遺言書の作成・遺言執行で、相続争いを残したくない方へ|初回相談60分無料
最終更新日:2026年10月10日
「遺言を書いておけば安心」とは限りません。
遺留分を侵害する内容であれば相続開始後に請求を受け、遺言執行者が決まっていなければ、遺言の内容や金融機関の取扱いによっては、預金の解約や登記のたびに相続人全員の協力を求められることがあります(財産を取得した相続人が単独で申請できる登記もあるため、必要な手続は個別に確認します)。
弁護士法人IGT法律事務所は、不動産・非上場株式の評価と遺留分を踏まえた遺言書の設計から、遺言執行者としての執行、遺言執行者の不適切な処理への対応まで、遺言に関する業務を一貫して取り扱います。
遺言書作成・遺言執行の要点(結論)
- 遺言があれば、遺産分割協議をせずに財産を承継させられます。相続人同士が疎遠な場合や、連絡の取れない相続人がいる場合ほど、遺言の効果は大きくなります。
- 当事務所の遺言書作成は、公正証書遺言(民法969条)に限ってお引き受けしています。公証人が作成して原本を保管するため形式の不備で無効になるおそれが小さく、相続開始後の家庭裁判所の検認も不要です(民法1004条2項)。
- 遺留分を侵害する遺言も無効にはなりませんが、相続開始後に遺留分侵害額請求(民法1046条)を受けるおそれがあります。兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があるため(民法1042条)、不動産・非上場株式の評価額を見込んだうえで、遺留分を前提にした分配案を設計します。
- 遺言執行者(民法1006条)を指定しておくと、預貯金の解約や不動産の登記を、相続人全員の協力を得ずに進められます(民法1012条・1014条)。執行までに長い年月が見込まれる場合は、個人ではなく弁護士法人を指定する方法もあります。
- 2026年の民法改正(押印要件の廃止・保管証書遺言の創設)は、2026年10月10日時点で施行日が未定です。いま作成する遺言には現行の方式が適用されます。施行を待つ必要はありません。
- 弁護士費用は、遺言書作成支援が220,000円〜(税込)、遺言執行が遺産総額に応じて2.2%〜(最低330,000円・税込)です。詳しくは本ページの料金表をご覧ください。
監修:弁護士 小林 洋介(東京弁護士会・登録番号36640)
遺言について、こんなお悩みはありませんか?
これから遺言を作りたい方
- 子どもがおらず、相続人になる兄弟姉妹や甥・姪とは疎遠。面倒を見てくれている人に財産を遺したい
- 会社の株式や事業用の資産は後継者に集めたいが、ほかの子どもとの遺留分の争いは避けたい
- 相続人の中に、海外在住や音信不通で連絡の取れない人がいる
- 再婚しており、現在の配偶者と前の配偶者との間の子の両方に配慮が必要
- 自宅や収益不動産、非上場株式が財産の大半を占めていて、どう分ければ公平なのか分からない
- 配偶者が亡くなった、財産が増えたなど、以前作った遺言が実情に合わなくなっている
遺言執行でお困りの方
- 遺言はあるが遺言執行者の指定がない、または指定された人がすでに亡くなっている
- 相続人同士の協力が得られず、預金の解約や不動産の名義変更が進まない
- 遺言執行者になった親族の処理に不透明な点があり、説明や資料の開示を求めても応じてもらえない
遺言は、書いた内容がそのまま実現されるとは限りません。「誰に何をどう承継させるか」という中身の設計と、「誰がどう実現するか」という執行の設計の両方が揃って、初めて争いを防ぐ手段になります。
お急ぎの方はお電話でも受け付けています。
電話で相談予約:03-6265-6770(予約専用)
当事務所が実際に手がけた遺言書作成・遺言執行の解決事例については、こちらをご覧ください。
遺言がない・遺言に不備があると、何が起こるのか
遺言がなければ、亡くなった方の財産は、相続人全員の遺産分割協議で分け方を決めるまで、誰のものにもなりません。協議には相続人全員の参加が必要で、一人でも欠けた協議は無効です。連絡の取れない相続人がいれば、不在者財産管理人の選任など別の手続きが必要になり、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停・審判に進みます。
