遺産分割|相続人が出捐した被相続人の名義預金を遺産に含めずに解決

遺産分割の解決事例:亡き妻名義の預金を夫の財産と立証し、遺産から除外

遺産分割|相続人が出捐した被相続人の名義預金を遺産に含めずに解決

公開日:2025年5月2日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺産分割(調停)
ご依頼者 被相続人(妻)の夫
相続人 夫(ご依頼者)と被相続人の母(子はなし)
相手方 被相続人の母の成年後見人
主な争点 被相続人名義の預金が遺産か、ご依頼者の財産(名義預金)か。遺産不動産(共有持分)の評価
当事務所の対応 権限のない親族との交渉には応じず成年後見の申立てを求め、入出金の履歴などから名義預金であることを立証
結果 名義預金を遺産分割の対象から外し、不動産は鑑定価格をもとに代償金を定めてご依頼者が取得

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

依頼前の状況

依頼者様は、被相続人の夫であり、ご夫妻にはお子様がいらっしゃらなかったので、法定相続人としては、ご相談者様と被相続人のお母様でした。

被相続人のお母様は90代と高齢のため、認知症が進んでいるようでしたが、被相続人の弟が、お母様及び他の兄弟から全権委任を受けているとして、依頼者様との交渉を行っていました。

被相続人の名義の預金口座には、依頼者様がペイオフ対応などで、ご自身の預金を預けていましたが、被相続人の弟は、これは姉の遺産だと譲らず、非弁行為が疑われる事案になっていました。

そこで、依頼者様は、被相続人の弟が交渉相手になるのはおかしいと考え、弁護士を入れてものごとを解決することを希望されました。

また、被相続人の名義の預金口座の入出金を分析し、これは名義預金であり、遺産ではないと主張したいということから、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

対応と結果

当職のほうから、被相続人のお母様あてに遺産分割交渉を進めたい旨の手紙を送付したところ、被相続人の弟から電話連絡がありました。

しかし、当事務所からはあなたとは交渉しない、お母様が認知症だというなら成年後見の申し立てをすべきだと毅然と対応し、交渉に応じませんでした。

その後、当該弟が成年後見を申し立てたところ、身上監護につき弟、それ以外につき弁護士が成年後見人となる後見開始決定が出され、以後成年後見人の弁護士と遺産分割調停を行うことになりました。

名義預金については、当方から被相続人の収入で作り上げた資産ではないこと、依頼者様の出金口座と対比して、依頼者様の預金であり、被相続人の預金ではないことを丁寧に説明し、遺産分割の対象から名義預金を外すことに成功しました。

また、遺産不動産(共有持分)については、価格評価が折り合わず、不動産鑑定によって価格を決定し、鑑定価格をベースに代償金を定め、依頼者様に名義移転することに成功しました。

当事務所からのコメント

遺産分割でよく問題となる使途不明金の事案に似ていますが、本件では、ご自身のお金を被相続人名義の預金口座に入金していたという特殊な事案でした。

名義預金がだれの財産かは、実際にお金を出した人(出捐者)がだれかを中心に判断されますが、実務上他人の名義の預金口座に入っているお金が自分のものであると主張立証するのは困難です。

出捐者(しゅつえんしゃ)とは、預金の元になったお金を実際に出した人のことです。口座の名義人と出捐者が違う預金を、いわゆる名義預金といいます。

本件では、被相続人の預金の入出金履歴の分析、被相続人の日常の生活状況、被相続人は急病で急逝されたのですが、その間の療養生活の状況などを丁寧に分析し、立証したことで、裁判所や相手方成年後見人などに理解を得られた事例でした。

また、遺産分割事案では、正当な権利者ではない親族が交渉に不当に介入し、適正な遺産分割協議が阻害されることがあります。

当事務所ではこのような事案でも毅然として対応し、誠実に、丁寧に主張立証することで、遺産分割事件を解決してまいります。

同じような事案がございましたら、ぜひ当事務所にご相談ください。

不動産・非上場株式の複雑な相続トラブル
相手の言い値で合意する前に、まずは適正評価を。

「提示された代償金が安すぎる」「親族が勝手に遺産の交渉をしてくる」「面識のない親族から突然通知が来た」など、不公平な権利関係でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず専門家にご相談ください。
弁護士法人IGT法律事務所では、初回60分の無料相談を実施しております。相続と財産評価の実務を扱う弁護士が、今後の方針を一緒に検討します。

\ ご相談内容がまとまっていなくても構いません /


✉ 24時間受付 | メールで無料相談を予約


📞 03-6265-6770 (予約専用窓口)

当事務所のその他の遺産分割解決事例は、こちらのまとめページでご覧いただけます。

▶ 遺産分割の解決事例一覧を見る

名義預金・遺産分割に関するよくある質問

Q. 亡くなった家族の名義の口座に、自分のお金が入っています。遺産に含まれますか?

A. 名義が被相続人でも、実質的に別の人の財産であれば遺産には含まれません(いわゆる名義預金)。だれの財産かは、お金を出した人(出捐者)がだれか、通帳や印鑑をだれが管理し利用していたか、名義人がその預金の存在を知っていたかなどを総合して判断されます。本件では、入出金の履歴と被相続人の収入・生活状況を丁寧に分析して、ご依頼者の預金であることを立証しました。

Q. 子のいない夫婦で妻が亡くなった場合、相続人はだれですか?

A. 配偶者は常に相続人となり、子がいなければ被相続人の親(直系尊属)が相続人になります(民法889条1項1号・890条)。法定相続分は配偶者が3分の2、親が3分の1です(民法900条2号)。親も祖父母も(直系尊属が全員)亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

Q. 相続人ではない親族が、代わりに交渉してきます。応じる必要はありますか?

A. 相続人本人から正式に委任されていることを確認できない限り、応じる必要はありません。相続人が認知症などで判断能力を欠く場合は、成年後見人を選任してもらい、後見人と遺産分割の手続を進めるのが適切です。本件でも、成年後見の申立てを求め、選任された成年後見人(弁護士)との間で遺産分割調停を行いました。

Q. 不動産の共有持分の評価で折り合わない場合はどうなりますか?

A. 調停では、合意できなければ不動産鑑定によって価格を定めることがあります。本件では、遺産である不動産の共有持分について鑑定を行い、その価格をもとに代償金を定めて、ご依頼者が取得しました。

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちら

ご相談はこちらへ

▶ 弁護士による初回相談はこちらへ。

事務所概要(本サイトの運営者)

サイト名 弁護士法人IGT法律事務所の相続相談サイト
事務所名 弁護士法人IGT法律事務所
住所 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-3-3新麹町ビル6階
TEL 03-6265-6770(予約専用)
FAX 03-6265-4994
URL https://souzokusoudan-bengoshi.com/
コーポレートサイト 弁護士法人IGT法律事務所 公式サイト(企業法務・M&A・事業再生などのご相談も承ります)