不動産・株式相続|共有となった不動産、持ち合いとなった非上場株式を集約

不動産・株式相続の解決事例:共有の収益不動産と分散した非上場株式を和解で引取り

不動産・株式相続|共有となった不動産、持ち合いとなった非上場株式を集約

公開日:2025年10月12日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺産分割調停後に残った共有状態の解消(貸金返還請求訴訟での和解)
ご依頼者 被相続人が社長を務めた会社(貸金返還請求訴訟の原告。当事務所は原告代理人)
相手方 他の相続人
調停後の状況 収益不動産を法定相続分で共有、被相続人が社長を務めた会社の株式を法定相続分で分割
主な争点 会社が被相続人に貸し付け、相続人が引き継いだ貸付金の返還請求(相手方は貸付金の不存在・時効を主張)
当事務所の対応 会社の代理人として貸付金返還請求訴訟を提起して主張立証を行い、不動産と株式の共有状態の解消を含む和解を裁判所に働きかけ
結果 相手方の不動産の共有持分を会社が買い取り、株式は会社が自己株式として取得する内容で和解が成立

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

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本事例の結論と解決のポイント

  • 結論: 遺産分割調停によって意図せず生じた「不動産の共有状態」および「非上場株式の持ち合い状態」を、関連する貸金返還請求訴訟の中で包括的な和解を成立させ、相手方の不動産持分は会社が買い取り、株式は会社が自己株式として取得する形で解決しました。

  • 解決のポイント: 不動産の共有物分割請求や株式のスクイーズアウトといった個別の法的手続き(バックアッププラン)を見据えつつ、別の債権回収訴訟を交渉のテーブルとして活用し、早期かつ抜本的な解決(相手方との関係遮断)を実現した点にあります。

ご相談時の状況とお客様の悩み

本件は、もともと当事務所で遺産分割事件をお引き受けしていた相続人が経営する会社からのご依頼です。 遺産分割調停の結果、以下のような複雑な権利関係が残ってしまいました。

  1. 収益不動産の共有: 法定相続分による共有分割
  2. 非上場株式の持ち合い: 被相続人が社長を務めた会社の株式を法定相続分で現物分割

相続人同士で一度紛争状態になった後、不動産を共有し、非上場会社の経営に他の相続人が関与する(株式を持ち合う)状態は、将来的な経営リスクや売却困難などの不健全な関係を生み出します。ご依頼者である会社とその経営者は「相手方相続人との縁を切り、権利関係を単独に集約したい」と強く希望されていました。 また、遺産分割事件の中で争点となっていた「被相続人に対する非上場会社の貸付金(被相続人の債務)」については、調停内で決着がついていない状態でした。

弁護士の対応・解決策

事態を打開するため、当事務所が会社の代理人となり、会社が被相続人に貸し付けていた貸付金(相続により相続人が引き継いだ債務)について、他の相続人に返還を求める訴訟を提起しました。

  • 相手方の主張: 貸付金債権は存在しない、あるいは時効であるとの反論。
  • 当事務所の立証と交渉戦略: 当方の証拠に基づく主張立証を的確に行い、訴訟を優位に進めました。その上で、裁判所に対し「本件の根本原因は相続時の遺恨であり、不動産と株式の共有状態を解消することが抜本的解決になる」と説得しました。
  • 結果: 相手方相続人が保有する「不動産の共有持分」と「非上場会社の株式」を、ご依頼者である会社が引き取る(不動産持分は買取り、株式は自己株式の取得)形での和解が成立しました。

IGTからのコメント

本件は、訴訟の対象である貸金にとどまらず、相続で生じた権利関係全体の整理が求められた事案でした。

本来、貸金請求事件の訴訟物は「貸金債権」のみであるため、裁判所が不動産や株式の相続トラブルを含めた和解に消極的になるリスクがありました。

そのうえで、紛争の背景を裁判所に丁寧に説明し、包括的な和解の場を設けられたことが、解決につながりました。

仮に交渉が決裂した場合でも、「不動産については共有物分割請求訴訟」「株式についてはスクイーズアウト(少数株主の締め出し)」という次の一手(バックアッププラン)を準備していましたが、紛争の長期化を避ける形で和解がまとまり、ご依頼者に安堵していただけたことが何よりの成果です。

共有不動産・非上場株式の相続に関するよくある質問

Q. 遺産分割で不動産を「共有」にすることのリスクは何ですか?

A. 共有不動産全体の売却や、形や用途を大きく変える工事などの「変更」には、共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。管理に関する事項は持分の価格の過半数で決めますが(民法252条1項)、共有者の意見が割れると物件の運用が滞りがちです。さらに共有者が亡くなると、その持分がさらに相続されて共有者が増え、処分がいっそう難しくなるおそれがあります。

Q. 共有状態になった不動産を、後から解消することはできますか?

A. できます。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求でき(民法256条1項)、協議が調わないときは裁判所に分割を請求できます(民法258条1項)。裁判所は、現物を分ける方法のほか、共有者の一人に他の共有者の持分を取得させ、代わりに金銭を支払わせる方法(賠償分割)を命じることもでき(同条2項)、これらの方法で分割できない場合などには競売を命じます(同条3項)。本件のように遺産分割が終わった後に残った共有は、この共有物分割の手続で解消を図ります。

Q. 非上場株式が相続人の間で分散してしまった場合、どう解消しますか?

A. まずは当事者間で株式の譲渡(買取り)を交渉するのが基本です。非上場会社の株式は、定款で譲渡に会社の承認が必要とされていることが多く(譲渡制限株式)、その場合は会社の承認手続も必要になります(会社法136条以下)。会社に分配可能額があれば、会社自身が株式を買い取る自己株式の取得(会社法156条・160条・461条)も選択肢になります。交渉がまとまらない場合には、一定の要件のもとで少数株主の株式を取得する方法(いわゆるスクイーズアウト)を検討することもありますが、議決権の保有割合などの要件があり、個別の検討が必要です。

Q. 相続とは別の訴訟の中で、不動産や株式の問題もまとめて和解できますか?

A. できる場合があります。和解は当事者の合意で成立するため、訴訟で争われている請求(本件では貸金の返還)以外の権利関係も、当事者が合意すれば和解の内容に含めることができます。本件では、紛争の背景を裁判所に説明し、不動産の共有持分と株式の引取りを含む和解が成立しました。相手方の同意が前提となるため、合意できない場合に備えて、共有物分割訴訟などの手続も並行して検討しておくことが大切です。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。詳しくは初回無料相談をご利用ください。)

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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