遺産分割|不動産を先行売却して遺産分割をスムーズに解決
公開日:2025年4月29日/最終更新日:2026年9月28日(事例の要点表とよくあるご質問を追加)
この事例の要点
| 事件の種類 | 遺産分割(調停) |
|---|---|
| ご依頼者 | 被相続人(母)の子 |
| 相手方 | ご依頼者の兄(母の前夫との子は、ご依頼者に相続分を譲渡) |
| 相続の状況 | 父が亡くなった数か月後に母が死亡。父の遺言で母がすべてを相続し、母には遺言がなかった。母の相続人は、父との間の子2人と前夫との間の子1人 |
| 主な争点 | 被相続人の預金の遺産性、相続債務・遺産管理費用の精算、特別受益、相続分譲渡の有効性 |
| 当事務所の対応 | 相続分譲渡合意書の作成支援、遺産分割調停の申立て、調停委員の勧めを受けて遺産不動産を先行売却し、代金を双方の預り金として他の論点を協議 |
| 結果 | 審判に移行せず、調停で遺産分割が成立 |
※個別の事情を前提とした結果です。同様の結果をお約束するものではありません。
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依頼前の状況
依頼者の父が亡くなったあと、数か月後に母が亡くなりました。
父は遺言書を書いていて、母にすべて相続するとなっていましたが、母は遺言書がなく、遺産分割協議が必要になりました。母の相続人には、父との間に依頼者と依頼者の兄のほか、前夫との間に1人子がいました。
親族関係が複雑だったため、依頼者は相談に来られました
依頼者は、その兄とは折り合いが悪く、母の前夫との子とはあまり面識がなかったため、遺産分割協議の代理人をお願いしたいということでした。
対応と結果
まず、母の前夫との子との間では、先方がそれほど遺産分割に拘りがなく、依頼者に相続分譲渡をするということで話がまとまりましたので、弁護士介入せず、相続分譲渡合意書の作成などのサポートを行いました。
また、兄との交渉は、折り合えませんでしたので、遺産分割調停の申立てを行いました。
被相続人の預金の遺産性についての争い、相続負債・遺産管理費用の精算、特別受益、相続分譲渡の有効性など論点が多岐にわたるものでしたので、遺産不動産の売却換価と並行して、他の論点の議論を進めました。
不動産は幸いに高値で売却ができ、キャッシュ化することができましたので、他の論点についても徐々に折り合いがついて、最終的には審判移行せずに調停内でスピーディーに解決することができました。
当事務所からのコメント
本件は、処理しなければならない論点の多い複雑な遺産分割事件でした。
調停委員からの勧めもあり、遺産不動産を先行して売却して、換価し、双方の預り金としたうえで、他の論点の解決を進め、無事に調停が成立した事案です。
また、不動産が想定よりも高値で売却できたことをきっかけとして、相手方相続人の心情も落ち着き、解決に向かうことができました。
本件のように、論点を整理しながら段階的に進める遺産分割についても、お気軽にご相談ください。
遺産分割調停・不動産の先行売却に関するよくある質問
Q. 遺産分割調停の途中で、遺産の不動産を先に売却することはできますか?
A. 相続人全員が合意すれば、遺産分割の成立前でも不動産を売却し、代金を預り金として保管したうえで、残りの論点を話し合うことができます。本件でも、調停委員の勧めを受けて不動産を先に売却し、代金を双方の預り金としたうえで他の論点の協議を進めました。売却代金を後の遺産分割でどのように扱うかも、あらかじめ合意しておくことが大切です。
Q. 相続分の譲渡とは何ですか?
A. 相続人が、遺産全体に対する自分の取り分(相続分)を、他の相続人などに譲り渡すことです。譲り受けた人は、譲渡した人の相続分を引き継いで遺産分割に加わり、譲渡した人は調停などの手続から外れるのが一般的です。本件では、母の前夫との子がご依頼者に相続分を譲渡し、相続分譲渡合意書を作成しました。後で有効性が争われることもあるため、合意書の内容や作成の経緯を整えておくことが大切です。
Q. 被相続人名義の預金は、遺産分割の対象になりますか?
A. なります(最高裁平成28年12月19日決定)。ただし、「名義は被相続人でも実際は別の人の預金だ」といった形で、遺産に含まれるかどうか(遺産性)が争いになることがあります。その場合は、口座を開設した経緯や、入出金の状況、通帳や印鑑を誰が管理していたかなどから判断されます。
Q. 生前に多額の援助を受けた相続人がいる場合、遺産分割で考慮されますか?
A. 婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として受けた贈与や遺贈は「特別受益」として、遺産に加えて各相続人の取り分を計算し、受けた人の取り分から差し引くことができます(民法903条1項)。ただし、相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、原則として特別受益を主張できなくなります(民法904条の3。2023年4月1日施行)。施行前に開始した相続は、相続開始から10年を経過した時と2028年3月31日のいずれか遅い時までが期限です。
Q. 母の相続人に、前の夫との間の子がいる場合、相続分はどうなりますか?
A. 子の法定相続分は、父母が同じかどうかにかかわらず等しくなります(民法900条4号)。本件では、母の相続人は、父との間の子2人(ご依頼者と兄)と、前夫との間の子1人の計3人でした。なお、父が亡くなった後、その遺産分割や相続手続が終わる前に母が亡くなると、父と母の相続を続けて整理する必要があり、関係する相続人や論点が増えることがあります。
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※ 本ページは、最終更新日(2026年9月28日)時点の法令・判例・実務に基づいて作成しています。解決の結果は個別の事情を前提としたもので、同様の結果をお約束するものではありません。
【この記事の執筆者】
執筆・監修:弁護士 小林 洋介(こばやし ようすけ)
弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 慶應義塾大学法学部卒業/東京大学法科大学院修了 東京弁護士会所属(相続遺言部会)/認定経営革新等支援機関/2級FP技能士 相続・事業承継分野を中心に、遺産分割・遺留分侵害額請求・生前対策まで幅広く対応。 ▶ 弁護士小林洋介のプロフィール詳細 / ▶ 初回60分無料相談のご予約はこちらご相談はこちらへ
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