遺産分割|相続人の中に面識のない前妻の子がいても無事に解決

遺産分割の解決事例:面識のない前妻の子と代理人として交渉し遺産分割が成立

遺産分割|相続人の中に面識のない前妻の子がいても無事に解決

公開日:2025年5月7日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺産分割(協議・交渉)
ご依頼者 被相続人の妻(ご高齢)
相続人 妻、子A、前妻との間の子B(前妻の再婚相手と養子縁組)
課題 遺言がなく、ご依頼者様はBさんと面識がなく居場所も分からない。被相続人の預金も下ろせない状態
当事務所の対応 戸籍から現住所を調査し、代理人弁護士名で相続の開始と協議への協力をお願いする手紙を送付(2通目の後に返信あり)
結果 数回の交渉で遺産分割協議が成立し、預金を下ろすことができた。成立後、ご依頼者様とBさんの面会も実現

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

依頼前の状況

ご依頼者様の親族関係

被相続人との関係:妻

相続人:妻、子A、子B(前妻との間の子)

相続関係図
本件の相続関係図(被相続人、ご依頼者、前妻の子など)

ご相談概要

被相続人が亡くなられたのですが、被相続人の預金が下せなくなってしまいました。

また、遺言がなく、相続人のお一人に、ご依頼者様が面識のない前妻の子Bさん(その後再婚相手と養子縁組されていました。)がいらっしゃいました。いわゆる連れ子で、被相続人の実子ですが、前妻の再婚相手と養子縁組をしていました。ご相談者様はBさんとは面識がなく、ご自身も高齢であったことから、自ら交渉するのは難しいので弁護士に交渉を依頼したいということで、ご相談にいらっしゃいました。

対応と結果

ご相談者様は、Bさんと面識もなく、居場所も分からないということで、戸籍から現住所を調査したうえ、被相続人が亡くなっていること、Bさんも相続人であること、遺産分割協議を行いたいので協力して欲しいことをお手紙に記載して、代理人弁護士名で送付しました。

1通目のお手紙ではお返事がなかったのですが、2通目のお手紙をお送りしたあとでお返事を頂き、こころよく遺産分割協議に応じて頂くことになりました。

数回の交渉で遺産分割協議が成立し、ご相談者様も無事に預金を下ろすことができました。

ご相談者様はBさんに一目お会いしたいと思っており、一方、Bさんも、ずっと実の父親である被相続人とは会えなかったということで写真を見たいという希望をお持ちでした。そこで、遺産分割協議成立後に、弁護士のほうでアレンジを行い、両者にお会い頂き、お話をして頂きました。

当事務所からのコメント

本件のようなケースですと、法定相続人間に面識がなく、遺産分割協議をしようにも、ベースとなる信頼関係が構築できていないことがあります。

このようなときには弁護士が代理人として間に入ることで、感情的な対立を極力排除して、合理的な交渉が進むことが期待できます。

また、遺言書があれば、面識のない法定相続人間で遺産分割協議をする必要がなかった事案でもあります。遺言書作成の重要性がよくわかる事案です。

当事務所では、法定相続人間に面識がない遺産分割事件もお受けしていますので、ご相談いただければと思います。

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前妻の子との遺産分割に関するよくある質問

Q. 前妻との間の子も相続人になりますか?

A. なります。親が離婚しても、親子の関係は続きます。前妻との間の子も被相続人の子として相続人になり、法定相続分は他の子と同じです(民法900条4号)。配偶者と子が相続人の場合は、配偶者が2分の1、子が残りの2分の1を人数で等しく分けます(民法900条1号・4号)。遺言がなければ、前妻の子も含めた相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。

Q. 前妻の子が再婚相手と養子縁組をしている場合も、実の父の相続人になりますか?

A. 普通養子縁組であれば、なります。普通養子縁組をしても実の親との親子関係はなくならないため、実の親と養親の両方の相続人になります。これに対し、特別養子縁組の場合は、実の親との親族関係が終了するため(民法817条の9)、実の親の相続人にはなりません。本件のBさんも、前妻の再婚相手と養子縁組をしていましたが、被相続人の相続人でした。

Q. 面識がなく、住所も分からない相続人には、どうやって連絡を取りますか?

A. 被相続人の戸籍をたどって相続人を確定し、戸籍の附票(住所の移り変わりが記録された書類)で現住所を調べるのが一般的です。住所が分かったら、相続が開始したことや遺産分割協議への協力をお願いする手紙を送ります。本件では、戸籍から現住所を調査したうえで代理人弁護士名で手紙を送り、2通目の後にお返事をいただくことができました。

Q. 遺産分割が終わるまで、亡くなった人の預金は下ろせませんか?

A. 預貯金は遺産分割の対象になるため(最高裁平成28年12月19日決定)、原則として、遺産分割が終わるまでは相続人が単独で払戻しを受けることはできません。ただし、遺産分割の前でも、一定の範囲(預金額の3分の1に法定相続分を掛けた額、1つの金融機関につき150万円まで)であれば、各相続人が単独で払戻しを受けられる制度があります(民法909条の2)。本件では、遺産分割協議が成立した後に預金を下ろすことができました。

Q. 前妻の子が話し合いに応じない場合はどうなりますか?

A. 家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事事件手続法245条1項)。調停でも合意できなければ、審判の手続に移ります(家事事件手続法272条4項)。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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