【解決事例】遺産2億円の富裕層向け遺言執行|家庭裁判所への「遺言執行者選任申立て」と複雑な相続手続きを弁護士が完遂
公開日:2025年10月27日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 遺言執行(家庭裁判所への遺言執行者選任申立て) |
|---|---|
| ご依頼者 | 相続人(相続人同士が疎遠で、協力を得にくい状況) |
| 主な遺産 | 総額約2億円(複数の不動産、預貯金など) |
| 遺言の状況 | 遺言書に財産の分け方は明記され、遺言執行者には夫が指定されていたが、夫はすでに死亡しており、夫が亡くなった場合の遺言執行者の指定もなかった |
| 当事務所の対応 | 当事務所の弁護士を候補者として家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立て、就任後に財産を調査して遺産目録を作成し、就任通知とともに法定相続人全員へ送付 |
| 結果 | 弁護士が遺言執行者として、金融機関での預金の解約・送金と、不動産の所有権移転登記(司法書士と連携)を完了 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
■本事例の結論と解決のポイント
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結論: 遺産総額約2億円(複数の不動産および多額の銀行預金など)を保有する富裕層の相続において、「有効な遺言書はあるものの、指定されていた遺言執行者(夫)がすでに亡くなっており、代わりの執行者もいない」という事案でした。当事務所の弁護士が代理人として家庭裁判所へ「遺言執行者選任申立て」を行い、弁護士自身が遺言執行者に就任。その後、すべての不動産の名義変更(相続登記)や金融機関での預金解約・分配手続きを迅速に完遂しました。
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解決のポイント: 遺言執行者がいない場合、遺言の内容や金融機関の取扱いによっては相続人全員の協力(実印や印鑑証明書)を求められ、手続きが滞るおそれがあります。弁護士が第三者の立場で、法的な権限を持つ「遺言執行者」に就任したことで、親族間の対立を招かずに財産の移転を進めることができました。
■ご相談時の状況とお客様の悩み
被相続人(亡くなられた方)は、総額2億円に上る不動産や金融資産を保有する富裕層の方でした。 生前に作成された遺言書が発見され、財産の分け方については明記されていたものの、手続きを代表して行う「遺言執行者」には夫が指定されていましたが、夫はすでに亡くなっており、夫が亡くなった場合の遺言執行者の指定もありませんでした。 この状態では、遺言の内容や金融機関の取扱いによって、預金の払戻しや不動産の名義変更に法定相続人全員の署名と実印を求められることがあります。しかし、相続人同士が疎遠であったり、協力が得られにくい状況であったため、「自分たちだけでは膨大な遺産の手続きを進められない」とお困りになり、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
■弁護士の対応・解決策(遺言執行のステップ)
当事務所はご依頼を受け、以下の法的手続きを迅速に実行しました。
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家庭裁判所への「遺言執行者選任申立て」: 遺言書を有効に執行するため、速やかに管轄の家庭裁判所に対し、当事務所の弁護士を候補者とする遺言執行者の選任申立てを行いました。裁判所からの照会等にも適切に対応し、無事に弁護士が遺言執行者として選任されました。
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遺産目録の作成と相続人への通知: 遺言執行者に就任後、直ちに2億円規模の全財産(不動産、預貯金、有価証券など)を調査して「遺産目録」を作成し、すべての法定相続人へ就任通知とともに送付。手続きの透明性を確保し、親族間の疑心暗鬼を防ぎました。
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複雑な相続手続き(不動産・銀行)の単独実行: 遺言執行者の権限に基づき、他の相続人の実印をもらうことなく、弁護士単独で「金融機関での数千万円単位の預金解約・送金手続き」や「法務局での不動産所有権移転登記(司法書士と連携)」をすべて代行・完遂しました。
■IGTからのコメント
富裕層の相続において、遺言書を作ることは非常に重要ですが、「誰に手続きを実行させるか(遺言執行者の指定)」が抜けていると、残されたご家族に多大な負担を強いることになります。 特に遺産が2億円を超えるようなケースでは、金融機関の審査も厳格になり、必要書類も膨大です。一般の方が仕事の合間にこれらをこなすのは現実的ではありません。 発見された遺言書に遺言執行者が指定されていなかった場合でも、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立て(民法1010条)、弁護士が遺言執行者に選任されれば、複雑な手続きを任せることができます。遺言書の実行や、面倒な相続手続きでお悩みの方は、当事務所の無料相談をご利用ください。
■【FAQ】遺言執行者選任申立て・富裕層の相続に関するよくある質問
Q. 遺言書に「遺言執行者」が書かれていない場合、どうすればよいですか?
A. 遺言執行者がいないとき、またはいなくなったときは、相続人などの利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求できます(民法1010条)。申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。遺言執行者を選ばずに相続人が手続を進めることもできますが、遺言の内容や金融機関の取扱いによっては相続人全員の協力を求められることがあり、協力しない相続人がいると手続が滞るおそれがあります。
Q. 遺言執行者が選任されると、どのような手続を進められますか?
A. 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務を持ちます(民法1012条1項)。遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の執行を妨げる行為をすることができません(民法1013条1項)。また、遺言執行者がその権限内で、遺言執行者であることを示して行った行為は、相続人に対して直接効力を生じます(民法1015条)。本件でも、弁護士が遺言執行者として、預金の解約・送金や不動産の登記手続(司法書士と連携)を進めました。
Q. 遺言執行者は、就任後に何をするのですか?
A. 任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(民法1007条2項)。また、遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人に交付する必要があります(民法1011条1項)。本件でも、就任後に財産を調査して遺産目録を作成し、就任通知とともに法定相続人全員へ送付しました。
Q. 遺言執行者を弁護士に依頼するメリットは何ですか?
A. 親族の一人が遺言執行者になると、財産の管理や分配について他の親族から疑念を持たれ、対立の原因になることがあります。弁護士が第三者の立場で遺言執行者を務めれば、財産目録の作成や相続人への報告を通じて、手続の透明性を保ちやすくなります。遺言執行者は、相続人から求められれば執行の状況を報告する義務も負います(民法1012条3項が準用する645条)。
Q. 遺産が多額ですが、弁護士に依頼せず自分たちで手続きできますか?
A. 可能です。ただし、遺産が多額になると、金融機関ごとの解約手続や不動産の登記に加えて、相続税の申告が必要になることが多くなります。相続税の申告期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。期限を意識して手続を進める必要があるため、弁護士や税理士などの専門家と連携して進めることも一つの選択肢です。
(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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