少数株主|相続した非上場株式・山林等を会社の社長に売却

相続した非上場株式・山林等を会社の社長に売却

少数株主|相続した非上場株式・山林等を会社の社長に売却

公開日:2025年11月1日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 相続した非上場株式・不動産の売却交渉(少数株主)
ご依頼者 被相続人の妻(株式と山林などの不動産を相続)
相手方 被相続人の弟が社長を務める会社(対象会社)と社長個人
主な遺産 対象会社の非上場株式(議決権5%)、山林などの不動産
主な争点 対象会社からの相続人等に対する売渡請求(会社法174条以下)を受けた株式の売買価格
当事務所の対応 代理人として株式と不動産の買取りを交渉し、株価算定書などを用意して裁判所に売買価格の決定を申し立てた
結果 最終的に社長個人が株式と遺産不動産を買い取る形で合意し、換価が完了

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

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依頼前の状況

被相続人は、その弟が社長を務める株式会社の非上場株式(議決権5%)と、山林などの不動産を所有して、亡くなりました。

これらの遺産は妻が相続することになったのですが、株式も不動産も持っていても活用できず、次世代の子どもに遺したくないということで、相談に来られました。

対応と結果

被相続人の弟は、被相続人の生前に社長の地位を引き継いで対象会社の社長をやっており、依頼者に対して、対象会社の株式を譲渡してくれないかと持ちかけていました。

ただ、依頼者は、会社の事業内容や財務内容のことは分からないし、関係がこじれていた被相続人の弟と対等に交渉するのが難しいということで、代理人弁護士を立てることを希望されていました。

依頼者を代理して、対象会社の株式と山林等の遺産不動産の買い取りの交渉を行いました。

対象会社から相続人等に対する売渡請求(会社法174条以下)がなされましたので、株価算定書などを用意して、裁判所に対して売買価格の決定の申立て(会社法177条)を行い、交渉を続けました。

その結果、会社による売渡請求と売買価格の決定の申立てを経て、最終的には社長個人が対象会社株式と遺産不動産を買い取る形で合意し、換価することができました。

依頼者の子ども世代に問題を先送りせずに解決できたことで、依頼者様はとても喜んでおられました。

当事務所からのコメント

被相続人はかつて対象会社の社長でしたが、弟と対立し、結果として弟に代表取締役の座を譲ったあと、株式を保有したまま弟と疎遠になっていたという事例です。

本来であれば、被相続人が生前に株式を弟に譲渡するなどの対応ができればベストでしたが、関係がこじれてしまったため、そのまま相続にいたってしまいました。

非上場会社を経営されている方にとって、関係のこじれた株主が残ったまま相続を迎えると、問題が複雑になりがちです。早めに弁護士へご相談ください。

相続した非上場株式・山林に関するよくある質問

Q. 相続した非上場株式について、会社から「売渡請求」が届きました。これは何ですか?

A. 会社が定款で定めている場合に、相続などで株式を取得した人に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できる制度です(会社法174条)。会社は、請求する株式の数や相続人を株主総会の決議で定め(会社法175条1項)、この決議では、請求を受ける相続人は原則として議決権を行使できません(同条2項)。請求は、会社が相続があったことを知った日から1年以内にしなければなりません(会社法176条1項)。

Q. 売渡請求の価格に納得できない場合は、どうすればよいですか?

A. 売買価格は、まず会社と相続人の協議で決めます。協議がまとまらない場合は、会社または相続人が、売渡請求があった日から20日以内に、裁判所に売買価格の決定を申し立てることができます(会社法177条)。この期間内に協議も申立てもないと、売渡請求は効力を失います。本件では、株価算定書などを用意して売買価格の決定を申し立て、並行して交渉を続けた結果、最終的には社長個人が株式を買い取る形で合意しました。

Q. 議決権5%程度の少数株主でも、会社の財務内容を確認できますか?

A. 株主であれば、会社の営業時間内に計算書類(貸借対照表や損益計算書など)の閲覧を請求できます(会社法442条3項)。また、議決権の3%以上を持つ株主は、理由を明らかにして会計帳簿の閲覧を請求できます(会社法433条1項)。株式の価格を検討するうえで、これらの資料が手がかりになります。

Q. 活用できない山林などの土地を相続した場合、どのような選択肢がありますか?

A. 売却のほか、一定の要件を満たせば、法務大臣の承認を受けて土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」(2023年4月27日開始)を利用できる場合があります。ただし、建物がある土地や担保権が設定された土地などは対象外で、承認されると負担金を納める必要があります。本件では、株式とあわせて山林等の遺産不動産も売却し、次の世代に引き継がずに換価しました。

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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

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【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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