遺産分割の解決事例|不動産・非上場株式の評価と分割方法で正当な権利を確保した実績紹介
公開日:2026年3月25日/最終更新日:2026年9月28日(事例一覧表を追加・よくあるご質問を6問に拡充)
弁護士法人IGT法律事務所では、税理士・不動産鑑定士などの専門家とも連携し、客観的かつ適正な評価と分割設計によって、多くの遺産分割トラブルを解決に導いてまいりました。
ここでは、当事務所が実際に手がけた遺産分割の解決事例をご紹介します。
遺産分割の解決事例の一覧(争点と結果)
掲載している11件では、不動産・非上場株式の評価、特別受益(生前贈与・遺言・生命保険金)の扱い、分割方法の選択(代償分割・換価分割・共有持分の売却など)が主な争点になりました。
| No. | 主な争点 | 手続・結果 |
|---|---|---|
| ① | 非上場株式を相続させる遺言がある場合の黙示の持戻し免除の意思表示(遺産総額11億円) | 裁判所が持戻し免除を認めず、取得額が当初提案より1億円以上増加 |
| ② | 相手方が提示した低い不動産査定と根拠のない寄与分の主張 | 調停で裁判所選任の鑑定士による全件鑑定を実施し、代償金1,250万円を獲得 |
| ③ | 遺言で取得した財産を特別受益として持ち戻すか | 調停で持戻し計算が受け入れられ、代償金1,800万円を獲得 |
| ④ | 収益不動産(収益還元法)と非上場株式(評価方式の選択)の評価 | 代償金5,300万円を獲得 |
| ⑤ | 不動産管理会社の株価(保有不動産の評価と評価方式) | 交渉・調停で代償金4,000万円を獲得 |
| ⑥ | 相手方が提示した著しく低い代償金 | 当初提案の2倍以上、代償金1,000万円を獲得 |
| ⑦ | 工場跡地の土壌汚染リスクと非上場株式の評価(遺産2億9,000万円) | 汚染調査のうえ入札による任意売却(換価分割)、会社の清算を並行して調停成立 |
| ⑧ | 相続人12名の合意形成 | 調停で代償分割が成立 |
| ⑨ | 協議が進まない中での共有不動産の扱い | 共有持分の売却で遺産分割問題を解消 |
| ⑩ | 葬儀費用・立替金の精算、未登記建物の扱いなど複数の争点 | 申立てから約7か月で調停成立、預金と自動車で合計2,200万円を取得 |
| ⑪ | 生命保険金約5,600万円を特別受益とする主張と自社株の生前贈与 | 持戻しの主張を撤回させ、取得額が約1,680万円から約2,980万円に増加 |
※掲載の解決事例は、個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
当事務所の遺産分割トラブル解決事例
① 遺産分割|持戻し免除の意思表示否定、遺産総額11億円の相続で取得額1億円以上増加
【概要】
被相続人が経営する会社の非上場株式を三男に相続させる公正証書遺言がある一方、他の財産に関する指定がなく、兄弟間で紛争が生じた事案です。非上場株式の評価額が他の遺産と比べて著しく高額であったことから、「黙示の持戻し免除の意思表示」が認められるか否かが最大の争点となりました。当事務所が長男側の代理人として主張を展開した結果、裁判所は持戻し免除を認めず、当方依頼者の法定相続分を正当に確保。相手方の当初提案と比較して、取得資産が1億円以上増加する結果となりました。
② 遺産分割|不動産を全件鑑定し、適正な代償金1,250万円を獲得
【概要】
法定相続人は姉(依頼者)と弟の2名。弟は家督相続的な主張を行い、都内・地方の不動産について不当に低い査定金額を提示するほか、根拠のない寄与分まで主張してきた難事件です。当事務所は速やかに調停申立てを行い、裁判所が選任した中立の不動産鑑定士による全件鑑定を実現。適正な評価額をもとに特別受益の一部が認められ、最終的に代償金1,250万円を獲得。相手方の査定よりも大幅に高い水準での解決を実現しました。
③ 遺産分割|遺言による特別受益を主張し、代償金1,800万円を獲得
【概要】
「特定の財産を父と弟に相続させる」と定めた公正証書遺言があったものの、記載のない残余財産の扱いをめぐり兄弟間で鋭く対立した事案です。弟は「遺言で決まった財産は別計算、残りは平等に分ける」と主張しましたが、この主張は法的に誤りです。当事務所は「遺言取得分は特別受益として持ち戻し計算するべき」との正しい法的構成で調停を追行し、相手方も主張を受け入れざるを得なくなり、代償金1,800万円の獲得に成功しました。
④ 遺産分割|収益不動産・非上場株式の遺産分割で代償金5,300万円を獲得
【概要】
収益不動産と非上場株式という、いずれも評価が難しい資産を含む遺産分割トラブルです。収益不動産は収益還元法の適用の余地があり、非上場株式は財産評価基本通達上の評価方式の選択が結果を左右します。当事務所は各資産の評価額を徹底的に精査・主張し、代償金5,300万円という高額な解決を実現しました。不動産・非上場株式双方の評価実務に精通した弁護士が一貫して対応したことが奏功した事案です。
⑤ 遺産分割|不動産管理会社の株式の遺産分割で、代償金4,000万円を獲得
【概要】
