遺留分|遺留分侵害額請求と使途不明金(使い込み)の追及で調停にて3,250万円を獲得

遺留分侵害額請求の解決事例:全財産を妹に相続させる遺言に対し、使途不明金も追及して3,250万円を一括で獲得

遺留分|遺留分侵害額請求と使途不明金(使い込み)の追及で調停にて3,250万円を獲得

公開日:2026年3月12日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺留分侵害額請求(調停)
ご依頼者 兄
相手方 妹(全財産を相続させる公正証書遺言で取得)
主な遺産 自宅不動産と複数の金融機関の預貯金
主な争点 生前の使途不明金と、相手方の支払資金の確保
当事務所の対応 取引履歴と不動産査定書で資料を集め、調停で交渉。相手方に不動産担保ローンを具体的に提案
結果 3,250万円を一括で支払う内容で調停成立(内容証明の送付から約1年4か月)

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

被相続人が「全財産を妹に相続させる」とする公正証書遺言を残していたため、兄であるご相談者様が遺留分侵害額請求を行った事案です。

本件では、被相続人の口座から多額の使途不明金が見つかり、不当利得返還請求の成否も大きな争点となりました。不動産や預貯金の評価額については早期に大筋の合意に至ったものの、最終的な障壁となったのは相手方である妹の資金調達でした。

当事務所は、調停の中で相手方の資金調達方法まで具体的に提案し、手続の長期化を防ぎながら交渉を主導。その結果、遺留分侵害額として3250万円の一括支払いを内容とする調停が成立しました。内容証明郵便の送付から約1年4か月での解決です。

この記事で分かること

相談者: 兄
相手方: 妹
主な財産: 不動産、預貯金
最大の争点: 遺言による全財産の遺贈、多額の使途不明金、相手方の支払い資金不足
解決結果: 遺留分侵害額として3,250万円の一括支払いを獲得(調停成立)
解決期間: 約1年4か月
  • 全財産を一人の相続人に相続させる遺言があっても、遺留分を請求できる場合があること
  • 遺留分の事件で、使途不明金が争点となった場合の実務上の考え方
  • 金額の合意後に相手方の資金調達が問題になった場合の解決方法

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ご相談の背景:全財産を妹に相続させる遺言と多額の使途不明金

ご相談者様のお母様(90歳)がお亡くなりになり、遺産分割をめぐってトラブルとなった事案です。

被相続人が残した公正証書遺言には「全財産を妹に相続させる」と記されており、遺産としては自宅不動産のほかに複数の金融機関での預貯金が存在していました。

ご相談者様が特に強く問題視されていたのは、お母様の生前の口座から発見された多額の使途不明金です。

ある時期を境に、ATMの引出し限度額いっぱいでの出金が頻発するようになり、お金の流れが以前とは全く異なっていました。

当時、お母様は自力で銀行に行くことが困難な健康状態であったため、ご相談者様は「妹による使い込みではないか」と強く疑念を抱いておられました。

遺留分の請求だけでなく、この使途不明金の問題もしっかりと追及したいとのご希望から、当事務所へご依頼いただきました。

弁護士の対応と解決のポイント

当事務所の弁護士が代理人として介入し、以下の手順で迅速かつ戦略的に対応を進めました。

① 迅速な遺留分侵害額請求と綿密な証拠収集

受任後、すぐに妹に対して内容証明郵便を送付し、遺留分侵害額請求を行いました。

それと並行して、被相続人名義の各金融機関から過去の取引履歴を取り寄せるとともに、不動産査定書も複数取得し、正確な遺留分侵害額を算定するための客観的資料を徹底的に集めました。

② 訴訟リスクを見据えた調停での解決戦略

相手方(妹)にも代理人弁護士が就きましたが、任意の話し合い(交渉)では事態が進展しなかったため、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求調停」を申し立てました。

調停の場では、不動産の評価額や預貯金の残高については、交渉の末合意点が見いだされたため、最大の争点は「使途不明金(不当利得返還請求)」に絞られました。

使途不明金の追及は、訴訟(裁判)に移行した場合、こちら側に重い立証責任(証拠によって事実を証明する負担)がのしかかります。

また、時間的なコストや不動産鑑定費用が発生するリスクもあるため、ご相談者様にそれらのメリット・デメリットを丁寧にご説明し、今回は調停での解決を目指す方針をとりました。

③ 相手方の「資金調達難」を打破する具体策の提示

金額面で概ね合意に至った後、最大の障壁となったのが「妹の資金調達」でした。

当初予定していた親族からの借り入れができず、次に試みた不動産売却も買い手との価格が合わずに頓挫し、妹側が「いつ支払いができるか分からない」という膠着状態が続きました。