遺言書を作成する一番のメリットは、相続開始後に相続人間で遺産分割協議をしなくてよいことです。ところが実際には、遺言書の書き方が不十分なために、遺言があるにもかかわらず相続人間で遺産分割協議をせざるを得なくなるケースが多くあります。誰が何をもらうかが決まっていない(受け取る財産の割合しか書いていない)、財産の記載漏れ、財産を受け取る人が先に亡くなった場合の定めがない、遺言執行者の指定がないといった不備は、いずれも「結局、相続人全員で話し合う」事態を招きます。遺言の最大のメリットを確実に実現するためには、遺言書の作成にあたって弁護士の助力を得ることが肝要です。
遺言があっても、次のような場合には、遺産分割協議が必要になったり、かえって争いの火種になったりします。
| よくある不備 | 起こること |
|---|---|
| 自筆証書遺言の方式違反 | 全文・日付・氏名の自書と押印(民法968条1項)を欠くと、遺言全体が無効になるおそれがあります。自宅で保管していた自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認(民法1004条1項)も必要です。 |
| 誰が何をもらうかが決まっていない(割合しか書いていない) | 「長男に3分の2、二男に3分の1」のように受け取る財産の割合だけを定めた遺言(相続分の指定。民法902条)では、どの不動産・どの預金を誰が取得するかが決まりません。具体的な分け方は結局、相続人全員の遺産分割協議で決めることになり、遺言の最大のメリットが失われます。「自宅の土地建物は長男に、○○銀行の預金は二男に」と、財産ごとに取得者を特定して書く必要があります。 |
| 財産の記載漏れ・特定の不足 | 遺言に書かれていない財産(作成後に取得した財産、記載から漏れた預貯金口座など)は、遺産分割協議の対象になります。「その他一切の財産」を誰に承継させるかの定めがなければ、遺言があっても協議を避けられません。預貯金や不動産の特定が曖昧だと、金融機関や法務局が手続きに応じないこともあります。 |
| 遺留分への配慮がない | 特定の相続人に財産を集中させると、ほかの相続人から遺留分侵害額請求(民法1046条)を受け、財産を取得した人が多額の金銭の支払を迫られます。非上場株式や不動産の評価が高ければ、請求額はさらに膨らみます。 |
| 遺言執行者の指定がない | 預貯金の解約や不動産の登記のたびに相続人全員の署名・押印や印鑑証明書が必要になり、一人でも協力しなければ手続きが止まります。家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる(民法1010条)手間と時間がかかります。 |
| 財産を受け取る人が先に亡くなる想定がない | 「長男に相続させる」とだけ書かれ、長男が遺言者より先に亡くなると、その部分は原則として効力を失います(最高裁平成23年2月22日判決)。その財産は遺産分割協議の対象に戻ります。 |
| 内容が古いまま | 配偶者の死亡、不動産の売却、生前贈与などで前提が変わっているのに見直していないと、遺言どおりに実現できない部分が生じ、残った財産の分け方をめぐって争いになります。 |
遺言は、ご本人に遺言能力があるうちにしか作成できません(民法963条)。認知症などが進んでからでは、作成そのものができなくなるか、作成できても後から有効性を争われるおそれがあります。「まだ元気だから」という時期こそ、遺言を作成する適期です。
遺言の3つの方式の比較|当事務所が公正証書遺言をおすすめする理由
普通の方式の遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。実務で使われるのは、ほぼ自筆証書遺言と公正証書遺言です。
| 方式 | 作成のしかた | 保管・検認 | 向いている場面・注意点 |
|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 (自宅などで保管) |
全文・日付・氏名を自書し、押印します(民法968条1項)。財産目録はパソコン作成や通帳の写しでも可ですが、各ページに署名押印が必要です(同条2項)。 | 本人や家族が保管。相続開始後に家庭裁判所の検認が必要(民法1004条1項)。 | 費用がかからず一人で作れますが、方式違反・紛失・改ざん・発見されないリスクがあります。内容の有効性や遺言能力を後から争われやすい方式です。 |
| 自筆証書遺言 (法務局の保管制度を利用) |