遺産の中核が「不動産管理会社の株式」という事案です。不動産管理会社の株式評価は、保有する不動産の評価額が株価を大きく左右するため、類似業種比準方式・純資産価額方式の選択と、保有不動産の評価のあり方が争点になります。当事務所は、独自に取得した不動産査定書と非上場株式評価を連動させた戦略的な主張により交渉・調停を進め、代償金4,000万円を獲得する形で解決しました。
⑥ 遺産分割|当初提案の代償金額を2倍以上に引き上げ、代償金1,000万円を獲得
【概要】
相手方が提示した代償金の金額が著しく低額であった事案です。不動産評価を精査したところ、相手方の査定には合理的根拠がなく、実勢価格の不動産査定書により反論を展開しました。当事務所の介入により、当初提案の2倍以上となる代償金1,000万円を獲得。相手方の言い値を鵜呑みにして安易に合意していれば生じていた損失を、弁護士への早期相談で回避できた事例です。
⑦ 遺産分割|遺産2億9,000万円の富裕層の複合案件を解決(事業用不動産+非上場株式)
【概要】
遺産総額約2億9,000万円のうち、大半を「事業用不動産(工場)」と「非上場会社の株式」が占めた高度な複合案件です。工場跡地特有の土壌汚染リスクがあったため、専門業者による汚染調査を実施した上で換価分割(入札による任意売却)を実現。また、事業の将来性を検討した結果、会社の廃業・清算手続きを並行して進めることで株式評価を巡る対立を解消し、遺産分割調停を無事成立させました。
⑧ 遺産分割|相手方相続人11名との間で、不動産の代償分割を実現
【概要】
法定相続人が計12名という多数当事者案件です。相続人が多いほど、全員の合意形成は困難を極めます。当事務所は代理人として不動産の評価と分割方法を整理し、各相続人の利害を踏まえた交渉を粘り強く継続。協議から調停に移行し、不動産の代償分割という形で調停を成立させ、長期間膠着していた案件を解決に導きました。
⑨ 遺産分割|不動産の共有持分売却により遺産分割を解決
【概要】
他の相続人との遺産分割協議が進まない状況において、共有持分の売却という手法を活用して遺産分割を解決した事案です。不動産を共有のまま放置することは権利関係の複雑化を招き、将来的な売却や活用にも支障をきたします。当事務所は依頼者にとって最も有利な出口戦略を提案し、共有持分の売却を実現することで遺産分割問題を解消しました。
⑩ 遺産分割|多数の争点を丁寧に整理し、希望どおり預金2,200万円を獲得
【概要】 母の遺産をめぐり、長女である依頼者と長男である相手方との間で感情的な対立が続き、当事者だけでは協議を進められない状況にあった事案です。遺産は不動産・複数の預貯金・出資金・満期共済金・自動車と多岐にわたり、さらに葬儀費用や立替金の精算範囲、祖母の持分とされる未登記建物の取扱いなど複合的な争点が絡んでいました。当事務所は内容証明郵便による交渉から速やかに遺産分割調停へ移行し、各争点を証拠に基づいて精査・固定化するとともに、未登記建物の問題を本件から切り離して整理することで、申立てから約7か月で調停を成立させ、依頼者は希望どおり預金と自動車を取得し合計2,200万円を獲得しました。
⑪ 遺産分割|生命保険金5,600万円の特別受益主張を退け、取得額を約1,300万円増加
【概要】 遺産の6割以上が、二男が経営を承継した非上場会社の株式であった事案です。相手方が最初に示した分割案は、ご依頼者様の取得額を約1,680万円とするもので、その前提には、ご依頼者様が受け取った生命保険金約5,600万円を特別受益として持ち戻すべきだという主張と、自社株の生前贈与を13株分のみ計上する取扱いがありました。当事務所は、死亡保険金が受取人固有の財産であり原則として特別受益に当たらないとする最高裁平成16年10月29日決定の枠組みを示して反論し、相手方に持戻しの主張を撤回させました。あわせて贈与契約書の開示を求め、生前贈与された自社株が実際には累計74株に及ぶことを明らかにしたうえ、その74株について遺留分侵害額請求の意思表示を通知し、交渉全体の均衡を確保しました。結果、ご依頼者様の取得額は約2,980万円となり、当初提案から約1,300万円増加しました。
不動産・非上場株式が絡む遺産分割で当事務所が重視していること
遺産分割の帰結は、「評価額」と「分割方法」の選択によって数百万円から数千万円単位で変わります。当事務所では、次の3点を重視しています。
適正評価を導き出す専門的ノウハウ
不動産の評価は、路線価・公示地価・実勢価格・収益還元価格のいずれを用いるかで、最終的な代償金に大きな差が生じます。さらに、セットバックによる有効面積の減少・接道状況・境界問題・賃料収入など、個別物件固有の事情が評価額を数百万円単位で左右します。
非上場株式についても同様です。類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式のどれを使うか、また決算書に潜む内部留保や含み益をどう読み解くかが、交渉の結果を分けます。
IGTは弁護士(法務)と提携税理士・公認会計士(税務・財務)が連携し、相手方が提示する評価額の「根拠の穴」を数字で潰す準備を初動から整えます。経営革新等支援機関・2級FP技能士の資格を持つ代表弁護士が財務資料を直接読み込むことが、この連携の起点です。
分割方法の設計力と多数当事者への対応力
