相続相談の準備事項
執筆者:弁護士小林洋介 弁護士法人IGT法律事務所 代表パートナー弁護士 保有資格:弁護士、経営革新等支援機関、2級FP技能士 弁護士プロフィールはこちらへ。 |
相続人の情報整理
相続相談をお受けいただくときの準備事項について解説します。
すでに相続が開始されているときの遺産分割や遺留分のご相談の場合は、まず、被相続人(お亡くなりになった方)の法定相続人の情報(氏名、住所、生年月日、死亡日(亡くなっている場合))を整理してください。
戸籍等があればベストですが、相続開始から間もないときや、資料取得が間に合わないときなどは、資料はなくてもかまいません。
また、兄弟姉妹や甥、姪など人数が多くなっている場合は、分かる範囲でけっこうです。
次に、遺言書作成などの生前対策の場合は、ご自身が仮に亡くなった場合の推定相続人の情報を整理していただければ十分です。
また、相続人以外の第三者への遺贈をお考えの場合は、その方の氏名等の情報をご準備ください。
遺産の情報整理
次に、被相続人の遺産の情報を整理していただければと思います。
よくある遺産としては、①預貯金、②不動産、③上場有価証券、④非上場株式、⑤生命保険金、死亡退職金等、⑥その他がございます。
①預貯金については、どこの金融機関のどこの支店に口座があるかという情報が重要です。
伝統的な金融機関では、支店ごとに口座情報を管理しており、支店が特定されていることが情報収集のためには重要です。もっとも、最近ではインターネット専業銀行などでは、そもそも実店舗を有しておりませんので、支店名まで分からなくても、遺産の情報収集が可能です。
また、伝統的金融機関でも、全店照会が可能な金融機関が増えてきていますので、支店名まで分からなくても、ご相談いただければと思います。
②不動産については、登記情報(全部事項証明書)が重要です。ご相談時には原本でなくても、古いコピーでも構いませんのでご用意ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25.html
インターネットで登記情報を取得することもできますので、ご検討いただければと思います。
もし、登記情報が見つからない場合には、固定資産税の納税通知書(課税明細書)に、地番、家屋番号などの情報が記載されていますので、被相続人宛に毎年来ている固定資産税の納税通知書をご用意いただければと思います。
登記情報も固定資産税の納税通知書も見当たらず、保有不動産の手がかりもないというときには、「名寄帳」の取得を検討していただければと思います。
名寄帳は、固定資産税を課税するために市区町村が作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたもので、被相続人が保有している不動産の情報を網羅的に確認したいときには役に立ちます。
法定相続人の立場で、被相続人の名寄帳を取得できますので、ご活用ください。
③上場有価証券(上場株式や投資信託など)については、被相続人が保有している証券口座の情報(証券会社名、支店名)を整理してください。
実店舗のある証券会社では、定期的に取引残高報告書などが郵送されたりしますので、そちらが手掛かりになります。
また、ネット証券では、郵便物などで発覚しにくいので、被相続人のメールアドレスなどで確認ができればそちらで確認していただくことになります。
そのような手掛かりがない場合には、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求を行えば、被相続人がどこの証券会社に口座を保有しているかを確認することができます。
④非上場株式については、対象会社に問い合わせをして株式の有無、株数などを問い合わせをすることになります。
現在の会社法では、原則として株券不発行となっていますので、非上場会社の株式の有無を確認するのが難しくなっています。
手がかりの情報がありましたら、弁護士にご相談いただくのが早いと思います。
⑤生命保険金、死亡退職金については、遺産分割の対象にならないケースが多いのですが、相続税の加算項目となったり、遺産分割の特別受益の対象になったりしますので、情報収集する必要があります。
生命保険については、保険証券があれば手っ取り早いですが、保険契約の内容確認のハガキや、預貯金口座から保険料支払いの引き落としがないかどうかが有力な手掛かりとなります。
それでも分からない場合には、生命保険契約照会制度というものを利用します。
https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/
上記の手段でも、遺産の全体像がなかなか調べきれないということがありましたら、ぜひ当事務所にご相談いただければと思います。
遺産調査業務の活用
上記の相続人調査、遺産調査については、平日に金融機関とやりとりしなければならなかったり、慣れない資料を取り扱ったりすることで、ご自身で対応することが難しい場合があります。
また、遺産分割手続や相続税申告手続のための準備であり、網羅的に行う必要があるのですが、対応が不十分な場合には、その後の手続に支障が生じるケースもありますので、遺産調査を専門家に依頼するということが考えられます。
当事務所では、おもに遺産分割、遺留分の事件ご依頼の前に、遺産調査業務のご依頼をいただくケースが増えてきています。遺産分割や遺留分侵害額請求の前に、相続人および遺産の全体像を理解し、その後に予測される展開をお示しすることが可能となりますので、当事務所の遺産調査業務をぜひご利用いただければと思います。
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