遺産分割|不動産の共有持分売却により遺産分割を解決
公開日:2025年10月10日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 遺産分割(交渉・調停、共有持分の売却で解決) |
|---|---|
| ご依頼者 | 被相続人(父)に認知された婚外子 |
| 相手方 | 被相続人の妻Aと、妻との間の子B・C(調停では代理人あり) |
| 主な遺産 | 収益物件を含む被相続人名義の複数の不動産 |
| 主な争点 | 遺産の範囲(相手方が被相続人名義の不動産を「自分が買ったもの」と主張)、不動産の情報の不開示 |
| 当事務所の対応 | 遺産調査、交渉の通知、遺産分割調停の申立て。調停が長期化したため、共有持分を第三者に売却する方法を提案し、買受人を探索 |
| 結果 | 共有持分を売却して権利関係から抜け、遺産分割を解決 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
依頼前の状況
依頼者様は、被相続人(父)に認知された婚外子で、相手方相続人は、被相続人の妻A、被相続人の妻との間の実子が2人(B、C)という事案です。
被相続人の相続開始後、Bから依頼者様に連絡があり、遺産を放棄してくれというような趣旨のお話がありましたが、被相続人の全体の財産の情報開示もなく、具体的な代償金の提案もありませんでした。
これでは、遺産分割の話し合いが進まないということで、当事務所にご相談がありました。
対応と結果
当事務所で遺産調査を行ったところ、被相続人名義の不動産が、収益物件も含めて複数出てきましたので、しっかりと遺産分割の交渉を行い、相応の代償金を取得してしかるべき事案と判断しました。
そこで、当事務所が依頼者様の代理人として、相手方A、B、Cに対して交渉の通知を送付しても、何の音沙汰もなかったため、遺産分割調停の申立てを行いました。
相手方は代理人を立てて遺産分割調停に臨みましたが、自身が被相続人の不動産を実際に管理しているにもかかわらず不動産の情報を開示せず、被相続人名義の不動産についても、自分が買ったものであり遺産ではないという主張を繰り返しました。
この結果、遺産分割調停が長期化することとなりました。
依頼者様は早期解決をご希望でしたので、当事務所から不動産の共有持分売却をご提案しました。不動産の共有持分を第三者に売却して、その権利関係から抜け、遺産分割を解決する方法でした。
当事務所で共有持分の買受人探索を行い、売却することで、本件の遺産分割を解決することができました。
当事務所からのコメント
本件は難事件でした。遺産分割調停のなかで、遺産の範囲が固まらずに長期化するケースはあり得るのですが、本件では、被相続人の登記名義があるにもかかわらず、被相続人の遺産ではないという主張が続きました。
遺産確認の訴えなど別の方法も考えられましたが、解決にかなり時間がかかることから、共有持分売却という別の解決策をご提案し、解決することができました。
共有持分売却は、どの事案でも使えるわけではありません。事案に応じて解決方法を選ぶことの大切さが表れた事例です。
不動産・非上場株式の複雑な相続トラブル
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当事務所のその他の遺産分割解決事例は、こちらのまとめページでご覧いただけます。
共有持分の売却による遺産分割の解決に関するよくある質問
Q. 認知された婚外子の相続分は、ほかの子と違いますか?
A. 現在は違いがありません。以前は、婚外子(嫡出でない子)の相続分は嫡出子の2分の1とされていました。しかし、最高裁平成25年9月4日決定がこの規定を憲法違反と判断し、同年に民法が改正されました。現在は、認知された婚外子も、ほかの子と同じ割合で相続します(民法900条4号)。
Q. 遺産分割が終わる前に、不動産の共有持分を第三者に売却できますか?
A. できます。相続人は、遺産分割の前でも、遺産である不動産についての自分の共有持分を第三者に譲り渡すことができます。持分を取得した第三者と他の相続人との共有関係を解消する手続は、遺産分割ではなく共有物分割(民法258条)によるとされています(最高裁昭和50年11月7日判決)。本件では、当事務所で買受人を探して共有持分を売却し、ご依頼者様は権利関係から抜けることができました。
Q. 相続分をまとめて第三者に譲り渡した場合、他の相続人はどうなりますか?
A. 相続人の一人が遺産分割の前に自分の相続分を第三者に譲り渡した場合、他の相続人は、1か月以内であれば、その価額と費用を支払って相続分を取り戻すことができます(民法905条)。第三者への譲渡を考える場合は、この点も踏まえて進め方を検討する必要があります。
Q. 相手方が「この不動産は自分が買ったもので、遺産ではない」と主張しています。どうすればよいですか?
A. ある財産が遺産に含まれるかどうかに争いがある場合、遺産確認の訴えを起こして確定させる方法があります(最高裁昭和61年3月13日判決)。登記名義や購入資金の出どころなどが判断の材料になります。ただし、訴訟には時間がかかるため、本件では、早期解決を希望されたご依頼者様に、共有持分の売却という別の方法をご提案しました。
Q. 相手方が遺産の情報を開示しない場合は、どうすればよいですか?
A. 不動産の登記事項証明書や、市区町村の固定資産の名寄帳などで、被相続人名義の不動産を調べる方法があります。話し合いが進まない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます(家事事件手続法244条・255条。申立先は原則として相手方の住所地の家庭裁判所です。同法245条1項)。本件でも、遺産調査で収益物件を含む複数の不動産を把握し、交渉の通知に返事がなかったため、遺産分割調停を申し立てました。
(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
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【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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