遺留分|不動産評価が争点→裁判所鑑定で遺留分1800万円獲得
公開日:2025年10月26日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 遺留分侵害額請求(交渉→調停→訴訟) |
|---|---|
| ご依頼者 | 長男(遠方在住) |
| 相手方 | 妹と、妹の子(被相続人の孫養子) |
| 相続人と遺留分 | 子3名(うち1名は孫養子)。ご依頼者の遺留分は6分の1 |
| 主な遺産 | 妹家族の住居と賃貸部分を併用した集合住宅の土地・建物(預貯金はほとんどなし) |
| 主な争点 | 遺産不動産の評価額 |
| 当事務所の対応 | 数種類の不動産査定書で交渉し、調停不成立の後、訴訟で裁判所が選任した鑑定人による鑑定を実施 |
| 結果 | 鑑定価格をもとに遺留分侵害額を合意し、相手方の資金調達も調整したうえで1,800万円を獲得 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
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遺留分侵害額請求では、不動産の評価額によって請求額が大きく変わります。相手方と査定額が大きく食い違う場合、交渉や調停では解決せず、裁判所鑑定が必要になることもあります。
本件では、裁判所鑑定を経て適正価格を確定し、1800万円で解決しました。
本記事からわかること
- 遺留分で不動産が主な遺産だと、評価額が最大の争点になりやすい
- 査定書だけで折り合わない場合、裁判所鑑定が必要になることがある
- 早い段階で評価資料と手続方針を整理すると、回収額や解決条件が変わる
依頼前の状況
被相続人が母、法定相続人が相談者様(長男)、妹、妹の子ども(孫養子)の3人で、被相続人が遺言書を遺し、妹と養子の孫に遺産を相続させることになっていました。したがって、相談者様の遺留分割合は、1/6となっていました。
また、相談者様は遠方にお住まいでしたが、ご実家の東京の案件で、裁判所の管轄も東京になるため、東京の弁護士をお探しでした。
遺産には、預貯金その他の流動資産はほとんどなく、遺産土地のうえに、妹家族の居住用と賃貸部分が併用された集合住宅がありました。
また、遺言書作成時点間際に養子縁組をするなど、相談者の権利を制約する方策がうかがわれる事案でしたが、相談者様は、養子縁組の無効主張までは希望しないが、法的に正当な遺留分侵害額請求権を行使し、金銭回収したいという意向でした。
対応と結果
遺産不動産の評価額が大きな論点でしたので、当事務所にて不動産の実勢価格を調査し、数種類の不動産査定書を取得して、相手方と交渉を行いました。
遠方にお住まいの相談者様とは、打合せはウェブ会議にて行い、日常の業務報告等のやり取り、資料の受け渡しはメール、郵便等で対応しました。
しかし、交渉段階では価格の差異が埋まらずに、調停申立てを行いましたが、その間相手方も代理人弁護士が交代するなどして、対立が深まっていきました。
また、相談者様も法的に正当な手続を踏んで欲しいという強いご要望もあり、調停も不成立となり、訴訟に移行しました。
不動産価格については、交渉で価格が折り合える状況ではなかったことから、裁判所の不動産鑑定(裁判所が選任する不動産鑑定士による鑑定手続)まで行って、正当な価格を追求しました。
その結果、不動産鑑定価格をベースに、遺留分侵害額を合意し、相手方の資金調達の段取り調整も行ったうえで、遺留分侵害額として金1800万円を獲得しました。
IGTからのコメント
遺産分割や遺留分事件で、不動産価格が争いになることは多いです。その場合、査定書や簡易鑑定書などを出し合って交渉しますが、どちらが正しいということを議論しても仕方がないことがあります。その場合は、裁判所が選任する不動産鑑定士による不動産鑑定によらざるをえないことになります。
本件では、遺留分対策と思われる養子縁組があるなどしたため、当事者間の感情的な対立が大きく、法的に正当な手続を経て決着するという点にウェイトが大きく、当事者間の納得感を得るためにも不動産鑑定がよく機能した事案と理解しています。手続的にやれるところまでやったという点でご相談者様にもご満足いただけた事件でした。
また、遠方にお住まいの相談者様とは、ウェブ会議、メール等でコミュニケーションを行い、業務処理を完結することができました。
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よくあるご質問(遺留分と不動産評価について)
Q. 相手が提示した不動産の査定額に納得がいかない場合はどうすればよいですか?
A. 相手方の査定書を鵜呑みにせず、こちらでも複数の不動産会社から査定を取り直すことが重要です。遺留分の計算では、不動産を相続開始時の時価で評価します(民法1043条1項)。それでも評価の差が埋まらない場合は、調停や訴訟の中で、裁判所が選任する鑑定人による鑑定を検討します。
Q. 裁判所の不動産鑑定には費用がかかりますか?
A. はい、鑑定費用を裁判所に予納する必要があり、1物件あたり数十万円程度が一つの目安です(事案により異なります)。鑑定によって評価額が適正化され、遺留分の額が数百万円単位で変わることもあるため、費用対効果を見極めたうえで実施をご提案します。
Q. 遺留分の請求は、調停をしないでいきなり訴訟を起こせますか?
A. 遺留分侵害額の請求は、原則としてまず家庭裁判所の調停を申し立てる必要があります(調停前置、家事事件手続法257条1項)。調停で合意できない場合に、地方裁判所(請求額140万円以下は簡易裁判所)へ訴訟を起こします。本件も、調停が不成立となった後に訴訟へ移行しました。
Q. 遠方に住んでいても、東京の裁判所の事件を依頼できますか?
A. はい。本件でも、遠方にお住まいのご依頼者とはウェブ会議で打合せを行い、報告や資料のやり取りはメール・郵便で対応しました。裁判所の期日には弁護士が出席します。
Q. 被相続人が生前に孫と養子縁組をしていた場合、遺留分はどうなりますか?
A. 養子も実子と同じく子として相続人になるため(民法809条)、相続人の数が増え、ほかの子の遺留分は小さくなります。本件では、孫が養子となった結果、子3名でご依頼者の遺留分は6分の1でした。養子縁組の無効を争う方法もありますが、本件ではご依頼者のご意向により遺留分侵害額の請求に絞りました。
不動産と遺留分の問題は、弁護士法人IGT法律事務所へ
遺留分侵害額請求において、不動産の評価は単なる数字の計算ではありません。それは、「不動産の価値をどう定義するか」という法的な交渉です。
特に、都心の不動産や収益物件、借地権などが絡む複雑な案件では、一般民事の知識だけではなく、不動産取引や税務、企業法務の多角的な視点が不可欠です。
弁護士法人IGT法律事務所は、東京都千代田区麹町に拠点を置き、資産家・経営者の皆様の複雑な相続案件に特化して解決にあたっております。
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相手方の提示する不動産評価額が高すぎる(安すぎる)
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遺留分を支払うための現金がなく、不動産を売らざるを得ないか不安だ
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共有状態や借地権が絡み、権利関係が複雑化している
このようにお悩みの方は、合意書にサインをする前に、当事務所の初回法律相談をご利用ください。適正な評価額の算出から資金調達の戦略まで、あなたの資産を守るための具体策を提示いたします。
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちらご相談はこちらへ
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