同上。法務局(遺言書保管所)に出向いて保管を申請します。遺言書保管官が方式の形式面を確認します。 | 法務局が原本を保管。検認は不要(遺言書保管法11条)。 | 紛失・改ざんのリスクは減りますが、法務局は内容の有効性までは確認しません。遺留分や分配の設計は自己責任です。 |
| 公正証書遺言 | 遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授し、公証人が作成します。証人2人以上の立会いが必要です(民法969条)。 | 公証役場が原本を保管。検認は不要(民法1004条2項)。 | 方式の不備で無効になるおそれが小さく、公証人が本人確認と意思確認を行うため、遺言能力をめぐる争いも防ぎやすい方式です。公証人の手数料がかかります。当事務所の遺言書作成は、この方式に限ってお引き受けしています。 |
2026年の民法改正について。令和8年6月に成立・公布された民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)により、自筆証書遺言などの押印が要件でなくなり(公布から1年以内に施行)、法務局での保管を効力要件とする「保管証書遺言」が新設されます(公布から3年以内に施行)。2026年10月10日時点で、いずれも具体的な施行日は決まっていません。施行前に作成する遺言には現行の民法が適用されます。新しい方式を待つあいだに遺言能力を失うリスクのほうが大きいため、作成を先延ばしにすることはおすすめしません。詳しくは2026年民法改正で遺言はどう変わる?押印の廃止・保管証書遺言の創設と施行時期で解説しています。
争いを残さない遺言書の設計|当事務所が重視する5つのポイント
方式を整えるだけなら、公証役場に直接依頼することもできます。弁護士に遺言書の作成を依頼する意味は、相続開始後に起こり得る紛争を先に読み、それを防ぐ中身を設計すること、そして遺産分割協議を不要にするという遺言の最大のメリットを、どの財産についても取りこぼさずに実現することにあります。当事務所では、次の5点を重視しています。
1. 遺留分を前提にした分配案
兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります(民法1042条。配偶者・子は法定相続分の2分の1、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)。遺留分を下回る取り分しか定めなければ、相続開始後に遺留分侵害額請求(民法1046条)を受けます。事業承継のために後継者へ株式を集める場合でも、ほかの相続人に収益不動産や金融資産を割り当てる、生命保険を活用して代償資金を用意するなど、遺留分を意識した配分を設計します。反対に、推定相続人が兄弟姉妹だけであれば遺留分はないため、特定の人に全財産を遺す遺言も実現できます。
2. 不動産・非上場株式の「評価」を踏まえた設計
遺留分の計算では、不動産や非上場株式は相続開始時の時価で評価されます(民法1043条1項)。相続税の路線価や固定資産税評価額、税務上の株価は、遺留分の計算で使われる時価とは異なります。当事務所は不動産と非上場株式の評価が争点となる遺産分割・遺留分事件に注力しており、その経験から「この分配案なら、相続開始後にいくらの請求が見込まれるか」を具体的に試算したうえで遺言を設計します。
3. 遺言執行者の指定と、執行までを見据えた条項
遺言執行者を指定しておけば(民法1006条1項)、預貯金の解約や不動産の登記を、相続人全員の協力を得ずに進められます(民法1012条・1014条)。当事務所の弁護士、または弁護士法人IGT法律事務所そのものを遺言執行者に指定することができます。遺言者がご高齢でない場合など、執行までに長い年月が見込まれるときは、担当弁護士の死亡や退職の影響を受けない法人による指定が有効です。あわせて、遺言執行者の報酬(民法1018条)や、不動産の売却権限など執行に必要な権限も遺言に明記します。
4. 「もしも」に備える予備的な定めと付言事項
財産を受け取る予定の人が遺言者より先に亡くなった場合に備え、「その場合は○○に相続させる」という予備的な定めを置きます。配偶者が自宅に住み続けられるようにする配偶者居住権の遺贈(民法1028条)や、祭祀承継者の指定、遺言の趣旨やご家族への思いを記す付言事項も、争いを和らげる効果があります。
5. 税理士との連携と、定期的な見直し
