祭祀承継|不倫相手からの遺骨の分骨請求を排斥し勝訴

祭祀承継者指定の解決事例:不倫相手からの遺骨の分骨請求を退け、長男が祭祀承継者に

祭祀承継|不倫相手からの遺骨の分骨請求を排斥(退けた)勝訴事案

公開日:2023年12月20日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 祭祀承継者指定(調停→審判→抗告審)
ご依頼者 被相続人の妻と長男
相手方 被相続人の不倫相手(死後に判明)
主な争点 だれを祭祀承継者とするか、不倫相手からの遺骨の分骨請求を認めるか
当事務所の対応 祭祀のあり方と家族関係を主張・立証し、調停不成立後の審判、相手方の抗告にも対応
結果 審判で相手方の請求が退けられ長男が祭祀承継者に指定。高等裁判所も一審の判断を維持

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

相続が発生した際、預貯金や不動産などの財産だけでなく、「誰がお墓や仏壇を引き継ぎ、遺骨を管理するのか(=祭祀承継)」が激しい争いになることがあります。

本記事では、弁護士法人IGT法律事務所が代理人として担当した、「被相続人の不倫相手から遺骨の分骨を請求されたが、高等裁判所での審判を経てこれを完全に排斥(退けた)事例」をご紹介します。祭祀承継者指定という希少な事件における、当事務所の解決実績と法的対応のポイントを解説します。

祭祀承継(さいししょうけい)とは?

そもそも「祭祀財産」とは、系譜(家系図など)、祭具(仏壇、位牌など)、墳墓(墓地、墓石など)を指し、一般的な遺産分割の対象となる相続財産とは区別されます(民法897条)。

遺骨の所有権も、この祭祀承継者に帰属すると考えられています。

祭祀承継者は、原則として以下の順位で決定されます。

  1. 被相続人の指定(遺言など)
  2. 慣習
  3. 家庭裁判所の指定(調停・審判)

親族間で意見が対立した場合や、本件のように第三者が介入してきた場合は、家庭裁判所による「祭祀承継者指定の調停・審判」によって決着を図ることになります。

【事案の概要】不倫相手からの分骨請求と自宅への居座り

項目 事案の詳細
被相続人 夫(父親)
当事者

依頼者:被相続人の妻および長男

相手方:被相続人の不倫相手(死後に存在が判明)

主な争点 誰が祭祀承継者となるべきか。不倫相手からの遺骨の一部分骨請求は認められるか。
結果 一審・二審(高等裁判所)ともに相手方の請求を棄却。長男が祭祀承継者として指定される。

依頼前の状況と相手方の問題行動

被相続人の死後、依頼者(妻および子)は初めて「夫に不倫相手がいたこと」を知りました。

その後、不倫相手が突如として「被相続人の遺骨の一部を引き渡してほしい(分骨請求)」と主張し始めました。要求はエスカレートし、依頼者の自宅玄関先に居座って帰らないなどの問題行動に発展したため、対応に苦慮された依頼者が当事務所にご相談にいらっしゃいました。

当事務所の対応と結果:高等裁判所でも一審の判断が維持

1. 相手方からの調停申立てと当事務所の反論

不倫相手は代理人弁護士を立て、「祭祀承継者指定の調停」を申し立て、法的に遺骨の一部分骨を請求してきました。

当事務所は依頼者(妻・長男)の代理人として調停手続に対応。「先祖代々の祭祀承継のあり方」や「これまでの家族関係」を詳細に主張・立証し、祭祀承継者は被相続人の長男(依頼者の子)がふさわしく、不倫相手の分骨請求には一切応じられない旨を毅然と主張しました。

2. 審判(一審)と高等裁判所(抗告審)の判断

調停は不成立(不調)となり、裁判官が判断を下す「審判」へと移行しました。

当事務所は一審において丁寧な立証活動を継続し、結果として不倫相手の請求を退ける審判を獲得しました。

不倫相手はこれを不服として高等裁判所に抗告(二審へ申し立て)しましたが、当事務所が引き続き受任して対応。

高等裁判所においても一審の判断が維持され、相手方の請求を退ける結論が確定し、事案は解決しました。

担当弁護士からのコメント(実務への示唆)

「祭祀承継者指定審判」は、一般的な遺産分割調停と比べて件数が少なく、希少な事件類型です。参考となる裁判例も決して多くはありません。

しかし、当事務所が培ってきた相続問題の専門性を活かし、「家庭裁判所が祭祀承継者を指定する際の考慮要素(被相続人との身分関係や事実上の生活関係、祭祀主宰の意思や能力など)」に沿って、依頼者の正当性を緻密に主張・立証したことが、高等裁判所での勝訴に繋がりました。

よくある質問(FAQ)

Q. 愛人や不倫相手が遺骨の分骨を請求することは法的に認められますか?

A. 遺骨は、慣習に従って祭祀を主宰すべき人(祭祀承継者)に帰属すると考えられています(最高裁平成元年7月18日判決)。そのため、不倫相手などの第三者が法的な権利として分骨を求めることは認められにくく、本件でも裁判所は相手方の請求を退けました。

Q. 祭祀承継者(お墓や遺骨を引き継ぐ人)はどのように決まるのですか?

A. 民法897条により、①被相続人の指定(遺言など)、②慣習、③家庭裁判所の指定、の順で決まります。家庭裁判所は、被相続人との身分関係や生活関係、祭祀を主宰する意思や能力、利害関係人の意見などを総合して判断します(東京高裁平成18年4月19日決定)。

Q. 祭祀承継者の指定は、どの裁判所に申し立てるのですか?

A. 家庭裁判所に、祭祀承継者指定の調停または審判を申し立てます(家事事件手続法別表第二の11項)。調停で合意できなければ審判に移り、審判に不服がある場合は高等裁判所に即時抗告できます。本件も、調停不成立→審判→抗告審という経過をたどりました。

Q. お墓や仏壇は、遺産分割や相続税の対象になりますか?

A. お墓・仏壇などの祭祀財産は、相続財産とは別に祭祀承継者が引き継ぐため、遺産分割の対象になりません(民法897条)。相続税でも、墓所・霊びょう・祭具などは非課税財産とされています(相続税法12条1項2号)。

Q. 相手方が家に押しかけてきて遺骨を要求する場合、どうすればよいですか?

A. 当事者同士で直接対応すると、感情的になりトラブルが激化するおそれがあります。弁護士が代理人として窓口になることで、相手方の要求を直接受けずに済み、法的な手続の中で解決を図ることができます。

複雑な相続トラブル・祭祀承継問題は当事務所へご相談を

相続トラブルは、単なるお金(遺産)の計算だけでなく、今回のように「遺骨」や「お墓」といった感情的対立が激化しやすい問題も含まれます。特に、内縁の妻や不倫相手など、親族以外の第三者が絡む問題は、当事者同士での話し合いによる解決は極めて困難です。

弁護士法人IGT法律事務所では、前例の少ない希少な審判や高等裁判所での争いにおいても、最後まで依頼者の利益を守り抜く体制と専門知識を有しています。

  • 「親族以外の第三者から遺骨やお墓の管理について不当な要求をされている」
  • 「相手方が家に押しかけてくるなど、直接の対応に恐怖を感じている」
  • 「他の弁護士に『前例が少ないから難しい』と言われてしまった」

このようなお悩みを抱えている方は、一人で抱え込まずに、ぜひ当事務所の初回60分無料相談をご利用ください。経験豊富な弁護士が、迅速かつ最適な法的解決策をご提案いたします。

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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
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