また、本件のような相続紛争が生じている場合、一般に銀行の融資を取り付けることは困難です。

そこで、当事務所は、ただ相手の対応を待つのではなく、妹側に対して「不動産担保ローンの利用」を積極的に提案しました。

当事務所が連携している融資業者の具体的な融資条件まで提示することで、相手方に現実的な解決策を示したのです。

加えて、妹側に対しても「期限を区切って調停を成立させるか、不成立にするか」を迫る主張書面を提出し、手続がいたずらに長期化することを防ぎました。

解決の結果:遺留分侵害額として3,250万円の一括支払いを獲得

第6回目の調停期日において、妹がノンバンクからの融資を無事に確保することができ、遺留分侵害額として3,250万円を一括で支払う内容にて調停が成立しました。

支払期限は調停成立日から約1か月後と設定し、「相続税申告に関する条項」および「清算条項(これ以上お互いに一切の請求をしないという約束)」も盛り込むことで、将来の火種を残さず、紛争を完全に終結させることができました。

内容証明の送付から約1年4か月での解決となりました。

担当弁護士からのコメント

遺留分侵害額請求においては、法的な観点から「いくら請求できるか(金額の算定)」を明確にするだけでなく、「相手方にどうやって確実に支払わせるか」という回収のフェーズが非常に重要です。

本件では金額合意後も相手方の資金繰りが二転三転しましたが、当事務所から不動産担保ローンという具体的な選択肢を提示したことが、膠着状態を打破する突破口となりました。

また、使途不明金(使い込み)については、ご自身の親の財産を不正に引き出されたことに対する「許しがたい」というご相談者様のお気持ちは痛いほどよく分かります。

使途不明金とは、被相続人の生前に権限のない親族等によって引き出された資金を指します。遺留分侵害額請求においても争点になることが多くあります。

一方で、訴訟に移行した場合には証拠による立証のハードルが高く、解決まで数年単位で長期化するリスクも伴います。

当事務所では、どこで着地するのが依頼者にとって最も利益になるかを見極め、感情面と経済合理性のバランスを取りながら最善の選択肢をご提案することを心がけています。

遺留分や親の預金の使い込みでお悩みの方は、当事務所へご相談ください。

「全財産を他の兄弟に譲るという遺言が見つかった」「親の認知症が進んだ時期に、多額の預金が引き出されている」といった相続トラブルは、当事者同士での話し合いでは感情的になり、解決が極めて困難です。

当事務所では、遺留分の適切な計算から相手方とのタフな交渉、確実な回収方法の提案まで、数多くの相続事件を解決に導いてきた実績がございます。

お一人で悩まず、まずは当事務所の初回相談(無料)をご利用ください。あなたにとって最も有利で、納得のいく解決策をご提案いたします。

不動産・非上場株式の複雑な相続トラブル
相手の言い値で合意する前に、まずは適正評価を。

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弁護士法人IGT法律事務所では、初回60分の無料相談を実施しております。相続と財産評価の実務を扱う弁護士が、今後の方針を一緒に検討します。

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当事務所の代表弁護士は2級FP技能士の資格も持ち、法的な主張にとどまらず、不動産担保ローンなど具体的な資金調達・回収の方法まで含めてご提案しています。

よくある質問

Q. 全財産を他の兄弟に渡す遺言があっても、遺留分は請求できますか?

A. はい、できます。兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があり(民法1042条)、公正証書遺言であっても遺留分を奪うことはできません。ただし、相続の開始と遺留分を侵害する遺言を知った時から1年、相続開始から10年を過ぎると請求できなくなります(民法1048条)。

Q. 親の預金の使い込みを疑っていますが、証拠がない場合はどうすればよいですか?

A. 弁護士が金融機関から取引履歴を取り寄せることができます。引出しのパターン(ATMの限度額いっぱいの出金が続くなど)や、その時期の被相続人の健康状態・生活状況が、使い込みをうかがわせる事情になります。

Q. 使途不明金は、遺留分の請求と一緒に解決できますか?

A. 使途不明金の返還は、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求として、遺留分とは別の請求になります。訴訟では請求する側が使い込みを立証する必要があり、長期化しやすいため、本件のように調停の中で遺留分と一緒に話し合って解決を図ることも選択肢になります。

Q. 相手方に支払うお金がない場合はどうなりますか?

A. 相続した不動産を担保にした借入れや売却で資金を用意してもらう方法のほか、裁判所が支払期限を猶予する期限の許与(民法1047条5項)が使われることもあります。本件では、当事務所から不動産担保ローンを具体的に提案し、相手方がノンバンクから融資を受けて一括で支払いました。

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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

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【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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