる) |
| 課題 | 一次相続(夫の相続)で、会社を承継する長男に資産の多くが集中し、次男・三男の取得分が少なくなっていたこと |
| 当事務所の対応 | ご依頼者様が日頃から相談されている税理士と連携し、一次相続と二次相続を通算して3人の取得額が平等になる分配案を作成。文案の作成、公証役場との調整、必要書類の収集、証人の手配まで対応 |
| 結果 | 当事務所の弁護士を遺言執行者に指定した公正証書遺言が完成 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
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本事例の結論と解決のポイント
- 結論: 一次相続(夫の相続)によって生じた兄弟間(長男と次男・三男)の資産の不平等を解消するため、ご依頼者様(妻)の二次相続に向けた遺言書を作成しました。税理士と連携して分配案を立案し、弁護士を遺言執行者とする「公正証書遺言」を作成して、将来の紛争リスクを抑える体制を整えました。
- 解決のポイント: 資産規模が8億円と大きく、遺産の種類も多岐にわたるため、「税務上の最適化(税理士の知見)」と「法的紛争の予防(弁護士の知見)」の両輪が不可欠でした。利害関係のない第三者である弁護士を遺言執行者に指定したことで、ご依頼者様に安心していただけた点も本件のポイントです。
ご相談時の状況とお客様の悩み
ご依頼者様(遺言者)には3人のお子様がいらっしゃいました。 以前発生した「一次相続(夫の相続)」の際、夫が創業した会社を承継する長男に対し、遺言によって資産の多くを集中させる形で財産承継が行われました。その結果、次男・三男の取得分が極めて少なくなり、兄弟間で不均衡な状態が生じていました。
ご依頼者様は、「自身の相続(二次相続)の際には、一次相続で生じた不平等を是正し、最終的に子供3人の取り分が平等になるようにしたい」「自分が亡くなった後も、兄弟3人が揉めることなく仲良く暮らしていけるようにしたい」と強く願っておられました。
また、遺産額が大きく種類も多いため、身内ではなく「適切な第三者」を遺言執行者に指定し、公平かつ確実に手続きを進めてほしいというご希望をお持ちでした。
弁護士の対応・解決策
ご依頼者様の希望を詳細にヒアリングした上で、以下の手順で手続を実行しました。
- 税理士との協働による分配案の作成: ご依頼者様が日頃から頼りにされている税理士の先生をご紹介いただき、密に連携しました。税務上のリスクを検証しながら、一次相続と二次相続をトータルで計算し、最終的に子供3人の取得額が平等となる分配案を作成・提案しました。
- 公正証書遺言の作成: 資産規模や内容の複雑さから、将来の紛争をできる限り避けるべき事案と判断し、方式の不備で無効となるおそれが小さい「公正証書遺言」の形式を選択しました。
- 弁護士の遺言執行者の指定と実務対応: 公平な第三者として、当事務所の弁護士を遺言執行者に指定しました。弁護士が遺言の文案(ドラフト)を作成し、公証役場との連絡調整、戸籍や固定資産税評価証明書などの必要書類の収集、証人の手配に至るまでを一括して代行し、無事に公正証書遺言を完成させました。
IGTからのコメント
本件は、遺産の種類が多く、総額8億円という資産家の方からのご相談でした。
富裕層の相続においては、単に「法律通りに分ける」だけではなく、過去の相続(一次相続)の経緯や、事業承継の背景、そして何より「ご家族への想い」を総合的に汲み取ったオーダーメイドの遺言作成が求められます。
法的な手続きを整えるとともに、税理士の先生と連携できたことで、ご依頼者様の不安を和らげることができました。
公正証書遺言が完成した際、ご依頼者様が大変安堵されていたお顔が非常に印象深い事案です。
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相手の言い値で合意する前に、まずは適正評価を。
「提示された代償金が安すぎる」「兄弟間の取得額の差が気になっている」「面識のない親族から突然通知が来た」など、不公平な権利関係でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず専門家にご相談ください。
弁護士法人IGT法律事務所では、初回60分の無料相談を実施しております。相続と財産評価の実務を扱う弁護士が、今後の方針を一緒に検討します。
富裕層の遺言作成・二次相続に関するよくある質問
Q. 「一次相続」と「二次相続」をあわせて考えるべき理由は何ですか?
A. 一次相続(例えば父の相続)で配偶者(母)が財産を多く相続すると、配偶者の税額軽減によって、その時点の相続税は抑えられます。配偶者が取得した財産が、1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、相続税はかかりません(相続税法19条の2)。しかし、二次相続(母の相続)ではこの軽減は使えず、相続人が1人減るため、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)も小さくなります(相続税法15条)。また、本件のように、一次相続での取得額の差が二次相続の分け方に影響することもあります。両方の相続を通して、税額と分け方のバランスを検討することが大切です。
Q. 一次相続で兄弟間に不公平が生じた場合、二次相続の遺言で是正できますか?
A. できます。親が遺言で、一次相続での取得分が少なかった子に多めに財産を配分すれば、兄弟間の差を小さくできます。ただし、一次相続で父から多く受け取った分は、母からの贈与ではないため、母の相続における特別受益(民法903条)には当たらないと考えられます。そのため、母の遺言で取得分を少なくされた子も、母の相続では遺留分(民法1042条)を請求できます。遺留分を侵害しない範囲で配分を設計することが重要です。
Q. 遺言書の作成は、税理士と弁護士のどちらに相談すべきですか?
A. 相続税の計算や節税が主な目的であれば税理士、特定の相続人に財産を残したい、将来の争いを防ぎたいといった法的な紛争予防が主な目的であれば弁護士が適しています。資産が多い方の場合は両方の要素が関係するため、税理士と弁護士が連携して進める方法が考えられます。本件でも、ご依頼者様が日頃から相談されている税理士と連携し、税務上のリスクを確認しながら分配案を作成しました。
Q. 資産が多い場合、なぜ公正証書遺言を選ぶのですか?
A. 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が内容を公証人に伝え、公証人が作成する遺言です(民法969条)。原本は公証役場に保管され、家庭裁判所での検認も不要です(民法1004条2項)。自筆証書遺言に比べて、方式の不備で無効になったり、紛失や改ざんが起きたりするおそれが小さいため、財産が多く争いが心配な場合によく選ばれます。
Q. 遺言執行者は家族(長男など)に任せてもよいですか?第三者(弁護士)に依頼する利点は何ですか?
A. 未成年者と破産者を除き、家族を遺言執行者に指定することもできます(民法1009条)。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持ちます(民法1012条1項)。ただ、遺産が多い場合や兄弟間で取得額に差がある場合、相続人の一人が執行者になると、手続の負担が集中したり、他の相続人から不信感を持たれたりすることがあります。利害関係のない弁護士を指定しておくと、手続を中立の立場で進めやすくなります。
(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。詳しくは弁護士法人IGT法律事務所の初回無料相談をご利用ください。)
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちらご相談はこちらへ
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