遺言書|他の推定相続人と連絡が取れない!遺産分割協議を回避する遺言

遺言書作成の解決事例:海外在住の孫と連絡が取れなくても協議不要の遺言

遺言書|他の推定相続人と連絡が取れない!遺産分割協議を回避する遺言

公開日:2025年4月26日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺言書作成(公正証書遺言・遺言執行者の指定)
ご依頼者 お子様3人のうち1人が先に亡くなっている遺言者
推定相続人 存命のお子様と、先に亡くなったお子様の子(遺言者の孫・代襲相続人)
課題 孫が海外に住んでおり日本国籍もなく、連絡が取れなくなっていたこと
想定された問題 遺言がないと、孫を含む相続人全員で遺産分割協議をする必要があり、協議が難航するおそれ
当事務所の対応 ご相談者様の意思に沿う公正証書遺言を作成し、お子様を遺言執行者に指定
結果 孫と連絡が取れなくても、遺産分割協議をせずに遺言の内容を実現できる状態を整えた

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

依頼前の状況

ご相談者様(遺言者)には、3人のお子さんがいらっしゃいましたが、そのうち1人は、すでにお亡くなりになっていました。

そのお子さんには、子ども(遺言者の孫)がいましたが、海外に在住で、日本国籍も保有していなかったので、連絡が取れなくなってしまいました。

ご相談者様は、自分の相続が発生した場合に、孫と連絡が取れないと相続がうまく進まないのではないかと考え、ご相談に来られました。

対応と結果

遺言書がないまま、ご相談者様がお亡くなりになると、法定相続人の一部と連絡が取れずに、遺産分割協議が難航することが予想される事案でした。

そこで、ご相談者様の意思に沿う公正証書遺言を作成することとし、あわせて遺言執行者を指定しておきました。

このようにすることで、相続発生時に推定相続人と連絡がとれず、遺産分割協議ができなくても、遺産をスムーズに分けることができるようになりました。

また、遺言執行者を子どもに指定することで、他の相続人の協力なしで、遺言の内容を実現できるようにしました。

ご相談者様は、問題が解決して、安心されていました。

当事務所からのコメント

本件で、ご相談者様の孫は、推定相続人(代襲相続人)ですので、ご相談者様がお亡くなりになると、遺産分割協議の当事者となり、遺された子どもが孫に連絡をして、遺産分割協議をしなければなりません。

連絡がとれなければ、不在者財産管理人の選任や遺産分割調停・審判を経て分け方を決めなければならず、かなりの手間がかかることが予想されました。

そこで、遺言書を作成し、遺産分割をしなくて済む状態を作ることをご提案し、実行しました。

推定相続人と連絡が取れない場合の遺言に関するよくある質問

Q. 先に亡くなった子の子(孫)も相続人になりますか?

A. なります。被相続人の子が相続開始の前に亡くなっている場合、その子の子(被相続人の孫)が代わりに相続人になります。これを代襲相続といいます(民法887条2項)。被相続人が日本人であれば相続には日本の法律が適用され(法の適用に関する通則法36条)、孫が海外に住んでいたり外国籍であったりしても、代襲相続人であることに変わりはありません。本件のご相談者様の孫も、ご相談者様が亡くなれば遺産分割協議の当事者になる立場でした。

Q. 相続人の一人と連絡が取れないと、遺産分割はどうなりますか?

A. 遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、連絡が取れない相続人がいると協議が成立しません。その場合は、遺産分割調停・審判の手続が必要になることがあります。相続人の行方が分からないときは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て(民法25条)、その管理人が家庭裁判所の許可を得て遺産分割に加わる方法もあります(民法28条)。いずれも時間と手間がかかります。

Q. 遺言書があれば、遺産分割協議をしなくて済みますか?

A. 遺言で財産ごとに取得する人を定めておけば、その財産については遺産分割協議をせずに承継させることができます。「特定の財産を特定の相続人に相続させる」という遺言は、原則として、遺産分割を経ずに、相続開始の時にその相続人に財産を承継させるものと解されています(最高裁平成3年4月19日判決)。ただし、遺言に書かれていない財産は協議が必要になるため、財産を漏れなく記載することが大切です。

Q. 遺言執行者を、相続人である子に指定してもよいですか?

A. 指定できます。未成年者と破産者は遺言執行者になれませんが(民法1009条)、相続人を遺言執行者にすることは認められています。遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務を持つため(民法1012条1項)、他の相続人の協力がなくても手続を進めやすくなります。本件でも、お子様を遺言執行者に指定しました。

Q. 遺言で取得分を定めた場合、代襲相続人の孫から遺留分を請求されることはありますか?

A. あります。代襲相続人である孫にも遺留分があります(民法1042条)。遺言で孫の取得分が遺留分より少なくなった場合、孫は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できます(民法1046条1項)。この請求は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、または相続開始の時から10年を過ぎるとできなくなります(民法1048条)。遺言を作る際は、遺留分にも配慮しておくことが大切です。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

ご相談はこちらへ

▶ 弁護士による初回相談はこちらへ。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちら

事務所概要(本サイトの運営者)

サイト名 弁護士法人IGT法律事務所の相続相談サイト
事務所名 弁護士法人IGT法律事務所
住所 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-3-3新麹町ビル6階
TEL 03-6265-6770(予約専用)
FAX 03-6265-4994
URL https://souzokusoudan-bengoshi.com/
コーポレートサイト 弁護士法人IGT法律事務所 公式サイト(企業法務・M&A・事業再生などのご相談も承ります)