遺産分割で取り扱えない財産について

遺産分割で取り扱えない財産について

執筆者:弁護士小林洋介

弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士

保有資格:弁護士、経営革新等支援機関、2級FP技能士

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1 遺産分割手続で分割できない財産がある

当事務所では、数多くの遺産分割事件を取り扱いますが、ご相談者様は、当然すべての遺産を遺産分割手続で分割ができると思っていらっしゃいます。

ところが、遺産分割を進めていくと、必ずしも遺産分割手続で分割できない財産があることに気が付きます。

この点については、ご質問や誤解も多いので、本記事で詳しく解説していきたいと思います。

2 遺産の範囲

東京家庭裁判所において、遺産分割調停の申し立てを行うと、東京家庭裁判所家事第5部(遺産分割の専門部署)が作成した「遺産分割調停の進め方」というパンフレットが同封されます。

これによると、②遺産の範囲というところで、「原則として、被相続人が亡くなった時点で所有していて、現在も存在するものが、遺産分割の対象となる遺産であり、その範囲を確定します。」と記載されています。

また、注意書きとして、「遺言書や遺産分割協議書で分け方が決まっている財産は、遺産分割の対象になりません。誰かが遺産を隠したり、勝手に使ってしまったという場合には、遺産分割以外の手続きが必要な場合があります。」と記載されています。

この注意書きのところの「遺産分割以外の手続が必要な場合がある」というところが、分かりにくいところかと思います。

3 使途不明金問題について

遺産分割のご相談を数多くお受けしていると、ある相続人が、被相続人の預金通帳を実効支配してしまっていて、被相続人の死亡の前後を問わず、多額の預金が引き出されてしまっているというご相談があります。

上記2の遺産の範囲の記載を踏まえると、遺産分割の対象となる預金は、被相続人が亡くなった時点で所有していて、現在も存在するものですので、引き出されたあとに残っている預金が遺産分割の対象になるということになります。

また、このような使途不明金については、最終的には民事訴訟で解決する問題となります。

ところが、ご相談者様にとっては、今ある預金の問題より、勝手に引き出されたかもしれない預金のほうが大問題です。なので、遺産分割調停においても、この点について熱心にご自身の主張や立証をされます。

また、相続人全員で遺産の範囲を合意できれば、遺産分割の対象にしてよいというルールがあります。

したがって、預金を勝手に引き出したのはけしからんということで、使途不明金について調停内での合意を迫るということが生じます。

しかし、預金を勝手に引き出したと疑われている相続人が、使途不明金についてそうやすやすと合意するはずがありません。そうなると、遺産分割調停は混迷を深めていくことになります。

裁判所は上記2の考え方ですので、合意できなければこの使途不明金の論点を飛ばして先へ進みたいと考えており、使途不明金は別途民事訴訟でやってもらいたいと考えています。

したがって、使途不明金で合意の見込みがなさそうとなると、当事者に対して冷たくあたることが多いです。

裁判所や調停委員が自分たちに対して冷たい、不公平ではないかとご相談にいらっしゃる方もいますが、上記の考え方に沿って裁判所や調停委員が対応している結果だということになります。家庭裁判所で解決できる範囲が、相続人の皆さまが期待しているよりも法制度上小さいことから、その期待ギャップが生じているように感じています。

これらの考察を踏まえて、当事務所では、遺産分割の中で使途不明金問題を解決しようとするのではなく、最初から別途の訴訟提起をおすすめしております。

そのほうが、遺産分割の解決のスピードも上がるし、別途訴訟では、和解交渉が決裂したとしても判決で終局的に解決します。遺産分割調停で長々と何年もやるよりも、スピーディに確実に解決することができます。

4 まとめ

本記事では、遺産分割で取り扱えない財産の範囲として、使途不明金問題を取り上げました。

使途不明金問題を解決したい方、遺産分割調停をやっているけど、裁判所や調停委員が冷たい、不公平な対応だと疑問に思われている方は、ぜひ当事務所にご相談いただければと思います。

 

※ 本記事は、執筆日における法令、判例、実務に基づき作成しており、その後の法改正等に対応していない可能性があることをご了承ください。

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