遺言書|お子さまのいない方の遺言書

遺言書作成の解決事例:子のいない方の遺言で世話になった甥に全財産を遺す

遺言書|お子さまのいない方の遺言書

公開日:2025年1月14日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)

この事例の要点

事件の種類 遺言書作成(公正証書遺言)
ご依頼者 ご主人を亡くされ、お子さまのいない方
推定相続人 ご兄弟姉妹と、その代襲相続人である甥・姪(10人近く)
ご希望 日頃から面倒を見てくれている甥に遺産を託し、疎遠な親族間でのトラブルを避けたい
当事務所の対応 甥に全財産を遺す公正証書遺言を作成し、弁護士を遺言執行者に指定。甥とその家族への感謝を付言事項に記載
結果 兄弟姉妹に遺留分がないことを踏まえ、遺産分割協議を経ずに甥へ財産を承継できる形を整えた

※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。

 

■本事例の結論と解決のポイント

  • 結論: すでに旦那様を亡くされ、お子さまがいらっしゃらないご相談者様から、「将来の自分の相続で、疎遠な親族間でのトラブルを避けたい」「日頃から面倒を見てくれる甥に遺産を託したい」というご依頼を受けました。当事務所にて「甥に全財産を遺す」旨の公正証書遺言を作成し、弁護士を遺言執行者に指定して、ご相談者様のご希望を実現するための生前対策を整えました。

  • 解決のポイント: お子さまがいない方が亡くなった場合、配偶者に加えて、親などの直系尊属が、直系尊属もいないときは兄弟姉妹(すでに死亡している場合は甥姪)が相続人となります。しかし、法律上、兄弟姉妹には遺留分(最低限の取り分)がありません(民法1042条1項)。つまり、有効な遺言書さえ作成しておけば、他の疎遠な親族と「遺産分割協議」を一切行うことなく、希望する相手にすべての財産を承継させることが可能です。

■ご相談時の状況とお客様の悩み

ご相談者様はご主人を亡くされた後、お一人で暮らしておられました。お子さまがいらっしゃらないため、法律上の推定相続人は、ご自身のご兄弟姉妹(およびその代襲相続人である甥・姪)となり、その数は10人近くに上っていました。 その中には、長年面識がない遠縁の方や、過去に因縁があり疎遠になっている方も含まれていました。 ご相談者様は以前、ご主人の相続手続きの際にご主人の親族とのやり取りで非常に苦労された経験がありました。そのため、「自分の死後、よく面倒を見てくれている甥が、同じように疎遠な親族たちとの遺産分割手続きで苦労するのではないか」と強く懸念され、当事務所へご相談にいらっしゃいました。

■弁護士の対応・解決策

  • 公正証書遺言の作成と遺言執行者の指定: ご相談者様のご意向に沿い、「お世話になっている甥へ遺産を承継させる」という内容で、公証人が関与して作成し原本が公証役場に保管される「公正証書遺言」を作成しました。さらに、弁護士を「遺言執行者」として指定することで、ご相談者様の死後、他の相続人の協力を得なくても、弁護士と甥のやり取りを中心に財産の移転手続きを進められる仕組みを整えました。

  • 「付言事項」の活用: 遺言書の法的効力とは別に、ご相談者様の「想い」を伝える付言事項(ふげんじこう)を記載しました。「甥およびその家族が、日頃から気遣ってくれ、夫の葬儀手配など大変お世話になったことへの深い感謝」を明記することで、遺産を受け取らない他の親族の感情的な反発を和らげるよう配慮しました。

■IGTからのコメント

当事務所では、「お子さまがいらっしゃらない方(おひとりさま、または子供のいないご夫婦)」にとって、遺言書の作成は特に重要な対策であると考えています。 直系卑属(子どもや孫)がいない場合、被相続人との関係が薄い親族が相続人になりやすく、人数も増えるため、遺産分割協議が難航しやすくなります。 しかし、兄弟姉妹には遺留分が存在しません。生前に遺言書を作成して遺産の行き先を明確にし、遺産分割協議そのものを不要にしておくことが、残された大切な人を守る有効な対策となります。長年の懸念が払拭され、大変安心されていたご相談者様のお顔が印象的な事案でした。

■【FAQ】お子さまのいないご夫婦・おひとりさまの相続に関するよくある質問

Q. 子供がいません。私が亡くなった後、財産は誰のものになりますか?

A. 配偶者は常に相続人になります(民法890条)。子がいない場合は、配偶者とともに、まず親などの直系尊属が相続人になり、直系尊属がいないときは兄弟姉妹が相続人になります(民法889条1項)。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代わりに相続人になります(民法889条2項)。配偶者もいない場合は、同じ順番で、直系尊属または兄弟姉妹(甥・姪)だけが相続人になります。

Q. 疎遠な兄弟姉妹には財産を渡したくないのですが、可能ですか?

A. 可能です。配偶者、子、親などの直系尊属には遺留分(最低限の取り分)がありますが、兄弟姉妹には遺留分がありません(民法1042条1項)。そのため、「全財産を特定の甥に遺贈する」といった遺言書を作成しておけば、兄弟姉妹やその代襲相続人である甥・姪から遺留分を請求されることはありません。

Q. 遺言書は公正証書で作る必要がありますか?

A. 必ずしも必要ではありません。自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書いて押印する必要があり(民法968条1項)、2019年1月13日以降は財産目録に限りパソコンなどで作成できます(同条2項)。一方、公正証書遺言は公証人が関与して作成し、原本が公証役場に保管されるうえ、家庭裁判所での検認も不要です(民法1004条2項)。形式の不備や紛失のおそれを減らしたい場合に、公正証書遺言が選ばれることが多くあります。

Q. 遺言書を書いた後、自分が死んだ後の実際の手続きは誰がやってくれるのですか?

A. 遺言で遺言執行者を指定しておくことができます(民法1006条1項)。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務を持ちます(民法1012条1項)。本事例のように弁護士を遺言執行者に指定しておけば、財産を受け取る方(甥など)の負担を軽くできます。なお、遺言執行者は就任後に遺言の内容を相続人に通知するため(民法1007条2項)、兄弟姉妹などの相続人にも遺言の内容は伝わります。

Q. 一度作った遺言書を、後から変えることはできますか?

A. できます。遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回できます(民法1022条)。前の遺言と内容が抵触する新しい遺言を作った場合は、抵触する部分について前の遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。公正証書遺言を、後の自筆証書遺言で撤回することもできます。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)

関連ページのご案内

※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。

【この記事の執筆者】

弁護士 小林洋介

執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士
慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士
相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。
▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちら

ご相談はこちらへ

▶ 弁護士への初回60分無料相談はこちらへ。

事務所概要(本サイトの運営者)

サイト名 弁護士法人IGT法律事務所の相続相談サイト
事務所名 弁護士法人IGT法律事務所
住所 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-3-3新麹町ビル6階
TEL 03-6265-6770(予約専用)
FAX 03-6265-4994
URL https://souzokusoudan-bengoshi.com/
コーポレートサイト 弁護士法人IGT法律事務所 公式サイト(企業法務・M&A・事業再生などのご相談も承ります)