相続して大丈夫?相続税対策で始めたアパート経営(その2)
こんにちは。相続に強い弁護士の小林洋介です。
前回に引き続いて、相続税対策で始めたアパート経営に関して、実際の相続発生時の留意点、アパート経営がうまくいかなくなった場合の方策について、お話しします。
相続発生時の対応
相続が発生した場合に、アパートローン付不動産賃貸事業を相続して、事業継続するかは、相続人の目線でいったん検討されたほうが良いと思います。被相続人であれば事業リスクをとってアパート経営できていた場合でも、相続人が同様のことができるかどうかは改めて検討する必要があります。場合によっては、相続放棄や限定承認も検討する必要があります。
また、相続税対策といえどもアパート経営は、あくまで事業であり、実需があって初めて成り立つものです。日本人の人口減は言われて久しいところですが、人口分布や人口動態などを見極め、実需があることを確認しながら進めるべきでしょう。
アパート経営がうまくいかなくなった場合の方策
また、すでにアパートローンをすでに相続してしまったが、アパート経営がうまくいかなくなった場合に取れる方策としては、以下の3つが挙げられます。
1 返済条件緩和・変更の検討、相談
入ってくる賃料と、毎月の元利金の弁済が逆ザヤとなり、資金繰りに窮してしまっている場合には、資金の出を押さえるため、金融機関に対してアパートローンの返済条件の緩和・変更を相談することが考えられます。
2 任意売却の検討
また、物件そのものを売却して、売却金でローンを一括返済することの検討が考えられます。この場合は、残債を一括で弁済できるかどうかは不動産市況による場合が多いです。残債が残るような場合には、金融機関と交渉して任意売却を行い、残債の返済計画を合わせて相談するということが考えられます。
3 債務整理の検討
上記の返済条件緩和や物件売却によっても解決しない場合には、債務整理を検討する必要もあります。
これらの方策や交渉をすべてオーナーご自身で行うことが難しければ、金融機関交渉、負債整理に長けた弁護士に依頼することが有用です。
以上2回にわたって、相続税対策としてのアパート経営について述べてきましたが、相続税対策といってもあくまでも事業です。仮に相続が発生した場合には、事業主体が変わるということになりますので、事業リスクを踏まえ、継続、撤退の判断をして頂ければと思います。その際のご相談ごとがございましたら、何なりとお寄せください。
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