資産が多い方の遺言では、相続税の負担や納税資金、一次相続と二次相続を通算した配分の検討が欠かせません。日頃からご相談されている税理士、または当事務所が連携する税理士と協働して分配案を作ります。作成後も、配偶者の死亡や財産の変動があれば見直しをおすすめします。遺言はいつでも撤回でき(民法1022条)、新しい遺言と抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされます(民法1023条1項)。
遺言執行とは|遺言執行者の職務と、弁護士が就任する意味
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務を持ちます(民法1012条1項)。主な職務は次のとおりです。
| 職務 | 内容(根拠条文) |
|---|---|
| 就任の通知 | 就任したら、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知します(民法1007条2項)。 |
| 財産目録の作成・交付 | 相続財産の目録を作成し、相続人に交付します(民法1011条1項)。 |
| 預貯金の解約・払戻し | 特定の相続人に預貯金を相続させる遺言では、遺言執行者が払戻しや解約をして受取人に引き渡します(民法1014条3項)。 |
| 不動産の登記 | 特定の相続人に不動産を相続させる遺言では、遺言執行者が所有権移転登記を申請できます(民法1014条2項)。相続登記は相続開始を知った日から3年以内の申請が義務化されています(不動産登記法76条の2)。 |
| 遺贈の履行 | 相続人以外の人や団体への遺贈は、遺言執行者だけが履行できます(民法1012条2項)。 |
| 報告と引渡し | 相続人の求めに応じて執行の状況を報告し(民法1012条3項・645条)、執行が終われば受け取った金銭や物を引き渡します(同・646条)。 |
遺言執行者がいる間、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為ができず、それに反する行為は無効です(民法1013条1項・2項)。遺言執行者の指定がない場合や、指定された人がすでに亡くなっている場合は、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が遺言執行者を選任します(民法1010条)。
弁護士・弁護士法人が遺言執行者になる意味
親族の一人を遺言執行者にすると、ほかの相続人から「公平に処理しているのか」と疑いの目を向けられ、説明や資料の開示をめぐって対立が生まれがちです。弁護士が就任すれば、財産目録の作成から解約・登記・引渡し・報告までを法律上の義務に沿って進め、記録を残します。相続人同士が疎遠で連絡が取りにくい事案、不動産の売却を伴う事案、受遺者に法人や相続人以外の方が含まれる事案では、特に有効です。
遺言執行者の処理に納得できない方へ
遺言執行者には、財産目録の交付義務(民法1011条)と、相続人の求めに応じた報告義務(民法1012条3項・645条)があります。遺産から自分への返済や立替金を控除していた、売却代金の使途が説明されないなど、処理に疑問がある場合は、根拠資料の開示を求め、任務を怠ったことによる損害賠償の請求や、家庭裁判所への解任請求(民法1019条1項)を検討します。当事務所では、遺言執行者であった長男の不当な控除を追及し、裁判上の和解で合計220万円の支払を受けた事例があります。
遺言書の作成・見直し、遺言執行のご相談
「書いただけの遺言」で終わらせないために。
「遺留分でもめない遺言にしたい」「事業を後継者に確実に引き継ぎたい」「遺言執行者がいなくて手続きが進まない」「遺言執行者の処理に納得できない」など、遺言に関するお悩みは、一人で抱え込まず弁護士にご相談ください。
弁護士法人IGT法律事務所では、初回60分の無料相談を実施しております。遺言書の作成から執行まで一貫して手がけてきた弁護士が、ご家族の状況に合った設計をご提案します。
遺言書の作成・遺言執行を弁護士法人IGT法律事務所に依頼する価値
1. 遺産分割・遺留分の「争う側」を知っているから、争いを防ぐ設計ができる
当事務所は、不動産や非上場株式の評価が争点となる遺産分割・遺留分事件を多数取り扱い、年間100件以上の相続相談に対応しています。相続開始後にどの条項が、どの相続人から、どのように攻撃されるかを知っているからこそ、その攻撃を受けにくい遺言を設計できます。
2. 法律・評価・税務の三面から分配案を組み立てる
