遺留分侵害額請求の解決事例|不動産・非上場株式の評価を争い適正額を獲得した実績
公開日:2026年3月22日/最終更新日:2026年10月17日(遺産総額約24億円の遺留分の事例を一覧の先頭に追加)
遺留分(いりゅうぶん)のトラブルにおいて、対象となる遺産に「不動産」や「非上場株式(自社株)」が含まれる場合、その「評価額をいくらとするか」が最大の争点となります。
弁護士法人IGT法律事務所では、税理士や不動産鑑定士等の専門家とも連携し、客観的かつ適正な評価額を算定することで、多くの遺留分トラブルを解決に導いてまいりました。
ここでは、当事務所が実際に手がけた遺留分の解決事例をご紹介します。
遺留分の解決事例の一覧(立場・争点・結果)
掲載している6件のうち、遺留分を請求する側の事例が4件、請求された側の事例が2件です。いずれも、不動産や非上場株式を「いくらと評価するか」が金額を左右しました。
| No. | 依頼者の立場 | 主な争点 | 結果 |
|---|---|---|---|
| ① | 請求する側 | 遺産総額約24億円の相続での不動産6物件の評価(当方と相手方の差は8億円以上)、一部弁済の充当 | 裁判所鑑定で評価を確定し、遅延損害金を含め孫2名で約1億9,700万円を回収 |
| ② | 請求する側 | 相手方が低く提示した不動産・非上場株式の評価額 | 適正な評価をもとに交渉し、遺留分4,700万円を獲得 |
| ③ | 請求する側 | 遺産の大半を占める不動産の評価 | 交渉・調停で合意できず裁判所を通じた鑑定を実施し、鑑定価格をもとに1,800万円で合意 |
| ④ | 請求する側 | 生前の使途不明金(使い込み)の解明 | 使途不明金を調停の中で解決し、3,250万円を獲得 |
| ⑤ | 請求された側 | 更地を前提とする簡易な査定書による約6,900万円の請求(区分所有部分・収益部分の扱い、使用貸借の負担) | 不動産鑑定で評価を見直し、訴訟によらず4,000万円で合意(2,900万円の減額) |
| ⑥ | 請求された側 | 不動産の評価額 | 交渉で請求額から400万円を減額し、早期に解決 |
※掲載の解決事例は、個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
当事務所の遺留分トラブル解決事例
遺留分|遺産総額約24億円の相続で、代襲相続人の孫2名が約1億9,700万円を回収した事例
【概要】
祖母の公正証書遺言で、不動産6物件と預貯金の大半が叔父2名に遺された相続です。代襲相続人であるご依頼者様(孫2名)の代理人として遺留分侵害額を請求しました。不動産の評価で8億円以上の開きがあり調停は不成立となりましたが、訴訟で裁判所鑑定を申し出て評価を確定させ、一部弁済の充当や鑑定費用の負担まで詰めて、遅延損害金を含め2名で約1億9,700万円を回収しました。
遺留分|不動産、非上場株式の評価額を争い、遺留分4700万円の獲得に成功
【概要】
相手方が提示した不動産および非上場株式の評価額が不当に低いと考え、当事務所にご相談いただいた事例です。当方で適正な評価を行い、粘り強く交渉を重ねた結果、最終的に4,700万円という高額な遺留分侵害額の獲得に成功しました。
遺留分|不動産評価が争点→裁判所鑑定で遺留分1800万円獲得
【概要】
遺産の大半を占める不動産の評価額について、当方と相手方で大きな開きがあった事例です。交渉・調停では合意に至らず、裁判所を通じた鑑定を実施。その結果、不動産鑑定価格をベースに遺留分侵害額を合意し、1,800万円の獲得を実現しました。
遺留分|遺留分侵害額請求と使途不明金(使い込み)の追及で調停にて3,250万円を獲得
【概要】
生前の使途不明金(使い込み)の疑いがある事案において、遺留分侵害額請求と併せて徹底的な証拠収集と追及を行いました。訴訟になれば立証の負担が重い使途不明金の問題を調停の中で解決する方針をとり、調停の場において3,250万円を獲得する形で解決に至りました。
遺留分|高額な遺留分侵害額請求に対し、不動産鑑定で評価額を見直し、2,900万円減額して解決
【概要】
遺留分を「請求された側」の事例です。遺言で遺産の大半を取得したご依頼者様に対し、相手方が不動産業者の査定書(土地を更地として評価する簡易な内容)を根拠に、約6,900万円の高額な遺留分侵害額を請求してきました。区分所有部分の取扱い・収益部分が遺産に含まれないこと・使用貸借権の負担といった個別事情を整理し、不動産鑑定士による正式な鑑定で評価額を適正化。これを交渉の土台に据えた結果、訴訟によることなく4,000万円で合意し、当初の請求額から2,900万円の減額に成功しました。
遺留分|不動産評価額を交渉して、遺留分侵害額の支払を400万円減額
【概要】
遺留分を「請求された側」の事例です。相手方から高額な遺留分侵害額を請求されましたが、対象となる不動産の評価額について当方から合理的な反論と交渉を行った結果、当初の請求額から400万円の減額に成功し、早期解決を図りました。
不動産・非上場株式が絡む遺留分事件で当事務所が重視していること
遺産の評価は、選択する評価方法(路線価、公示地価、実勢価格など)によって数百万円から数千万円の差が生じます。当事務所では、次の3点を重視しています。
適正評価を導き出す専門的ノウハウ:
不動産評価は、単に査定書を出し合うだけでは終わりません。セットバックによる有効面積の減少、接道状況、境界の問題、賃料収入のある物件であれば収益還元の観点 ── こうした個別物件固有の事情が、評価額を数百万円単位で左右します。
