遺産分割|遺産2億9000万円の富裕層の遺産分割を無事解決
公開日:2025年10月29日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 遺産分割調停 |
|---|---|
| ご依頼者 | 母の相続人である3兄弟の1人(父が創業した非上場会社の社長) |
| 相手方 | ほかの兄弟2名 |
| 主な遺産 | 遺産総額約2億9,000万円(うち事業用不動産〔工場〕が約2億5,000万円、ほかに非上場会社の株式) |
| 主な争点 | 工場と株式の評価と分割方法、工場跡地の土壌汚染リスク |
| 当事務所の対応 | 遺産分割調停を申し立て、調査会社を手配して土壌汚染調査を実施。簡易的な入札方式で工場の買い手を募り、あわせて会社の廃業・清算を進めた |
| 結果 | 最も高い条件を示した買い手に工場を売却し、代金を法定相続分で分ける遺産分割調停が成立 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
■本事例の結論と解決のポイント
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結論: 遺産総額約2億9,000万円の相続において、遺産の大半を占める「事業用不動産(工場)」と「非上場会社の株式」の分割方法で兄弟間の対立が生じた事案です。当事務所が介入し、土壌汚染リスクのある不動産の調査・売却(換価分割)と、将来性を見据えた会社の廃業・清算を並行して進めることで、遺産分割調停を無事に成立させました。
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解決のポイント: 本件は単なる遺産分割ではなく、「不動産の土壌汚染対策」「買い手探し(入札)」「会社の事業清算」という、高度な専門性が求められる手続きが複雑に絡み合っていました。これらを弁護士が一括して主導・整理し、法定相続人間の不公平感を取り除いたことが、解決につながりました。
■ご相談時の状況とお客様の悩み
ご依頼者様のお母様が亡くなり、3人のご兄弟での相続が発生しました。 遺産の中には、すでに他界されたお父様が創業し、現在はご依頼者様が社長を務める非上場会社の「株式」と、その会社が使用している「事業用不動産(工場)」が含まれていました。 これらの不動産や株式をどのように評価し、誰がどのように引き継ぐか(分割方法)について兄弟間で意見が鋭く対立し、当事者同士での話し合い(遺産分割協議)が困難な状況となったため、当事務所にご相談をいただきました。
■弁護士の対応・解決策
当事務所は速やかに遺産分割調停を申し立て、裁判所を介して以下の手順で複雑な権利関係を整理しました。
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土壌汚染調査と不動産の換価分割: 遺産の価値の大半(約2億5,000万円)を占めていた事業用不動産(工場)について、ご依頼者様の意向を踏まえ「売却して現金で分ける(換価分割)」方針としました。工場跡地特有の土壌汚染リスクがあったため、当事務所で専門の調査会社を手配して汚染調査を実施。売却可能な状態に整えた上で簡易的な入札方式を取り入れ、最も高額な条件を提示した買い手への売却を実現し、その代金を法定相続分で分割する調停を成立させました。
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非上場会社の廃業・清算: ご依頼者様ご自身もご高齢になられており、事業の将来性を慎重に検討した結果、このタイミングでの「廃業」を決意されました。事業用不動産の売却と連動する形で会社の事業を停止・清算手続きを行うことで、株式の評価(価値)を巡る兄弟間の対立が生じないように法的な枠組みを整えました。
■IGTからのコメント
本件は、お母様の相続をきっかけとして「事業の存続か廃業か」「事業用不動産の処分」「兄弟間の遺産分割」という様々な問題が複合的に噴出した難易度の高い事案でした。 先代から引き継いだ事業や工場を処分することには、法的な問題だけでなく、ご依頼者様の心理的な葛藤も伴います。しかし、事業の将来性や土壌汚染リスクを放置したまま形だけ遺産分割を行えば、将来さらに大きなトラブル(負の遺産の押し付け合いなど)に発展するおそれがあります。 当事務所では、このような「廃業・清算」や「特殊な不動産の処分」が絡む複雑な相続事件についても、不動産や企業法務の知見を生かして対応しています。事業承継や事業用資産の相続でお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
不動産・非上場株式の複雑な相続トラブル
相手の言い値で合意する前に、まずは適正評価を。
「提示された代償金が安すぎる」「親の会社と工場をどうすればよいか分からない」「面識のない親族から突然通知が来た」など、不公平な権利関係でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず専門家にご相談ください。
弁護士法人IGT法律事務所では、初回60分の無料相談を実施しております。相続と財産評価の実務を扱う弁護士が、今後の方針を一緒に検討します。
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■【FAQ】事業用不動産の処分・会社の廃業を伴う相続に関するよくある質問
Q. 相続した工場の土地に土壌汚染の可能性がある場合、どうすればよいですか?
A. 汚染を確かめないまま売却すると、後で汚染が見つかった場合に、売主として契約不適合責任(民法562条以下)を問われ、浄化費用などを請求されるおそれがあります。また、有害物質を使う特定の施設の使用を廃止した土地では、所有者等に土壌汚染の調査義務が生じることがあります(土壌汚染対策法3条)。本件のように、専門の調査会社による汚染調査でリスクを把握してから、売却の条件を決めることが大切です。
Q. 親が経営していた会社を継ぐ人がおらず廃業したい場合、遺産分割はどうなりますか?
A. 会社を続けない場合は、株主総会の特別決議で会社を解散し(会社法471条3号)、清算手続で会社の資産を現金化して債務を支払い、残った財産(残余財産)を株主に分配します。本件では、事業用不動産の売却と連動して会社の事業を停止・清算し、株式の評価をめぐる兄弟間の対立が生じないようにしました。
Q. 遺産分割が終わるまで、相続した株式の議決権は誰が行使するのですか?
A. 遺産分割が終わるまで、株式は相続人全員の共有(準共有)の状態になります。共有者は、権利を行使する人を1人定めて会社に通知しなければ、原則として株主の権利を行使できません(会社法106条)。この権利行使者は、共有持分の価格の過半数で決めることができるとされています(最高裁平成9年1月28日判決)。
Q. 遺産の不動産を売却して現金で分けたい(換価分割)のですが、兄弟の反対があっても可能ですか?
A. 協議で全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てます。代償金を支払える相続人がおらず、現物で分けることも難しい場合、家庭裁判所は、遺産分割の審判のために必要があるときは遺産の競売を命じることができます(家事事件手続法194条1項)。一般に、競売よりも任意の売却のほうが高く売れることが多いため、本件では簡易的な入札方式で買い手を募り、最も高い条件を示した買い手に売却したうえで、代金を法定相続分で分ける調停を成立させました。
(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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