担当弁護士は、弁護士資格に加えて2級FP技能士と認定経営革新等支援機関の資格を持ち、東京弁護士会の相続遺言部会に所属しています。不動産鑑定士・税理士・司法書士・公認会計士のネットワークにより、評価・税務・登記までワンストップで対応します。
3. 「弁護士法人」として遺言執行者になれる
個人の弁護士ではなく弁護士法人を遺言執行者に指定できるため、執行までに長い年月が見込まれる場合でも、担当者の変動に左右されずに執行を担います。
4. 作成から執行、執行者への請求まで一貫対応
公開している遺言書作成・遺言執行の解決事例8件のうち、作成の6件はすべて公正証書遺言で、うち5件で遺言執行者を指定しました。家庭裁判所の選任を受けて遺言執行者に就任した事例、遺言執行者の不当な処理を追及した事例もあります。
【実績紹介】当事務所の遺言書作成・遺言執行に関する解決事例
遺言書の作成が特に重要なケース
お子さまのいないご夫婦・おひとりの方
お子さまがいない場合、配偶者とともに親または兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪)が相続人になります。遺言がなければ、配偶者は疎遠な義理の兄弟姉妹や甥・姪と遺産分割協議をしなければなりません。兄弟姉妹には遺留分がないため、「配偶者に全財産を相続させる」「面倒を見てくれた甥に遺贈する」という遺言で、協議そのものを不要にできます。詳しくは子供のいない夫婦の遺言書|兄弟姉妹・甥姪が相続人になる場合と配偶者に全財産を遺す方法をご覧ください。
会社の株式や事業用資産を後継者に承継させたい方
非上場株式を後継者に集中させると、ほかの相続人の遺留分を侵害しやすくなります。株式の評価額の見込みを立てたうえで、ほかの相続人への収益不動産・金融資産の割り当て、生命保険や生前贈与の活用、遺留分の事前放棄(民法1049条)の要否までを検討します。
相続人の中に連絡の取れない人・疎遠な人がいる方
海外在住や音信不通の相続人がいると、遺産分割協議が事実上できません。遺言と遺言執行者の指定があれば、その相続人の協力を得ずに預貯金の解約や登記を進められます。
再婚されている方・前の配偶者との間にお子さまがいる方
現在の配偶者と前の配偶者との間の子は、互いに面識がないことも多く、遺産分割協議は難航しがちです。双方の遺留分に配慮しつつ、自宅は配偶者に、金融資産は子に、という設計で協議を不要にします。配偶者居住権(民法1028条)の活用も選択肢です。
財産の大半が不動産・非上場株式の方、資産が多い方
分けにくい財産が中心の場合、誰がどの物件・株式を取得し、差額をどう調整するかの設計が要になります。相続税の納税資金や、一次相続と二次相続を通算した配分も含め、税理士と連携して分配案を作ります。
以前作った遺言の前提が変わった方
配偶者の死亡、不動産の売却・購入、生前贈与、相続人の死亡などがあれば、遺言の見直しが必要です。新しい公正証書遺言を作成すれば、抵触する部分について前の遺言は撤回されたものとみなされます(民法1023条1項)。
ご相談から遺言書完成・執行までの流れ
【遺言書の作成】
1 お問い合わせ・初回無料相談(60分)
お電話またはお問い合わせフォームからご予約ください。初回相談では、ご家族の状況、財産の概要、「誰に何を遺したいか」のご希望をうかがい、遺留分の見込みや遺言執行者の要否など、設計上の論点と費用の見通しをお伝えします。財産の一覧ができていなくても構いません。その場で依頼を決める必要はありません。
2 ご依頼・相続関係と財産の整理
委任契約の締結後、戸籍で推定相続人を確認し、不動産の登記情報・固定資産税評価、預貯金・有価証券、非上場株式、保険、負債などの財産を一覧にします。不動産や非上場株式は、遺留分の計算で使われる時価の見込みを立てます。
3 分配案の設計・条項案の作成
遺留分、評価、税務、執行のしやすさを踏まえて分配案を設計し、予備的な定め・遺言執行者・付言事項を含む条項案を作成します。必要に応じて税理士と協働します。ご本人と内容を確認しながら、納得いただけるまで修正します。
4 公証人との調整・公正証書遺言の作成
当事務所が公証役場と条項案・必要書類・日程を調整します。作成当日は、公証人の面前で遺言者が遺言の趣旨を述べ、証人2人の立会いのもとで公正証書遺言が完成します。証人は当事務所の弁護士・職員が務めることができます。公証人の手数料は財産の価額等に応じて公証人手数料令で定められており、別途ご負担いただきます。
