遺言書|不動産6億円保有の富裕層、妻の死亡後の遺言書の書換

遺言書作成の解決事例:妻が先に亡くなり前提の崩れた遺言を、約6億円の収益不動産に合わせて書き換え

遺言書|不動産6億円保有の富裕層、妻の死亡後の遺言書の書換

公開日:2025年10月24日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類遺言書の作成(書き換え)
ご依頼者約6億円の資産(収益不動産中心)を持つ方。妻が先に死亡
相続人子2名
課題妻の存在と当時の財産を前提にした以前の遺言が、実情に合わなくなった
当事務所の対応過去の生前贈与を特別受益として明記、物件の偏りを金融資産で調整、借入金は負担付相続として定める
結果新しい公正証書遺言を作成(公証役場との調整・書類収集・証人の立会いまで対応)

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

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本事例の結論と解決のポイント

  • 結論: 不動産を中心に約6億円の資産を保有するご依頼者様から、「以前作成した遺言書の前提(妻の存在と当時の財産状況)が変わってしまった」とのご相談を受け、現在の状況に合わせた新しい公正証書遺言を作成しました。
  • 解決のポイント: 多数の収益不動産(および紐づく借入金)の適切な分配、そして将来の兄弟間の紛争を防ぐための「過去の特別受益(生前贈与)の明記」など、富裕層特有の複雑な条件をクリアする緻密な遺言設計を行いました。公証役場との煩雑なやり取りも当事務所がフルサポートし、確実な遺言書を完成させています。

ご相談時の状況とお客様の悩み

ご依頼者様は以前、奥様と一緒に「自分が先に亡くなること」を前提とした遺言書を作成されていました。 しかし、想定とは異なり奥様が先にお亡くなりになったこと、さらに当初遺言書を作成した時点からご相談者様ご自身の財産構成が大きく変動してしまったことから、「このままでは自分の死後に子供たちが揉めてしまうのではないか」とご不安に感じられ、当事務所に遺言書の書き直しをご相談にいらっしゃいました。

弁護士の対応・解決策

ご依頼者様の最新の財産状況とご希望を丁寧にヒアリングし、以下のポイントに重点を置いて新しい遺言書を設計しました。

  • 特別受益の明記による紛争防止: 2人のお子様に対する分配を整理する際、過去に行われた生前贈与(特別受益)の存在を遺言書内に明記し、後日の不公平感や争いを未然に防ぐ手立てを講じました。

  • 収益不動産の分配と負担付相続: 多数の収益不動産について「誰がどの物件を取得するか」を再検討しました。不動産の価値のアンバランスな部分は現預金等の金融資産で穴埋め(調整)する案を作成。さらに、収益不動産に紐づく借入金(負債)については「負担付相続(不動産をもらう人が借金も引き継ぐ)」として処理する旨を明確に定めました。

  • 公正証書遺言の作成支援: 最も確実な形式である公正証書遺言で作成するため、当事務所が公証役場との事前の文言調整、各種必要書類(戸籍や固定資産税評価証明書など)の収集、当日の証人の立ち会いまでを全面的にサポートしました。

IGTからのコメント

多数の収益不動産をお持ちの富裕層・事業家の方にとって、資産の価格・種類が多岐にわたるため、「遺言書を書かずに(あるいは古い遺言書のまま)遺産分割協議に委ねる」ことは、深刻な争族(そうぞく)トラブルを招く危険性が非常に高いです。 特に収益不動産には多額の借入金が伴うことが多いため、資産と負債のバランスを考慮した緻密な遺言設計が不可欠です。 本件のように、一度遺言書を作成した後でも、ご家族の状況や財産内容に変化があった場合は、速やかに内容を見直し、書き直すことが重要です。遺言書の作成・見直しは、当事務所にお気軽にご相談ください。

遺言書の書き換え・作り直しに関するよくある質問

Q. 一度作成した遺言書を書き直す(撤回する)ことはできますか?

A. できます。遺言者は、生きている間はいつでも、遺言の方式に従って遺言の全部または一部を撤回できます(民法1022条)。前の遺言と内容が抵触する部分は、後の遺言で撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。新しい遺言には「前の遺言を撤回する」旨を明記しておくのが確実です。

Q. 公正証書遺言を、自筆証書遺言で書き直すことは可能ですか?

A. 法律上は可能で、遺言の方式に優劣はありません。ただし、自筆証書遺言は方式の不備で無効になるおそれや、紛失・改ざんのおそれがあるため、財産が多い方には再び公正証書遺言で作成し直すことをお勧めしています。

Q. 配偶者が先に亡くなった場合、遺言書は無効になりますか?

A. 遺言全体が無効になるわけではありません。ただし、「妻に相続させる」と書いた部分は、妻が遺言者より先に亡くなると、原則として効力を生じません(最高裁平成23年2月22日判決)。その財産は遺産分割の対象になるため、「妻が先に亡くなった場合は長男に相続させる」といった予備的な定めを置くか、遺言を書き換える必要があります。

Q. 収益不動産の借入金は、遺言でどのように扱えばよいですか?

A. 借入金などの債務は、遺言で負担者を決めても、債権者(金融機関)に対しては各相続人が法定相続分に応じて負担するのが原則です(民法902条の2)。そのため、物件を取得する人に借入金も負担させる旨(負担付相続)を遺言で定めたうえで、金融機関と債務の引受けについて調整しておくことが大切です。

Q. 過去の生前贈与を遺言に書いておく意味はありますか?

A. あります。生前贈与が特別受益にあたる場合、相続分の計算で持ち戻されますが(民法903条1項)、何をいつ贈与したかが分からないと争いになります。遺言に贈与の内容を明記し、持ち戻すかどうか(持戻し免除の有無)も書いておくことで、子どもたちの間の争いを防ぎやすくなります。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちら

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