遺留分|不動産、非上場株式の評価額を争い、遺留分4700万円の獲得に成功

遺留分侵害額請求の解決事例:不動産と自社株の評価を争い、遺留分4,700万円余りを獲得

遺留分|不動産、非上場株式の評価額を争い、遺留分4700万円の獲得に成功

公開日:2025年11月19日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺留分侵害額請求(調停)
ご依頼者 被相続人の子
相手方 弟(全財産を相続させる公正証書遺言で取得)
主な遺産 預貯金等、不動産、被相続人が創業した会社の非上場株式、ゴルフ会員権
主な争点 不動産を相続税評価額と時価のどちらで評価するか、非上場株式の評価
当事務所の対応 戸籍調査・遺言検索、調停申立て、不動産査定書の複数提出
結果 株式はおおむね時価純資産方式で合意し、遺留分4,700万円余りを獲得

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

遺言で「弟に全財産を相続させる」とされ、遺留分を請求することに。争点は不動産の評価(相続税評価か時価か)と非上場株式の評価でした。

複数の不動産査定書を提出して時価ベースへ引き上げ、株式も評価手法を整理して合意形成し、遺留分4700万円超 を獲得した事例です。

この記事で分かること

  • 不動産・非上場株式がある遺留分で「評価争い」になった時の進め方

  • 調停で争点を整理して着地させる実務(資料の出し方)

  • 相談前に準備すると強い資料リスト

依頼前の状況

ご相談者様は、晩年被相続人のお父様と疎遠になってしまい、対立しているご兄弟(弟)に、お父様との接触を妨害されている状況でした。
直近のところで、お父様と電話もつながらなくなったことから、お父様がどうしているか心配され、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

対応と結果

遺産調査と遺言検索

お父様は90歳を過ぎており、体調も心配されていたところでしたので、当事務所のほうで戸籍を調査したところ、ご相談にいらっしゃる前にすでにお亡くなりになっていました。
ご相談者様には何も知らせずに、お父様のご葬儀も終わっていたようでした。
ご相談者様は憤慨され、相続に関しては徹底的に戦いたいとおっしゃいました。そこで、当事務所では遺産調査、遺言検索を受任し、調査したところ、弟に全部の遺産を相続させる旨の公正証書遺言が見つかりました。また、遺産としては預貯金等金融資産のほか、不動産、お父様が創業された事業会社の株式(非上場株式)、ゴルフ会員権などの遺産が判明しました。

遺留分侵害額請求

そこで、当事務所で遺留分侵害額請求事件を受任し、相手方である弟に遺留分を請求しました。
すぐに調停申立てを行い、家庭裁判所にて議論することとなりました。
争点としては、不動産の評価、非上場株式の評価の議論となりました。
相手方は、当初は不動産について、相続税評価額を主張していましたが、当方で遺留分侵害額請求における不動産の評価は時価ベースと主張し、合わせて不動産査定書を複数提出して交渉し、金額を引き上げることに成功しました。
また、非上場株式については、おおむね時価純資産額方式による株価で合意することができました。
その結果、遺留分として4700万円余りを獲得することができました。
相談者様は、大いに喜ばれていました。

当事務所からのコメント

被相続人と連絡が取れなくなり、戸籍を取ってみたら亡くなっていたというドラマのような展開でした。

相談者様はとても憤慨されており、徹底的に戦いたいとおっしゃっていました。

遺留分の事件は、遺産分割と異なり、遺産の帰属先は決まっていますので、多くのケースで評価額を争うことになります。

本件のように、不動産と非上場株式が絡むと 「評価」だけで結論が大きく動くため、評価根拠(査定書、財務資料等)を揃え、争点を“数字で”潰していくことが解決の近道になります。

不動産や非上場株式の評価方法について、経験豊富な弁護士は多くありません。

当事務所の経験と実績に裏付けられた調停対応により、ご相談者様にご満足いただける結果を残すことができました。

不動産や非上場株式の遺留分を請求したい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

不動産・非上場株式の複雑な相続トラブル
相手の言い値で合意する前に、まずは適正評価を。

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非上場株式の評価や相続でお悩みの方は、当事務所の非上場株式の相続で損したくない方へも合わせてご覧ください。

相談前に準備すると強い資料(チェックリスト)

  • 遺言書(写しで可)、戸籍一式、相続関係図

  • 不動産:登記事項証明書、固定資産税通知、公図、賃貸資料(あれば)

  • 株式:会社名・株数、直近の決算書(可能なら複数期)、株主構成、配当状況

  • 預貯金:残高推移が分かる資料(通帳写し等)

  • 相手とのやり取り(メール/LINE/書面)

よくある質問

Q1. 遺留分侵害額請求は「不動産をよこせ」ではなく金銭請求ですか?

A. はい。2019年7月1日以後に開始した相続では、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求する権利になりました(民法1046条1項)。不動産や株式そのものを取り戻す請求ではありません。それより前に開始した相続には、旧法の遺留分減殺請求が適用されます。

Q2. 調停ではどこまで決まりますか?

A. 家庭裁判所の遺留分侵害額の請求調停で、調停委員を交えて財産の評価や支払方法を話し合い、合意できれば調停が成立します。合意できなければ、地方裁判所(請求額が140万円以下なら簡易裁判所)に訴訟を起こして判断を求めます。なお、調停を申し立てただけでは請求の意思表示にならないため、別に内容証明郵便などで通知しておく必要があります。

Q3. 不動産の評価で、相手が相続税評価額を主張したらどうすればよいですか?

A. 遺留分の計算では、不動産を相続開始時の時価で評価します(民法1043条1項)。相続税評価額(路線価は公示価格の約8割が目安)は税金計算のための価格で、時価より低くなりがちです。本件でも相手方は相続税評価額を主張しましたが、時価ベースで評価すべきことを主張し、不動産査定書を複数提出して評価額を引き上げました。

Q4. 非上場株式の評価はどう整理しますか?

A. 相続税評価の方式(類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式)は税金計算のためのもので、遺留分で問題になる時価とは一致しないのが通常です。会社の規模や資産構成、資料の揃い方に応じて評価方法を詰めます。本件では、おおむね時価純資産方式による株価で合意しました。

Q5. 会社資料が手元にない場合はどうすればよいですか?

A. 初動は取得できる範囲の資料で評価の見当を付け、調停・交渉の中で必要な資料の開示を求めます。株主として、計算書類の閲覧(会社法442条3項、株式数の要件なし)や、議決権等の3%以上を持つ場合の会計帳簿の閲覧謄写(同法433条1項)も検討します。

Q6. 遺留分はいつまでに請求すればよいですか?

A. 相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年以内、かつ相続開始から10年以内に、相手方へ請求の意思表示をする必要があります(民法1048条)。本件のように亡くなったことを後から知った場合は、相続の開始と遺言の内容を知った時から1年を数えます。

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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