5 保管と見直し
原本は公証役場が保管し、正本・謄本をお渡しします。遺言執行者に当事務所を指定した場合は、謄本を当事務所でもお預かりします。ご家族や財産の状況が変わったときは、見直しのご相談を承ります。
【遺言執行】
1 就任と相続人への通知
相続開始の連絡を受け、遺言執行者への就任を承諾し、相続人全員に遺言の内容を通知します(民法1007条2項)。家庭裁判所の選任が必要な場合は、選任の申立てから行います(民法1010条)。
2 相続財産の調査と財産目録の交付
金融機関への残高照会、不動産の登記情報の取得などを行い、財産目録を作成して相続人に交付します(民法1011条1項)。
3 預貯金の解約・不動産の登記・遺贈の履行
預貯金の払戻し・解約、不動産の所有権移転登記(司法書士と連携)、受遺者への引渡しを進めます(民法1012条2項・1014条)。遺言に売却の定めがあれば、不動産の売却も行います。
4 引渡しと執行の報告
受け取った金銭や物を受取人に引き渡し、執行の経過と結果を相続人に報告して任務を終えます(民法1012条3項・645条・646条)。
弁護士費用(税込)
当事務所の遺言関係の弁護士費用は次のとおりです(弁護士費用のページと同一の基準です)。ご依頼前に必ずお見積りを提示し、ご納得いただいたうえで着手します。
遺言書作成支援
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 初回法律相談 | 初回60分無料 |
| 遺言書作成支援業務 | 220,000円〜 相続人の人数・遺産規模によってお見積りします。遺言書の作成指導にとどまらず、保有資産の整理・遺言書の設計コンサルティングを含みます。 目安:資産額1億円程度の場合 44万円ほど/資産額3億円程度の場合 55万円ほど |
| 公正証書遺言 証人立会い日当 | 11,000円/1人 |
遺言執行業務(遺産総額に応じた報酬金)
| 遺産総額 | 報酬金(税込) |
|---|---|
| 3,000万円以下の場合 | 2.2% |
| 3,000万円超〜3億円以下の場合 | 1.1%+33万円 |
| 3億円を超える場合 | 0.55%+198万円 |
最低金額は33万円です。訴訟等の法的手続きが生じる場合は別途となります。
費用例
| ケース | 弁護士費用(税込) |
|---|---|
| 資産約1億円の方が公正証書遺言を作成(証人2人を当事務所が担当) | 作成支援 約44万円 + 証人日当 22,000円 = 約46万円(公証人手数料は別途) |
| 遺産総額1億円の遺言執行 | 1億円×1.1%+33万円 = 143万円 |
| 遺産総額3,000万円の遺言執行 | 3,000万円×2.2% = 66万円 |
- 遺言書の作成は公正証書遺言に限ってお引き受けしており、遺言執行業務も合わせてお引き受けしています。
- 公正証書遺言の作成には、公証役場に対する手数料等が別途かかります。手数料は財産の価額や受け取る人の数に応じて公証人手数料令で定められており、お見積りの際に見込みをお伝えします。
- 戸籍・登記情報の取得費用、登録免許税、司法書士報酬などの実費・専門家費用は別途です。
- 遺言執行者の不当な処理に対する請求や遺言無効確認など、紛争となる事件は、弁護士費用のページの「その他紛争事件」の基準でお見積りします。
遺言書作成・遺言執行に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらで作るべきですか?
A. 争いが予想される場合や、不動産・非上場株式を含む資産がある場合は、公正証書遺言をおすすめします。公証人が作成して原本を保管するため形式の不備で無効になるおそれが小さく、家庭裁判所の検認も不要です(民法969条・1004条2項)。当事務所の遺言書作成は、公正証書遺言に限ってお引き受けしています。
Q2. 遺言執行者は必ず指定しなければいけませんか?
A. 必須ではありません。ただし、指定しておけば、預貯金の解約や不動産の登記を遺言執行者が単独で進められます(民法1012条・1014条)。相続人同士が疎遠な場合や連絡の取れない相続人がいる場合は、指定を強くおすすめします。指定がない場合や指定された人が亡くなっている場合は、家庭裁判所に選任を申し立てます(民法1010条)。
Q3. 遺留分を侵害する内容の遺言は無効になりますか?
