遺言書|資産6億円事業家・遺留分に配慮し事業承継を実現

遺言書作成の解決事例:資産約6億円の事業家遺留分に配慮し株式を後継者へ

遺言書|資産6億円事業家・遺留分に配慮し事業承継を実現

公開日:2025年11月3日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類遺言書作成(公正証書遺言・遺言執行者の指定)
ご依頼者会社を経営し、個人でも複数の収益不動産を持つ事業家
資産約6億円(会社の株式、事業用資産、収益不動産など)
ご希望事業は後継者のお子様1人に任せたい、ほかのお子様との遺留分をめぐる争いは避けたい、遺言の執行は第三者に任せたい
当事務所の対応後継者に会社の株式と事業用資産を、ほかのお子様に収益不動産等を相続させる分配案を作成。公証役場との調整、書類の収集、文言の調整、証人の手配まで支援
結果遺留分に配慮し、当事務所の弁護士を遺言執行者に指定した公正証書遺言を作成

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 
遺言書を作るなら公正証書遺言にすべき理由|自筆証書遺言との違いも弁護士が解説

■本事例の結論と解決のポイント

  • 結論: 会社を経営し、個人でも多数の不動産投資を行っている資産約6億円のご相談者様から、「会社は特定の一人の子供(後継者)に継がせたいが、他の子供たちとも揉めないようにしたい」というご相談を受けました。当事務所にて、後継者には「会社の株式と事業用資産」を集中させ、他のお子様には「収益不動産」を相続させる、遺留分に配慮した「公正証書遺言」を作成し、事業承継と資産承継の道筋を立てました。

  • 解決のポイント: 事業承継において最も危険なのは、後継者以外の相続人から「遺留分(法律上保障された最低限の取り分)」を現金で請求され、会社の資金繰りが悪化することです。本件では、ご相談者様が複数の「収益不動産」をお持ちであったことを活かし、これを他のお子様へ配分する緻密な遺言設計を行ったことで、会社と家族の双方に配慮した承継の道筋を立てることができました。

■ご相談時の状況とお客様の悩み

ご相談者様は、ご自身で会社を経営されているだけでなく、個人名義でも複数の収益不動産(賃貸マンション等)を保有する富裕層の事業家でした。 ご年齢を重ね、「会社の事業承継」と「個人の資産承継」について本格的に悩んでおられました。 ご相談者様のご希望は以下の3点でした。

  1. 会社の事業については、後継者として決めている「お子様のお一人」にすべて任せたい。

  2. しかし、他の子供たちにも相応の資産を残し、死後に「遺留分」を巡る相続争い(争族)が起きないように配慮したい。

  3. 遺産の額が大きく複雑なため、相続開始後の遺言執行(名義変更等の手続き)は、親族ではなく適正・公平な第三者に任せたい。

■弁護士の対応・解決策

  • 遺留分を侵害しない資産の振り分け(遺言設計): ご相談者様の総資産を洗い出し、以下のような戦略的な分配案を作成しました。

    • 後継者のお子様へ: 会社の経営権を安定させるため、「会社の株式」および「事業用資産(事業に使っている不動産や債権等)」をすべて相続させる。

    • 他のお子様へ: 遺留分を侵害しないよう、個人の投資資産である「収益不動産」等を相続させる。

  • 公正証書遺言の作成と遺言執行者の就任: 紛争予防に有効な「公正証書遺言」を作成するため、当事務所が公証役場との連絡調整、固定資産税評価証明書などの必要書類の収集、遺言書の文言調整から証人の手配までを全面的に支援しました。さらに、ご希望通り、当事務所の弁護士を「遺言執行者」に指定する旨を遺言書に明記しました。

■IGTからのコメント

事業家の相続において、「自社株(経営権)の集中」と「他の相続人の遺留分対策」は常にセットで考えなければならない最重要課題です。

本件のように、事業用不動産と多数の収益不動産が混在しているケースでは、相続発生後の名義変更や解約手続きが非常に煩雑になります。

これを相続人の一人(例えば後継者)が遺言執行者として自分で行おうとすると、手続きの遅れや不透明さから、他の相続人の不信感を招き、せっかく遺言書を作ったのにトラブルになってしまう恐れがあります。

弁護士を遺言執行者に指定しておけば、すべての手続きを中立かつ迅速な第三者として代行できるため、残されたご家族の精神的・物理的な負担を大幅に軽減できます。

不動産・非上場株式の複雑な相続トラブル 相手の言い値で合意する前に、まずは適正評価を。

「提示された代償金が安すぎる」「会社を継ぐ子とほかの子の取り分に悩んでいる」「面識のない親族から突然通知が来た」など、不公平な権利関係でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず専門家にご相談ください。 弁護士法人IGT法律事務所では、初回60分の無料相談を実施しております。相続と財産評価の実務を扱う弁護士が、今後の方針を一緒に検討します。

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■【FAQ】経営者の事業承継・遺言作成に関するよくある質問

Q. 会社を継ぐ長男に、すべての自社株と財産を相続させたいのですが、可能ですか?

A. 遺言書に「長男にすべて相続させる」と書くこと自体は可能です。ただし、他の子には遺留分(法律上保障された最低限の取り分)があります(民法1042条)。遺留分を侵害された相続人は、長男に対し、侵害額に相当する金銭の支払を請求できます(民法1046条1項)。長男に支払う資金がなければ、自社株や事業用資産の売却を迫られるおそれもあります。本件のように、他のお子様に別の財産を配分するなど、遺留分への配慮とあわせて遺言を作ることが大切です。

Q. 自社株を兄弟で半分ずつ分けさせる遺言は避けるべきですか?

A. 一般的にはお勧めしにくい方法です。非上場会社の株式(議決権)が兄弟で半分ずつに分かれると、経営方針で対立したときに株主総会で決議ができず、会社の意思決定が止まってしまう(デッドロック)おそれがあります。後継者に議決権を集中させることが、事業承継の基本的な考え方です。

Q. 遺言執行者は誰に頼むのがよいですか?

A. 未成年者と破産者を除き、遺言執行者には誰でもなれます(民法1009条)。ただ、資産が多く、不動産や自社株が含まれる場合、相続人の一人が執行者になると、手続の負担が集中したり、他の相続人から不信感を持たれたりすることがあります。また、信託銀行などの遺言信託では、相続人の間に争いがあると遺言の執行を引き受けない扱いとされていることがあります。利害関係のない弁護士を指定しておくと、手続を中立の立場で進めやすくなります。

Q. 後継者に生前贈与した自社株も、遺留分の計算に含まれますか?

A. 含まれることがあります。相続人に対する贈与は、相続開始前10年以内にされたもので、特別受益に当たるものが遺留分の計算に加えられます(民法1044条1項・3項)。中小企業の後継者については、経営承継円滑化法により、推定相続人全員の合意と経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可を得て、自社株を遺留分の計算から除いたり、評価額を合意の時点で固定したりする特例もあります。

Q. 相続が始まる前に、後継者以外の子に遺留分を放棄してもらうことはできますか?

A. できます。ただし、相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力が生じます(民法1049条1項)。家庭裁判所は、放棄が本人の自由な意思によるものか、放棄に見合う財産を受け取っているかなどを考慮して判断するとされています。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)

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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちら

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