遺産分割協議をもめないように進める4つのポイント
こんにちは。相続に強い弁護士の小林洋介です。
本日は遺産分割協議をもめないように進めるためのポイントについてお話しします。
相続が発生した場合に、遺言書がなければ、相続人の全員で遺産分割協議を行う必要があります。できることならもめずに遺産分割協議を進めて、遺産相続の問題を解決したいですよね。そんな遺産分割協議をスムーズに進めるためのポイントはどのようなところにあるのでしょうか。
遺産などに関する情報開示を徹底すること
亡くなった方と一緒に住んでいる相続人と、遠方に住んでいて亡くなった方と同居していない相続人がいる場合、亡くなった方の生活状況や遺産について情報をお持ちなのは、当然同居している相続人です。このような場合に、同居している相続人が遺産などの情報開示について、消極的、非協力的な態度をとってしまうと、同居していない相続人からすると、遺産などの情報が得られないことになってしまいます。
人間は情報が得られないと、どうしても悪い推測をしてしまいがちで、情報を隠しているのは知られたくない都合の悪い情報があるに違いない、遺産を使い込んでしまっていないか、勝手に遺産を隠してしまっていないかなどとあらぬ不信感を抱いてしまいます。
遺産分割協議は、相続人の全員が一致して同意しないと成立しませんので、相続人間での信頼関係の構築がもっとも重要です。遺産などの情報開示はその重要な第一歩です。ここでつまずいてしまうと、円満な遺産分割協議は困難でしょう。
このため、相続人間の信頼関係の構築のため、遺産などに関する情報開示を徹底するように心がけることが大事になってきます。
もちろん、同居している相続人なら何でも分かるというものでもないので、遺産などの情報について分からないこともあると思います。そういう場合は、ここまでは分かるけどここからは分からないからこういうやり方で調べているなど遺産調査のプロセスに関する情報も含めて、情報共有することで、信頼関係を構築することが大事です。
相続人間のコミュニケーション不足
被相続人の生前の話ですが、遺言書を書かない、相続人に対して生前から遺産分割について何も話しなどしてない場合だと、相続人自身も相続について心の準備ができておらず、遺言書のような指針もないので、何をして良いか分からず時間が過ぎてしまうということがあります。
また、遺産の金額が少ないからと、遺産調査などが雑になったり、いつになっても進まなかったりしますと、他の相続人の不信感を生み、遺産分割協議がまとまらない可能性を高めてしまいます。
さらに、被相続人と同居していた相続人が、そうでない相続人との間で、介護などの苦労や被相続人への思いの違いから不信感が生じてしまう場合や、遺産分割協議の中で相続人以外の親族(相続人の配偶者等)が口出しをしてしまい、もめる原因を作ってしまう場合があります。
このように、相続人間のコミュニケーションが不足してしまうことで、互いに何を考えているのか分からず、相手に対して不信感を抱いてしまうと、遺産分割協議で必要な全員一致の同意が取れなくなってしまいます。被相続人も既にいません。被相続人がご存命の時よりいっそう相続人間のコミュニケーションが必要になってきます
法定相続分とかけはなれた分割方法にこだわる
典型的には、家督相続的な考え方を採用して、一家の長男にすべての遺産を相続させて、それ以外の兄弟にはいわゆるハンコ代として数万円から数十万円程度を渡して、遺産分割協議を成立させようというものです。
遺産分割協議は相続人全員の同意があれば成立しますので、このような遺産相続のやり方も相続人全員の同意があれば成立します。しかし、被相続人の子の法定相続分は、それぞれ等しい割合ですので、長男だから多くもらうというのは、法律上の根拠はなく、相続人の同意が根拠となるに過ぎません。
ところが、自分の父親のときは父親が全部もらっていたから、父親が死んだときは長男である自分が全部もらうと主張して譲らず、紛争に発展するケースもいまだに多くあります。
長男がすでに述べたような情報開示やコミュニケーションに配慮して、他の兄弟たちから信頼を得られていれば、家督相続的な遺産分割も可能でしょうが、寄与分などが認められる事案は別として、現代においてはなかなか難しいと言わざるを得ません。また、他の兄弟が弁護士に相談に行かれたら、基本的には難しいと思われます。
分割しにくい遺産(不動産)
たとえば、2人の相続人が3000万円の預金を分ける場合には、1500万円ずつ等分で分かることができますが、遺産が3000万円の価値の不動産のみであった場合、これを2等分に切るわけにもいきません。
このような場合には、①代償分割、②換価分割、③共有といった分割方法があります。
①代償分割とは、分割できない遺産を相続した人が、他の相続人にそれに見合う現金を渡すという方法です。上記の例だと、1人が不動産を全部相続したうえで、もう1人の相続人に対して、代償金として、1500万円を渡すという方法です。公平に分配することは可能ですが、不動産を取得する者が代償金を用意しなければならないという負担があります。そこで、代償金を用立てるために、被相続人が生命保険に入っておいて、受取人を不動産を相続する者にしておくという方法が考えられます。
②換価分割とは、分割できない遺産を売却して、その売却益を相続人に分配する方法です。上記の例だと、不動産を3000万円で売却できたら、1500万円ずつ分けるという方法です。公平に分配することは可能ですが、不動産を失ってしまいます。
不動産については、その分割方法や管理処分について、相続人間で意見がまとまらないことが多く、これが原因で遺産分割協議が難航することがあります。
必ずしも代理人として交渉するだけでなく、裏方でアドバイスしながら遺産分割協議を進めることをサポートしたり、公平な第三者としての意見を相続人全員に示して問題解決を図ったりするなど、弁護士だからできる豊富なサポートメニューをご用意しています。
執筆当時の法令等に基づいて解説しておりますので、その後の改正等の内容を反映していない可能性があります。また本コラムは一般的な内容を記載したものであって、具体的な法律相談の回答ではありませんので、これに依拠して行動されたことによるいかなる結果が生じたとしても、責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。
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