遺産分割には「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」という4つの方法があり、依頼者にとって最も有利な方法はケースごとに異なります。たとえば、不動産を取得したい相続人がいる場合は代償分割、誰も引き取れない場合は換価分割(売却して現金で分ける)が有効です。
また、相手方相続人が11名に上る案件のように、多数当事者が絡む遺産分割においては、各人の利害を整理した上で、全員が合意できる着地点を設計する交渉力が不可欠です。IGTはこの両方の実績を持っています。
調停・審判を見据えた全体設計と早期解決への意識
遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所への「遺産分割調停」申立てが必要になります。調停でも合意が成立しない場合は「審判」に移行し、裁判所が分割方法を決定します。
IGTが重視しているのは、「今の証拠と相手方の出方を前提に、どのフェーズで着地させることが依頼者の最大利益になるか」という全体設計です。長期化するほど依頼者の精神的・経済的負担は増大します。当事務所は、3年を要した難事件においても粘り強く対応し続ける一方、早期解決が可能な案件では速やかに協議・調停を進める柔軟な判断を大切にしています。
費用倒れになるリスクが高いと判断した場合には、ご相談の段階でその旨を率直にお伝えします。
遺産分割の解決事例に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 掲載されている解決事例と自分の状況が少し違うのですが、相談できますか?
A. はい、ご相談いただけます。遺産分割のトラブルは、ご親族の関係・遺産の内容・遺言書の有無によって事情がまったく異なります。解決の結果も個別の事情によって大きく変わるため、掲載事例と同様の結果をお約束することはできませんが、初回相談で資料を拝見し、見通しと進め方をご説明します。
Q2. 相手が提示する不動産・株式の評価額が適正かどうか判断できません。
A. 遺産分割では、不動産や株式を原則として分割時の時価で評価します。相続人全員が合意すれば、その価格で分けることもできます。調停では、各自が査定書などを出し合って評価の合意を目指し、合意できなければ裁判所が選任した鑑定人による鑑定を行います(上の事例②)。非上場株式は、相続税申告用の評価(財産評価基本通達)と遺産分割で問題になる時価が一致しないのが通常です。
Q3. 遺産分割はいつまでに行わなければなりませんか?
A. 遺産分割そのものに期限はありません。ただし、相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月)までに分割が決まっていないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を原則としてその時点では使えません(申告期限から3年以内に分割すれば、後から適用を受けられる手続があります)。また、2023年4月1日以降は、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を主張できなくなります(民法904条の3)。
Q4. 生前贈与や生命保険金は、遺産分割でどのように扱われますか?
A. 生前贈与や遺贈のうち特別受益にあたるものは、相続財産に持ち戻して各相続人の取り分を計算します(民法903条)。被相続人が持戻しを免除する意思を示していた場合は持ち戻しませんが、その意思が認められるかどうかが争いになることがあります(上の事例①)。生命保険金は受取人固有の財産とされ、原則として特別受益にあたりませんが、不公平が著しい特段の事情がある場合は持戻しの対象となり得ます(最高裁平成16年10月29日決定、上の事例⑪)。
Q5. 話し合いがまとまらない場合は、どうなりますか?
A. 家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停委員を交えて話し合います。調停が成立しない場合は、自動的に審判の手続に移り、裁判所が分割方法を決めます(家事事件手続法272条4項)。分割方法には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割があり、審判で代償分割を命じるには、不動産を取得する相続人に代償金の支払能力があることが必要とされています(最高裁平成12年9月7日決定)。
Q6. 弁護士費用がいくらかかるか不安です。費用倒れになりませんか?
A. ご相談時に費用体系と今後の見通しをご説明し、費用倒れになるおそれが高い場合は、その旨を率直にお伝えします。ご納得いただけないまま契約をお願いすることはありません。費用の目安は弁護士費用のページをご覧ください。
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【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。掲載の解決事例は個別の事情を前提とした結果であり、同様の結果をお約束するものではありません。



