遺産分割|相手方相続人11名との間で、不動産の代償分割を実現

相手方相続人11名との間で、不動産の代償分割を実現

遺産分割|相手方相続人11名との間で、不動産の代償分割を実現

公開日:2025年5月1日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺産分割(協議から調停へ)
ご依頼者 被相続人の妻(お子様はなく、被相続人名義の自宅に居住)
相手方 被相続人の兄弟姉妹と代襲相続人の計11名
主な遺産 被相続人名義の自宅不動産(死亡から7〜8年が経過し、相続登記は未了)
主な課題 一部の相続人の非協力による協議の中断、体が不自由で印鑑証明書などの取得が難しい相続人の存在
当事務所の対応 11名に手紙を送って協議し、9名から相続分の譲渡を受けて手続から外れていただいたうえで、残る2名を相手方として遺産分割調停を申し立て、うち1名からも相続分譲渡合意書を取得
結果 調停で代償分割が成立し、自宅不動産を確保

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

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依頼前の状況

被相続人はすでに7〜8年ほど前にお亡くなりになっておりましたが、被相続人名義の自宅不動産(現在もご相談者様が住んでいる)の相続登記を行うべく、ご相談者様が行政書士に依頼して遺産分割協議書を作成しようとしたところ、ある特定の相続人が、理不尽な言動を行い、遺産分割協議が中断していました。

このままでは、自宅不動産が売却、処分できない状況のままになってしまって、のちのち困ることから、当事務所にご相談いただきました。

依頼者様ご夫妻にはお子様がいらっしゃらなかったため、被相続人の兄弟が法定相続人として登場します。また、すでに亡くなっている兄弟もいらっしゃっていて、代襲相続人を整理すると、相手方が11名になりました。

この相手方との間で遺産分割協議を行い、代償分割で自宅不動産の権利を確保したいというのが、ご相談者様のご希望でした。

対応と結果

当職から、11名の相続人にお手紙を送付し、遺産分割協議を行いました。

相手方相続人の方とコミュニケーションをすると、理不尽な言動を行った特定の相続人は、ほかの方の遺産分割でも理不尽な言動を行って遺産分割が合理的に進まないなどとおっしゃる方もいらっしゃいました。

そこで、遺産分割調停や審判による解決も視野に入れて進めることにしました。

11名の相手方のうち、9名からはご同意をいただき、相続分の譲渡を受けて手続から外れていただきましたが、問題の相続人の方と、お体が不自由で印鑑証明書などを取得するのが難しいという相続人の方が残りましたので、このお二人を相手に遺産分割調停の申し立てを行いました。

その後、お体が不自由な方からは相続分譲渡合意書がいただけまして、問題の相続人のみを残しましたが、調停期日内では不規則発言をするものの、代償分割に納得していただき、無事に調停成立となり、自宅不動産の権利を確保することに成功しました。

当事務所からのコメント

依頼者様ご夫婦にはお子さんがいらっしゃらなかったため、生前に遺言書を作成しておく意味が特に大きい事案でした。

遺言書に、奥様に全部渡すと書いてあれば、本件の遺産分割の対応は不要でしたので、遺言書による生前対策の重要性をあらためて感じる案件でした。

また、本件のように相続人が多くなってしまうご相談もよくあります。

このような案件についても、他の相続人と誠実に、丁寧にコミュニケーションして、解決していきます。

相続人の人数が多くて途方に暮れている方はぜひご相談ください。

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子どものいない夫婦の遺産分割に関するよくある質問

Q. 子どものいない夫が亡くなった場合、誰が相続人になりますか?

A. 配偶者は常に相続人になります(民法890条)。子がいない場合は、配偶者とともに、まず親などの直系尊属が相続人になり、直系尊属がいないときは兄弟姉妹が相続人になります(民法889条1項)。配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が全員で4分の1です(民法900条3号)。兄弟姉妹が多いと、相続人の数も多くなります。

Q. 兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、誰が相続人になりますか?

A. その兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が代わりに相続人になります(代襲相続。民法889条2項)。ただし、兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪までで、甥・姪の子には及びません。本件では、代襲相続人を含めると相手方が11名になりました。

Q. 一部の相続人が協力しない場合や、印鑑証明書を用意できない相続人がいる場合は、どうすればよいですか?

A. 遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも合意しなければ成立しません。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停が成立しない場合は審判の手続に移ります(家事事件手続法272条4項)。本件では、体が不自由で印鑑証明書などの取得が難しい相続人から相続分譲渡合意書をいただき、残る一人との間で調停を成立させました。

Q. 長年そのままにしていた相続登記は、今からでもしなければなりませんか?

A. 2024年4月1日から相続登記が義務になり、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります(不動産登記法76条の2)。2024年4月1日より前に開始した相続も対象で、原則として2027年3月31日までに申請が必要です。遺産分割がまとまらない場合でも、自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」によって、義務を果たす方法があります。

Q. 子どものいない夫婦は、遺言書を作っておくべきですか?

A. 兄弟姉妹には遺留分がないため(民法1042条1項)、「配偶者に全財産を相続させる」という遺言書があれば、兄弟姉妹やその代襲相続人と遺産分割協議をしなくても、配偶者が遺産を取得できます。本件も、そのような遺言書があれば遺産分割の対応は不要でした。

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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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