民事信託|富裕層の10億円超の収益不動産の財産管理を息子に信託
公開日:2026年3月29日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 民事信託(家族信託)の設計・契約書作成 |
|---|---|
| ご依頼者 | 委託者のお母様と受託者の息子様 |
| 資産 | 収益不動産を中心に10億円超(ほかに株式等) |
| 課題 | お母様が施設に入所し財産管理が難しくなるなか、不動産の勧誘が多数寄せられていた。将来の判断能力の低下にも備えたい |
| 当事務所の対応 | 共有物分割の紛争となっている不動産を除くなど信託する財産を選び、信託契約書を作成。公正証書化、司法書士と連携した信託登記、銀行と証券会社の信託口口座の開設まで対応 |
| 結果 | 息子様が不動産の管理・処分を行える体制を整え、信託終了後の財産の承継先(息子様と娘様で半分ずつ)も定めた |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
不動産の相続で損したくない方へ|初回相談60分無料
■本事例の結論と解決のポイント
-
結論: 収益不動産を中心に10億円超の資産をお持ちのお母様(委託者)と、その財産管理を心配する息子様(受託者)からのご依頼です。将来の認知症による「資産凍結」を防ぐため、当事務所が「民事信託(家族信託)」のスキームを構築しました。これにより、お母様の判断能力が低下した後も、息子様が合法的に不動産の管理・処分を行える体制を整え、信託終了後の財産の承継先(息子と娘で半分ずつ)まで定めました。
-
解決のポイント: 民事信託において最も実務的なハードルとなるのが、財産を分別管理するための「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」の開設です。本件では銀行だけでなく、対応できる金融機関が限られる「証券会社での信託口口座」の開設まで当事務所がサポートし、有価証券も含めて信託で管理できる体制を整えました。
■ご相談時の状況とお客様の悩み
お母様は多数の不動産や株式を保有する資産家でしたが、近年体調を崩されて車椅子での生活を余儀なくされ、施設に入所されていました。 ご自身での煩雑な財産管理が徐々に困難になっていく中、お母様のもとには「収益不動産を買いませんか」といった怪しいセールスが多数押し寄せており、息子様は「このままでは母の財産が危険だ」と強い危機感を抱いておられました。 「母の判断能力が完全になくなる前に、自分が財産を安全に管理・運用(必要があれば売却)できる仕組みを作りたい」という明確なご要望をお持ちになり、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
■弁護士の対応・解決策
-
信託財産の精査と契約書の作成:
お母様の全資産を調査したところ、一部に「共有物分割の紛争案件」となっている不動産が含まれていました。トラブルを信託に持ち込まないよう、信託する財産としない財産を的確に取捨選択し、信託契約書のドラフトを作成しました。
-
公証役場の手配から信託登記までフルサポート:
信託契約を「公正証書」で作成するため、公証人との事前打ち合わせや必要書類の収集を行い、当日の面談にも立ち会いました。また、信託した不動産の名義を息子様(受託者)に変更する「信託登記」についても、提携する司法書士をアレンジしスムーズに完了させました。
-
難易度の高い「証券会社の信託口口座」の開設:
お母様は株式取引も好まれていたため、銀行口座だけでなく証券会社における信託口口座の開設も行いました。証券会社の審査や調整は非常に専門的なノウハウを要しますが、当事務所の主導により無事に開設が完了しました。
■IGTからのコメント
親が認知症等で判断能力を失うと、本人名義の預金の払戻しや、不動産の売却・賃貸などの契約を本人が行うことが難しくなります。従来はここで「成年後見制度」を利用するしかありませんでしたが、後見制度は「財産を減らさないこと(現状維持)」が目的のため、柔軟な資産運用や相続税対策ができなくなるという大きなデメリットがありました。 この「成年後見の使いづらさ」を解消し、信頼できる家族に財産管理を託せるのが「民事信託(家族信託)」です。当事務所では、不動産オーナー向けの信託設計や、金融機関との口座開設の調整にも対応しています。親御様の財産管理に不安を感じたら、手遅れになる前にご相談ください。
■【FAQ】富裕層の民事信託(家族信託)に関するよくある質問
Q. 親が認知症になってからでも、民事信託(家族信託)は組めますか?
A. 判断能力が大きく低下した後は、難しいのが原則です。信託契約は、委託者(親)と受託者(子など)の契約で設定します(信託法3条1号)。契約の時に委託者に意思能力がなければ、その契約は無効になります(民法3条の2)。判断能力の低下が進むと、成年後見制度を利用するほかないこともあるため、親御様の判断能力が十分なうちに検討することが大切です。
Q. 民事信託をすれば、将来の相続(遺産分割)もスムーズになりますか?
A. 信託契約の中で、信託が終わった後に残った財産(残余財産)を誰が受け取るかを定めておくことができます(信託法182条)。その財産については、遺産分割協議をしなくても承継先が決まります。本件でも、将来の承継先を息子様と娘様で半分ずつと定めました。ただし、遺留分との関係には注意が必要です。
Q. なぜ「信託口口座」が必要なのですか?
A. 受託者は、信託財産と自分の財産とを分けて管理する義務を負います(信託法34条)。金銭は、信託財産であることが分かる専用の口座(信託口口座)で管理するのが一般的です。ただ、信託口口座の開設には金融機関の審査があり、信託契約書の内容の確認を求められます。特に証券会社の信託口口座は対応できる会社が限られるため、契約書を作る段階から口座の開設を見据えて準備することが大切です。
Q. 成年後見制度と民事信託は、何が違いますか?
A. 成年後見制度では、家庭裁判所が選んだ成年後見人が、本人のために財産を管理します。本人の居住用の不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要で(民法859条の3)、積極的な資産運用や相続税対策は原則として難しくなります。民事信託では、信託契約で定めた目的と範囲の中で、受託者が不動産の管理や売却を行うことができます。
Q. 信託した不動産の名義はどうなりますか?
A. 信託した不動産は受託者の名義に変わり、あわせて信託の登記をします。信託の登記をしておかなければ、その不動産が信託財産であることを第三者に主張できません(信託法14条)。本件でも、提携する司法書士と連携し、息子様(受託者)への信託登記を完了させました。
(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)
関連ページのご案内
※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちらご相談はこちらへ
事務所概要(本サイトの運営者)
| サイト名 | 弁護士法人IGT法律事務所の相続相談サイト |
|---|---|
| 事務所名 | 弁護士法人IGT法律事務所 |
| 住所 | 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-3-3新麹町ビル6階 |
| TEL | 03-6265-6770(予約専用) |
| FAX | 03-6265-4994 |
| URL | https://souzokusoudan-bengoshi.com/ |
| コーポレートサイト | 弁護士法人IGT法律事務所 公式サイト(企業法務・M&A・事業再生などのご相談も承ります) |



