少数株主|会社との紛争中に元代表者が死亡、非上場株式を会社が買取
公開日:2025年4月28日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 訴訟承継と非上場株式の換金(交渉による和解) |
|---|---|
| ご依頼者 | 元社長の妻と子(相続人) |
| 相手方 | 元社長が創業した会社 |
| 経緯 | 元社長が退職慰労金の差額を求めて会社を提訴し、訴訟の途中で死亡 |
| 当事務所の対応 | 訴訟を終わらせることを交渉材料に、遺族が相続した株式を適正価格で会社に買い取らせる和解を提案 |
| 結果 | 訴訟を終了し、会社が株式を買い取る形で解決。遺族は紛争から解放され株式を現金化 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
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■本事例の結論と解決のポイント
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結論: 自身が創業した会社に対し「未払い退職慰労金」を求めて訴訟を起こしていた元社長が、裁判の係属中に亡くなられた事案です。ご相談を受けた当事務所は、訴訟を引き継いだご遺族(奥様とお子様)の代理人として会社側と交渉。「この訴訟を終わらせること(取り下げ)」と引き換えに、「遺産である非上場株式を適正価格で買い取らせる」という和解を成立させ、ご遺族の負担をなくしつつ多額の資金化を実現しました。
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解決のポイント: ご遺族にとって「親の裁判を引き継ぐこと」や「経営に関与しない会社の非上場株式を持ち続けること」は大きな負担です。そこで、会社側が最も嫌がる「訴訟の継続」を交渉カード(レバレッジ)として活用し、換金が難しい非上場株式を会社に買い取らせるという、双方にとって合理的な解決(和解)を導いたことが、解決の決め手になりました。
■ご相談時の状況とお客様の悩み
被相続人(亡くなったお父様)は、対象会社(A社)の代表取締役社長として会社を拡大させてきましたが、事業承継として後進に道を譲り退任しました。
その際、会社の「退職慰労金規程」に基づいて退職金を請求したにもかかわらず、規程とは異なる少額しか支給されなかったため、差額の支払いを求めて会社を提訴(訴訟提起)していました。
ところが、その裁判の途中で被相続人がお亡くなりになってしまいました。法定相続人である奥様とお子様は、突然「親の起こした裁判(訴訟承継)」と「A社の株式」を引き継ぐことになり、どう対応すべきかお困りになって当事務所へご相談にいらっしゃいました。
■弁護士の対応・解決策
被相続人は自ら育てた会社に対し強い思い入れと納得のいかない感情を抱いていましたが、ご遺族の皆様はA社に特段の思い入れもなく、今後会社に勤務したり経営に参加したりする意思も全くありませんでした。
そこで当事務所は、「ご遺族の真の利益は、負担の大きい裁判から解放され、不要な株式を現金化することである」と判断しました。
直ちに会社側と交渉のテーブルにつき、「退職金請求の訴訟を終わらせる(和解する)」という会社側のメリットを提示し、その絶対条件として「ご遺族が相続したA社の株式を、適正価格で会社に買い取らせる」ことを要求しました。
結果として会社側もこれに応じ、ご遺族は一切の紛争から解放されるとともに、非上場株式をまとまった資金に換えることに成功しました。
■IGTからのコメント
本件は、元代表者から親族・幹部従業員への「事業承継」が行われたものの、その際の退職金や株式の譲渡について適切な権利関係の整理(ルール化)がなされていなかったために生じた典型的なトラブルです。
さらに訴訟中に元代表者が亡くなられたことで、会社に無関係なご遺族が巻き込まれ、事案が極めて複雑化してしまいました。 非上場株式は、持っているだけでは現金化できず、ご遺族にとっては「塩漬けの資産」になりがちです。
今回は「進行中の訴訟」という特殊な状況を逆手にとり、会社に株式を買い取らせる強力な交渉材料として活用できたことが、早期かつ円満な解決に繋がりました。
事業承継の失敗や、相続した非上場株式の処分でお困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
■【FAQ】訴訟中の相続・非上場株式の買取に関するよくある質問
Q. 親が会社を訴えている裁判の途中で亡くなりました。裁判はどうなりますか?
A. 当事者が亡くなると、原則として訴訟手続は中断し、相続人が訴訟を引き継ぎます(民事訴訟法124条1項1号)。訴訟代理人の弁護士がついている場合は中断しませんが(同条2項)、いずれにしても相続人は、訴訟を続けるか、取り下げるか、本件のように和解して別の利益を得るかを選ぶ必要があります。
Q. 経営に関心がないので、相続した非上場株式を会社に買い取ってもらえますか?
A. 譲渡制限のある非上場株式は自由に売れないため、会社や他の株主との交渉で買い取ってもらうのが基本です。第三者への譲渡について会社の承認を求め、承認しない場合は会社または指定買取人に買い取らせる方法もあります(会社法136条・138条・140条)。価格がまとまらなければ、裁判所に売買価格の決定を申し立てることができます(同法144条)。
Q. 親が「退職金が規程どおり支払われていない」と言って亡くなりました。遺族から請求できますか?
A. 取締役の退職慰労金は、定款の定めか株主総会の決議によって支給されるものです(会社法361条1項)。株主総会の決議などで具体的な金額が定まっていた退職慰労金の請求権は相続財産となり、遺族が請求できます。決議がない場合は請求が難しいこともあるため、決議の有無と内容の確認が出発点になります。
Q. 相続した株式を持ち続けると、どのような負担がありますか?
A. 遺産分割が終わるまでは相続人全員の準共有となり、議決権などを行使するには権利行使者を定めて会社に通知する必要があります(会社法106条)。また、定款に定めがあれば、会社から相続人に対して株式の売渡しを請求されることがあります(同法174条)。経営に関わる予定がないなら、早めに現金化の方針を検討する価値があります。
(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちらご相談はこちらへ
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