A. 無効にはなりません。ただし、遺留分を持つ相続人は、多く取得した人に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できます(民法1046条)。請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年で時効にかかります(民法1048条)。兄弟姉妹には遺留分がないため(民法1042条)、推定相続人が兄弟姉妹だけであれば、この心配はありません。
Q4. 会社の株式を後継者に集める遺言を作りたいのですが、注意点は?
A. 非上場株式の評価額が高いと、ほかの相続人の取り分が遺留分を下回りやすくなります。株式の評価額の見込みを立てたうえで、ほかの相続人に収益不動産や金融資産を割り当てる、生命保険で代償資金を用意するなどの設計が必要です。後継者以外の相続人に遺留分の事前放棄(民法1049条、家庭裁判所の許可が必要)をしてもらう方法もあります。
Q5. 親が高齢で、認知症の診断を受けています。遺言は作れますか?
A. 遺言には遺言能力が必要です(民法963条)。認知症の診断があっても、遺言の内容を理解し判断する能力があれば作成できる場合がありますが、後から有効性を争われるリスクが高くなります。公正証書遺言を選び、作成時の医師の診断書を残すなどの対応を検討します。能力の程度によっては作成を見送らざるを得ないこともあるため、早めにご相談ください。
Q6. 自宅で父の自筆証書遺言を見つけました。どうすればよいですか?
A. 封がされていれば開封せず、家庭裁判所に検認を申し立ててください(民法1004条1項・3項)。検認を経ずに開封しても遺言が無効になるわけではありませんが、過料の対象となり(民法1005条)、相続人間の不信を招きます。法務局に保管されていた自筆証書遺言や公正証書遺言であれば、検認は不要です。
Q7. 遺言執行者に指定された人がすでに亡くなっていました。
A. 利害関係人(相続人・受遺者など)が家庭裁判所に申し立てて、遺言執行者を選任してもらいます(民法1010条)。当事務所の弁護士を候補者として申し立て、選任後に執行を担うことができます。
Q8. 遺言執行者になった兄の処理に納得がいきません。何ができますか?
A. 遺言執行者には、財産目録の交付(民法1011条)と、相続人の求めに応じた報告(民法1012条3項・645条)の義務があります。まず根拠資料の開示と説明を求め、応じない場合や説明に合理性がない場合は、任務を怠ったことによる損害賠償の請求や、家庭裁判所への解任請求(民法1019条1項)を検討します。
Q9. 一度作った遺言を後から書き換えられますか?
A. できます。遺言はいつでも遺言の方式に従って撤回でき(民法1022条)、新しい遺言と抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされます(民法1023条1項)。配偶者の死亡や資産の変化で前提が変わったときは、見直しをおすすめします。
Q10. 2026年の民法改正を待ってから遺言を作ったほうがよいですか?
A. おすすめしません。押印要件の廃止や保管証書遺言の創設は、2026年10月10日時点で施行日が未定です。施行を待つあいだに遺言能力を失えば、遺言そのものを残せなくなります。現行の方式で作成した遺言は、改正後も有効です。
Q11. 遺言書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 財産の整理と分配案の設計、公証役場との調整を経て、おおむね1〜3か月程度が目安です。資産の種類が多い場合や税理士との協働が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。お急ぎの事情があれば、初回相談でお知らせください。
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参照法令・一次情報
- e-Gov法令検索「民法」(遺言能力961条・963条、自筆証書遺言968条、公正証書遺言969条、証人の欠格974条、検認1004条・1005条、遺言執行者1006条〜1021条、撤回1022条・1023条、配偶者居住権1028条、遺留分1042条〜1049条)
- e-Gov法令検索「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(検認の適用除外11条)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(相続登記の申請義務76条の2)
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」
- 日本公証人連合会「公正証書遺言・手数料」
- 裁判所「遺言書の検認」「遺言執行者の選任」
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※ 本記事は、最終更新日(2026年10月10日)時点の法令、判例、実務に基づき作成しており、その後の法改正等に対応していない可能性があることをご了承ください。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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