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【非上場株式の相続で弁護士に相談すべき理由】
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非上場株式の相続は、不動産や預貯金の手続きと比べて圧倒的に複雑です。
市場価格がなく、会社ごとの定款ルール(譲渡制限・売渡請求など)が絡み、名義書換を済ませないと配当受領や議決権行使も動きません。
さらに、株価算定・遺産分割・換価(売却)・納税資金の確保を同時並行で進める必要があります。
本記事では、非上場株式の相続で弁護士に相談すべき決定的な理由を、実務の流れに沿って解説します。
「会社のルール」を読み解かないと選択肢が決まらない
非上場会社の多くは譲渡制限株式です。相続そのものは原則として承認不要でも、定款に相続人等への売渡請求や承認拒否時の買取ルールが置かれていることが珍しくありません。
この条項ひとつで、「第三者に売れるのか」「会社や支配株主にしか売れないのか」「価格はどう決まるのか」という出口戦略が大きく左右されます。
弁護士はまず定款・株主名簿・議事録を精査し、会社法上の制約と可能な選択肢(相続人間での集約、第三者譲渡、会社・指定買取人による買取、自己株式取得の可否など)を検討します。
ここが曖昧なまま株価算定や遺産分割を進めると、後戻りのコストが極めて大きくなります。
名義書換を“並走”させないと、配当も議決権も止まる
相続で権利が移転しても、株主名簿の名義書換が済むまでは実務が止まりがちです。
配当受領、議決権行使、売却の段取り、どれも書換の遅延=全体の遅延につながります。
弁護士が入ると、会社(または株主名簿管理人)への必要書式の確認、戸籍・相続関係・遺産分割協議書の整備、窓口との折衝をリードし、株価算定、遺産分割協議と同時進行で名義書換を動かします。
工程を分断せずクリティカルパスを維持することが、最終的な納税・換価の遅延防止につながります。
「株価算定」は税務だけでなく交渉の武器になる
非上場株式は市場価格が存在しないため、税務上の評価方法(純資産方式・類似業種比準方式・収益アプローチ等)を踏まえた仮説づくりが不可欠です。
ただし株価算定は、相続税の基礎になるだけでなく、社内買取や第三者売却の価格交渉の“目線”にもなります。もっとも、税務上の評価額は取引価格とはイコールにはなりません。
弁護士は税理士・公認会計士と連携して複数の評価シナリオを準備し、交渉相手・承認手続・スケジュールと結びつけて「税務に耐え、かつ交渉で戦える」価格帯を設計します。
株価算定を静的な数字で終わらせず、戦略に転用することが重要です。
少数株主は買い叩かれやすい——だから権利行使と選択肢提示が効く
買い手が限定される非上場株式では、支配株主や会社側に価格の主導権が傾きがちです。
ここで“値上げ交渉”だけを試みても、お願いベースとなってしまい、効果は限定的です。
弁護士は、会計帳簿閲覧請求、議事録等の閲覧請求や株主総会での説明要求など、会社法上の権利行使で情報の非対称を縮めつつ、第三者譲渡ルートや承認拒否時の買取手続まで見せることで、交渉の土俵を組み替えます。
相手に「この金額での合意が最も合理的だ」と思わせる論拠とプロセスを用意できるのは、非上場株式の取引実務を熟知した弁護士ならではです。
司令塔としてプロジェクト管理を行う
非上場株式が遺産に含まれる場合、資料収集→株価算定→遺産分割合意→名義書換に加え、承認請求・買取交渉・第三者探索といった不確実性の高いタスクが混在します。
弁護士がプロジェクトの工程管理を行い、依存関係を整理しながらボトルネックを前倒しで潰します。
必要に応じて自己株式取得・金銭分配など会社法×税務の交差点も検討し、リスクを低減します。
単に“手順を知っている”だけでは足りず、多様なタスクの並行処理が、より良い結果をもたらします。
親族間の調整と「言いにくいこと」を代弁できる
非上場株式は経営に関与する権利を含むため、家族内での利害がぶつかりやすい資産です。
相続人の一部が会社に関与し、他の相続人は現金化を望む——現実にはよくある構図です。
弁護士は、感情と法的合理性を切り分け、合意形成の場を設計します。
代償金・買い取り・議決権の配分など、言いづらい提案を客観的に提示できる第三者が入るだけで、話し合いの停滞が解けることは少なくありません。
弁護士法人IGT法律事務所の強み:真のワンストップ処理体制
当事務所は、M&A、事業再生、ファンド関連業務といった企業法務に強みを有する事務所です。
単なる法律相談、訴訟代理人という業務だけでなく、戦略立案、他士業・コンサルを交えた課題解決のためのチーム組成、チーム間の業務調整、プロジェクトの工程管理なども弁護士の業務として位置づけ、これまで対応してきました。
真のワンストップ対応は、このようなものであるべきと考えております。
非上場株式の相続問題は、高度な戦略立案、チーム組成、プロジェクト管理などが要求される複雑な業務であり、まさに弁護士法人IGT法律事務所の強みを発揮できる案件となっております。
法務×税務・会計×交渉を統合し、現実に実行できるアクションプランに落とし込むことができるのは、弁護士法人IGT法律事務所の強みであります。
弁護士法人IGT法律事務所は、プロジェクトマネージャーとして、最後までご相談者様に寄り添います。
相談のベストタイミングと準備物
最速が正解です。相続開始直後〜会社からの買取提案が届く前に相談できれば理想的。少なくとも以下を可能な範囲で用意しましょう。
- 定款・株主名簿(写し可)
- 直近の決算書(BS/PL/注記、できれば3期分)・税務申告書
- 株式関連の議事録・株主間契約の有無
- 戸籍・相続関係書類、遺言書・遺産分割協議書の草案等
- 会社・他株主からの提案書・見積り・承認書式一式 資料が揃っていなくても構いません。「何が足りないか」から逆算して優先順位をつけるのが弁護士の役割です。
行動の一歩
非上場株式が遺産に含まれている、あるいは会社からの買取提案が届いた——その時点が最適な相談タイミングです。
- 初回相談で確認すること:定款・譲渡制限の有無、承認の見通し、評価シナリオ、交渉台本、名義書換の段取り
- ゴール:「期限内に安全に完走」しつつ、価格・条件を最適化すること
迷ったら、まずは資料の有無を問わずご相談ください。選択肢とスケジュールが見えるだけで、意思決定のスピードと安心感が大きく変わります。
※ 本記事は、執筆日における法令、判例、実務に基づき作成しており、その後の法改正等に対応していない可能性があることをご了承ください。