使途不明金|遺産預金を実効支配していた他の相続人から預金750万円を回収

使途不明金|遺産預金を実効支配した他の相続人から預金750万円を回収

弁護士小林洋介の顔写真
執筆者:弁護士小林洋介

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士

保有資格:弁護士、経営革新等支援機関、2級FP技能士

東京弁護士会相続遺言部所属

▶ 弁護士プロフィールはこちら

▶ 弁護士への初回60分無料相談はこちらへ。

■本事例の結論と解決のポイント

  • 結論: お母様の相続において、すでに遺産分割協議が成立していたにもかかわらず、長男が勝手に被相続人名義の預金を引き出し、実効支配(事実上の使い込み状態)していた事案です。当事務所が長女および次男の代理人として介入し、「内容証明郵便」による返還請求と粘り強い交渉を行った結果、裁判(訴訟)に発展させることなく、法定相続分である預金750万円を任意で早期回収することに成功しました。

  • 解決のポイント: 遺産の無断引き出しトラブルは、当事者同士で話し合うと感情的な対立から「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。弁護士という第三者が代理人として介入し、法的な根拠(遺産分割協議書の効力)に基づく毅然とした請求を行ったことが、相手方にプレッシャーを与え、訴訟回避とスピード解決につながった最大の要因です。

■ご相談時の状況とお客様の悩み

お母様が亡くなられ、相続人はご兄弟3人(長男、長女、次男)でした。 当初は当事者間で話し合いが行われ、「被相続人名義の預金は3人で分ける」旨を記載した遺産分割協議書がすでに成立していました。

ところがその後、相続人の一人である長男が単独で金融機関から遺産預金を引き出し、ご自身の管理下に置いて実効支配してしまいました。

さらに、遺産である不動産の管理についても、遺産分割協議書で定めたルールを無視した行動をとっていました。

約束を反故にされた長女と次男は、「これ以上自分たちで兄と話し合ってもらちが明かない」とお困りになり、当事務所へご相談にいらっしゃいました。

■弁護士の対応・解決策

  • 内容証明郵便による法的な返還請求: ご依頼を受けた当事務所は、直ちに長女・次男の代理人として、長男に対して「内容証明郵便」を送付しました。これにより、遺産分割協議書に基づく正当な預金分配の請求であることを公式な記録として突きつけました。

  • 粘り強い交渉による任意回収(訴訟の回避): 内容証明郵便の送付後、長男側と直接交渉を開始しました。弁護士が法的なリスク(不当利得返還請求訴訟などに発展する可能性)を説得し、粘り強く交渉を続けた結果、長男も応じざるを得なくなり、訴訟を起こすことなく任意で750万円を回収しました。

  • 不動産管理のルール再構築: 預金の回収だけでなく、問題となっていた「遺産不動産の管理方法」についても改めて交渉を行いました。将来再びトラブルが起きないよう、合理的かつ明確な管理方法を定めた合意書を新たに作成し、根本的な解決を図りました。

■IGTからのコメント

遺産の使い込みや使途不明金の問題は、親族間の信頼関係が完全に崩壊しているため、非常にストレスの大きいトラブルです。

本件のように「遺産分割協議書」という明確な合意がすでに存在する場合、約束を破った相手に対する請求の法的根拠は強力です。

しかし、相手が「お金は返さない」と開き直っている場合、そのまま放置すればお金が生活費等に消えてしまい、取り戻すのがさらに困難になるリスクがありました。

使い込み問題は「スピード」が命です。当事務所が代理人として迅速に動き、裁判という時間と費用のかかる手続きを回避して早期に現金を回収できたことで、ご依頼者様に大変喜んでいただけた事案でした。

■【FAQ】遺産の使い込み・使途不明金に関するよくある質問

Q. 相続人の一人が勝手に親の預金を引き出しました。横領や窃盗などの犯罪にはならないのですか?

A. 刑法上、親族間で発生した窃盗や横領などの財産犯罪は「親族相盗例(しんぞくそうとうれい)」という特例が適用され、刑が免除される(警察が民事不介入として事件化しない)のが原則です。そのため、警察に頼るのではなく、弁護士を通じて「不当利得返還請求」や「不法行為に基づく損害賠償請求」といった民事上の手続きで返還を求める必要があります。

Q. 遺産分割協議で決まったことを守らない兄弟には、どう対処すべきですか?

A. 一度有効に成立した遺産分割協議書は、法的な拘束力を持ちます。約束を守らずに遺産を独占している相続人がいる場合、まずは弁護士から「内容証明郵便」を送付して履行を催告します。それでも応じない場合は、最終的に裁判所に訴訟を提起して強制執行(差し押さえ)の手続きをとることになります。

Q. 使い込みを取り返すために、必ず裁判(訴訟)をしなければなりませんか?

A. 必ずしも裁判になるとは限りません。本事例のように、弁護士が代理人として介入し、法的なリスク(裁判になれば遅延損害金等も付加されることなど)を相手方に正確に伝えることで、相手がプレッシャーを感じ、交渉(話し合い)のみで任意に全額を返還してくるケースも多々あります。早期解決のためには、できるだけ早く専門家に介入を依頼することが重要です。

(※法律上の見解は一般的な事例に基づくものであり、具体的な状況により結論は異なります。)

ご相談はこちらへ

▶ 弁護士への初回60分無料相談はこちらへ。

相続のご相談は弁護士法人IGT法律事務所の相続相談サイトへ

サイト名 弁護士法人IGT法律事務所の相続相談サイト
事務所名 弁護士法人IGT法律事務所
住所 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-3-3新麹町ビル6階
TEL 03-6265-6770(予約専用)
FAX 03-6265-4994
URL https://souzokusoudan-bengoshi.com/
コーポレートサイト https://igt-law.com/