非上場株式についても同様です。類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式のどれを用いるかだけでなく、決算書に潜む内部留保や含み益を読み解けるかどうかが、実際の交渉の帰結を分けます。
IGTは弁護士(法務)と提携税理士・公認会計士(税務・財務)が連携し、相手方が提示してくる評価額の「根拠の穴」を数字で潰す準備を初動から整えます。
経営革新等支援機関・2級FP技能士の資格を持つ代表弁護士が財務資料を直接読み込むことが、この連携の起点となっています。
徹底した証拠収集と論理的な交渉力:
遺留分の評価争いは、請求する側と請求された側とでは、論点の方向が逆になります。
請求する側は遺産総額を高く評価させる必要があり、請求された側は正当な減価要因を丁寧に立証して支払額を抑える必要があります。
いずれの立場でも「不動産・非上場株式の評価実務に精通しているかどうか」が結果を左右するという点は同じです。
IGTはこの両方の立場で実績を持っています。請求された側として400万円の減額交渉に成功した事例では、相手方弁護士との早期のコミュニケーションで信頼関係を構築し、法的手続に至らずに解決しています。これは「相手方が何を根拠に主張してくるか」を知っているからこそ可能な交渉設計です。
調停・訴訟を見据えた解決プロセス:
遺留分侵害額請求の時効は「知った時から1年」です。この短い期間の中で、協議で解決すべきか調停を使うべきかを誤ると、時間とコストを無駄にするだけでなく、相手方に戦略的な余裕を与えることになります。
IGTが重視しているのは、「今の証拠と相手方の出方を前提に、どのフェーズで着地させるのが最も依頼者の利益になるか」という全体設計です。調停で争点を整理して合意に持ち込む、裁判所の鑑定手続きを見据えて評価根拠を先に厚くしておく ── こうした手順の判断は、類似案件の経験の蓄積があって初めてできることです。
費用倒れにならないかどうかも、初回相談の段階でシミュレーションをご提示します。
遺留分の解決事例に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 掲載されている解決事例と自分の状況が少し違うのですが、相談できますか?
A. はい、ご相談いただけます。遺留分のトラブルは、ご親族の関係や遺産の内容によって事情がまったく異なります。解決の結果も個別の事情によって大きく変わるため、掲載事例と同様の結果をお約束することはできませんが、初回相談で資料を拝見し、見込める金額の幅と進め方をご説明します。
Q2. 不動産の価値がわからず、相手の提示額が適正かどうかわかりません。
A. 遺留分の計算では、不動産を相続開始時の時価で評価します(民法1043条1項)。固定資産税評価額(公示価格の約7割が目安)や相続税路線価(同約8割)は税金計算のための価格で、そのまま使うと時価より低くなりがちです。相手方の査定書が更地を前提にしているか、賃貸や使用貸借の負担を考慮しているかといった前提も確認します。交渉で合意できない場合は、調停や訴訟の中で鑑定を行い、その評価を基準にすることがあります(上の事例②)。
Q3. 遺留分を請求された側でも依頼できますか?
A. はい。上の事例⑤⑥は請求された側の事例です。請求された側は、①相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年、または相続開始から10年を過ぎていないか(民法1048条)、②算入される贈与の範囲(民法1044条)、③財産の評価、④支払方法を確認します。すぐに支払えない場合は、裁判所に支払期限の猶予(期限の許与)を求めることもできます(民法1047条5項)。
Q4. 遺留分はいつまでに請求すればよいですか?
A. 相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年以内、かつ相続開始から10年以内に、相手方へ請求の意思表示をする必要があります(民法1048条)。家庭裁判所に調停を申し立てただけでは意思表示にならないため、内容証明郵便などで別に通知します。意思表示によって生じた金銭債権は、その後5年で時効にかかるため(民法166条1項)、その管理も必要です。
Q5. 使途不明金(使い込み)の問題も一緒に解決できますか?
A. 使途不明金の返還は、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求として、遺留分とは別の請求になります。もっとも、調停の中で遺留分と一緒に話し合い、まとめて解決できることもあります(上の事例④)。預金の取引履歴などの証拠をどこまで集められるかが結果を左右します。
Q6. 弁護士費用がいくらかかるか不安です。費用倒れになりませんか?
A. ご相談時に費用体系と今後の見通しをご説明し、費用倒れになるおそれが高い場合は、その旨を率直にお伝えします。ご納得いただけないまま契約をお願いすることはありません。費用の目安は弁護士費用のページをご覧ください。
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※ 本ページは、最終更新日(2026年10月17日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。掲載の解決事例は個別の事情を前提とした結果であり、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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